1.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 昭和62(1987)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1987 Research Project Summary.  1986 – 1987  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060308
概要: 金沢大学がん研究所<br />1.水溶媒中でミセルを形成するように胆汁酸を脱離基としたDACHPのミセル形成型白金錯体を合成し,その抗腫瘍活性を検討した. これられ錯体は全身投与可能な脂溶性錯体であり, マウス白血病L1210やマウス悪性黒 色腫瘍B16メラノーマに対して,in vivoで著明な効果を示した. 脱離基分子上の水酸基の数,位置,配置が油層への溶解度,ミラル形成,抗腫瘍活性等に大きく影響を与えることを明らかにした.2.2′ーdeoxyー2′ーmethylideue cytidine(DMDC) の抗腫瘍活性を更に検討した. その結果, マウス白血病以外にヒト由未白血病細胞やヒト由未カルチノーマに対しても効果が見いだされ, DMDCが白血病のみならずヒト固型腫瘍にも有効であることが分った. 又, このDMDCは鶏卵法でもヒト肺癌に制癌効果を示した. 作用機作の解明を含めた広範な前臨床実験を目下実施中である.3.1,4ーbutanediol diー2,2,2ーtrifluoraethanesulfonate(BFS) と1,4ーbutanedioldiisethionate(BIT)を用いて,chronic myeloid leukemia(CML)に対する治療薬としての特性を既知制癌剤のbusulfanと比較検討した. その結果,busulfanは骨髓抑制以外の致死的毒作用を有し,しかもmgeloid系への選択毒性が,BFS,BITに比べて小さい事が判明した. 從って,BFS及びBITは,毒性面からも,またmyeloid選択毒性面から見てもbusulfanに優るCML治療薬となる可能性が強く示唆された.4.臨床応用可能な分化誘導物質をめざして,多数の新規核酸関連合成化合物を検討の結果,2,4ーdiethylー7,7,8,8ーtetramethylーcisー2,4ーdiazabicyclo〔4.2,0〕Octaneー3,5ーdioneがヒト前髓球性白血病細胞(HLー60)に対して強い分化誘導効果と増殖抑制効果を示すことを見出した. また,この新規分化誘導物質に,抗白血病剤(daunomycin)やビタミンA誘導体と併用すると,相乘的に作用が増強されることを見出した.<br />研究課題/領域番号:62010033, 研究期間(年度):1986 – 1987<br />出典:「新しい合成制癌剤の研究」研究成果報告書 課題番号62010033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-62010033/)を加工して作成 続きを見る
2.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成2(1990)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1990 Research Project Summary.  1990  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060300
概要: 金沢大学がん研究所<br />前年度に引続き2'ーdeoxycytidineの2'ーarabino位への置換基の導入を検討し、2'ーazido体(Cytarazid)の簡便、大量合成法を確立すると共に2'ーシアノ体(CNDAC)をラジカル反 応を用いて新たに合成した。種々のヒト固型腫瘍由来細胞に対しCytarazid及びCNDACはともに強い増殖抑制効果を示した。また、podophyllotoxin型リグナン類の合成をDielsーAlder反応を用いて合成し、強い抗腫瘍活性を有する化合物を得ることができた。ブレオマイシンの細胞毒性は、ポリアクリル酸と撹拌すると増大するが、この時の細胞死は未知の致死機構によるものと考えられ、休止期細胞や耐性細胞にも同等に作用することを見出した。白金錯体を酸性多糖に結合させた高分子マトリックス型錯体を合成し、それらがB16ーF10メラノ-マの肺転移を抑制することを見出した。酸化還元代謝調節能を有するフラビンや5ーデアザフラビンの誘導体を合成した。これらの中でもNO_2基やCOOC_2H_5基を有するものが強い抗癌活性を示した。次に生元素の一つであるセレンを骨格内に導入した5ーデアザー10ーセレナフラビンを合成し、この化合物もかなり強い抗癌活性を有することを見出した。一方、ヒト腫瘍に対する簡便で能率の良い転移治療モデルとして、鶏卵胎児の転移多発臓器のおけるヒト腫瘍の微小転移巣に含まれるヒト腫瘍細胞の特定遺伝子をPolymerase Chain Reaction法により定量的に検出する我々独自の方法を用いて、転移抑制及び治療に有効な物質をスクリ-ニングした。その結果、本研究班で合成したDMDC(2'ーdeoxyー2'ーmethylidenecytidine)とCNDACがヒト線維肉腫HT1080の肝・肺の転移巣を顕著に抑制することがわかった。選択性の高いプロテインキナ-ゼ作用薬を得るために新しくデザインされたイソキノリン誘導体の細胞周期及び制癌剤多剤耐性に及ぼす影響を検討した結果、in vitroではあるが、P388/ADRの耐性解除作用の強い物質を見出した。<br />研究課題/領域番号:02151021, 研究期間(年度):1990<br />出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号02151021(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02151021/)を加工して作成 続きを見る
3.

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服部, 絢一 ; Hattori, Kenichi
出版情報: 昭和60(1985)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1985 Research Project Summary.  1985  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060314
概要: 金沢大学医学部<br />化学・X線・外科療法など集学的な癌根絶法と自家骨髄移植法の組合せで癌を治すことを研究目的として、次の研究成果が挙げられた。1.基礎的研究:移植用骨髄中に混在する癌細胞の除去法について(1)モノクローナル(モノ)抗体 と補体の in vitro処理法 common ALL に対するJ-2、-5、BA-1、-2、-3(以上市販)、横山製NU-N2、愛知がんセンター製NL-1、-22、HL-47が試用に供され、T-ALLに対する山田製B-7、ATL-27などや横山製KOLT-2の実用性が検討されている。(2)4-hydroperoxycyclophosphamide(4HC)やimmunotoxinの in vitro処理法4-HCのCFU-Cへの影響が検討され、4-HCは分化型に比し末分化CFUへの抑制度は軽いことが明かにされた(三浦)。immunotoxinとして、モノ抗体・ricin結合体の適用性が検討された(永井、横山)。2. 臨床的研究:成人と小児の癌に対し行った成績を合せて述べる。固形癌91例、悪性リンパ腫19例中6例(=6/19)、ホジキン病1/2、肺小細胞癌1/12、神経芽腫2/11、脳腫瘍1/10、精巣癌4/8、ユーイング肉腫1/5、横紋筋肉腫1/5、骨肉腫2/4、鼻咽頭癌2/2、卵嚢癌、乳癌各1、合計23/91(25%)は移植後12〜66月間生存、うち悪性リンパ腫3例、精巣癌、鼻咽頭癌各1例は無治療で5年間健在で、本治療法が癌を治しうることを証明した。予じめ、モノ抗体と補体で処理した自家骨髄を移植した common ALL15例中3例は何れも16月間、無治療で寛解維持中、5例は1年未満ながら生存、観察中、残りの7例は再発または感染症で死亡し、再発防止に今一つの工夫を要することがわかった。まとめ 問題点である再発が、採取骨髄内の癌細胞の完全除去法と患者への徹底的な癌根絶法とで解決され、さらに本治療法に対する保険が全面的に適用されれば、本法により未分化癌を完治させる道が開かれるであろう。さらに目下開発中の高エネルギー粒子線が分化癌に効果があれば本法の適応は一段と拡大するであろう。<br />研究課題/領域番号:60010033, 研究期間(年度):1985<br />出典:「自己造血幹細胞の移植を応用する悪性腫瘍治療法の基礎的臨床的研究」研究成果報告書 課題番号60010033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60010033/)を加工して作成 続きを見る
4.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 昭和63(1988)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1988 Research Project Summary.  1988  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060305
概要: 金沢大学がん研究所<br />新しい化学構造ないし作用機序をもつ新しい合成制癌剤の開発を目指して、主に複素環化合物類の化学合成を行い、それら新規合成化合物の分化誘導活性と鶏卵法やヌードマウスを用いてヒト癌を含めた抗癌活性の検討を行った。1. 既知制癌剤AraC と5FUの療法の性質を兼ね備えた新規化合物2'-メチリデンシチジンが顕著な抗白血病作用をもつことは前年度に報告した。今年度はこの物質の制癌効果を更に検討した結果:(1)静脈内及び経口投与でも有効である(2)AraCや5FUとは異なりP36(ヒトメラノーマ)にも有効である(3)Lewis 肺癌、M5076肉腫に対しても顕著な効果を示す(4)マウスでの骨髄毒性は、AraCに比して弱いこと等が明らかになり、ヒト固型腫瘍にも有効な新規制癌剤として極めて有望であることが確認された。2.新たにイミダゾールヌクレオシド類を合成し、その制癌活性を検討中であるが、invivoの実験系で腫瘍に対する選択性が極めて高く且つ毒性の低い物質であることが確認され、今までに報告されていないタイプの新規制癌剤として期待される。3.チロシンキナーゼ阻害剤であるハービマイシンAによるヒト骨髄性白血病細胞(K562)の分化誘導と増殖抑制効果を詳細に検討の結果、癌遺伝子産物の活性を特異的に抑制する薬剤は、分化誘導を介して制癌効果を発揮することが明らかになった。この新知見は、今後の新規合成制癌剤開発の重要な指針となるものと考えられる。4.新たに合成したフツ素あるいは水酸基を有する2種類のブスルファン誘導体(BFSおよびBIT)はいずれもブスルファンに比べて有意に坦癌動物に対する延命効果が優れており且つ動物に対する致死効果が小さい。これら誘導体は、chromic myeloid leukemia治療薬として、ブスルファンに勝る効果が期待される。<br />研究課題/領域番号:63010031, 研究期間(年度):1988<br />出典:「新しい合成制癌剤の開発」研究成果報告書 課題番号63010031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010031/)を加工して作成 続きを見る
5.

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大野, 真介 ; Ohno, Shinsuke
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1991 – 1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060292
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究は、「どの分化段階にあるB細胞が形質細胞腫発症の標的細胞であるのか」を実証するために計画された。具体的には、(1)SCIDマウスを用いた形質細胞腫発症実験系の確立、および(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の 誘発、の2点であった。当初懸念されたことは、重症複合性免疫不全マウスであるSCIDマウスで、果たして形質細胞腫誘発が可能か否かということであった。事実、多くの実験は、SCIDマウスその自体での形質細胞腫発症には成功していない。私共は、今回、ヒツジ赤血球(SRBC)ー免疫あるいは正常BALB/c6.15(第6-第15染色体間のRobertsonian転座)マウスの脾臓おらび骨髄細胞をSCIDマウスに移入することにより、形質細胞腫を誘発し得ることを見いだした。特筆すべきことは、2例(2/12)の形質細胞腫がその染色体解析によりSCID起源と同定されたことである。この知見は、形質細胞腫発症の標的細胞が、ひとつには少なくとも未成熟B細胞である可能性を強く示唆し、今後の研究遂行の上で大きな指針を与えた。目的(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の誘発については、現在迄のところ成功していない。SRBCー免疫BALB/c6.15マウスの脾臓中には、抗ーSRBC抗体産生および同免疫記憶細胞は存在する。事実、これらの細胞により再構成されたSCIDマウス血清中には、抗ーSRBC抗体は約3ヶ月間陽性であった。ところが、マウス脾臓細胞全体を移入した場合には、SRBC応答性細胞以外のB細胞群が圧倒的に多いためか、実験結果はnegativeであった。移入する細胞群をさらにrefineすることにより、この実験は再度組織的に計画され、実施される予定である。<br />研究課題/領域番号:04152049, 研究期間(年度):1991 – 1992<br />出典:「SCIDマウス系における形質細胞腫発症機構の分子細胞遺伝学的研究」研究成果報告書 課題番号04152049(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152049/)を加工して作成 続きを見る
6.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成3(1991)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1991 Research Project Summary.  1991  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060297
概要: 金沢大学がん研究所<br />清木班員は各種がん細胞株の産生するメタロプロテア-ゼのmRNA発現をノ-ザン法で調べ、また鶏卵胎児の肝臓へ転移したがん細胞での発現を免疫組織学的に調べることにより、がん細胞でのMMPー9の発現が鶏卵法での転移能 と良く相関することを示した。佐藤班員はMMPー9遺伝子の発現制御領域を解析し、その発現が転写因子APー1,Spー1,NFーkBの結合部位を介して制御されることを示した。また、MMPー1、MMPー3遺伝子の制御領域との比較から、Spー1,NFーkBの結合部位を介するシグナルがMMPー9発現を誘導するために特徴的に必要とされることを明かにした。宮崎班員はインヒビタ-結合型MMPー2およびMMPー9がMMPー3によって効率良く活性化されることを示した。岡田班員はMMPー1、2、3、9とTIMPー1に対する単クロ-ン抗体を作成し、肺癌組織における発現を免疫組織学的に調べた。その結果、MMPー1とMMPー9が癌組織での主要酵素であり、TIMPー1との不均衡状態の存在を示した。早川班員はTIMPー2に特異的な単クロ-ン抗体を作成し、サンドイッチ酵素免疫測定法を確立した。谷口班員はβmアクチンが重合アクチンを安定化し、細胞運動能を低下させることにより転移能を抑制する可能性を示した。木村班員はヒトNDPキナ-ゼの2種のアイソフォ-ムに対応するラットホモロ-グcDNAを単離し、各組織での発現を調べた。ラットがん細胞の転移能との関係、シグナル伝達系への関与野解析を始めている。<br />研究課題/領域番号:03151020, 研究期間(年度):1991<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号03151020(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03151020/)を加工して作成 続きを見る
7.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060302
概要: 金沢大学がん研究所<br />我々が既に報告した2'-メチリデンシチジン(DMDC)は臨床応用の可能性が極めて高い特色ある抗癌剤として開発中であるが、このDMDCの2'ーメチリデンヌクレオシド誘導体である5ーフルオロシトシン体(5FDMDC )は、AraC及び5FUなどの既存抗癌剤が無効なヌードマウスに移植したヒト腫癌に対しても有効であることが確認された。さらに、各種ヒト腫癌細胞に対するin vitroのターゲットスペクトラムも明らかにAraC、5FUとは異なり、AraCの不活性化酵素であるシチジンデアミナーゼによって不活性化されず、骨髄毒性もAraCに比して弱いという特徴を有することも明らかなった。一方、核酸塩基部に不飽和官能基を有するヌクレオシドとして新たにエチルイミダゾールリボシド(EIR)を合成し、その抗腫癌活性を検討結果、in vivoの実験系で固型腫瘍に対しても有効であり、且つ低毒性の物質であることが確認された。Cyclic AMP 依存性蛋白リン酸化酵素Aー及びCーキナーゼに対する一連のイソキノリン及びスタウロスポリン誘導体の作用と細胞増殖に及ぼす影響を検討結果、Nー[2ー(4ーchloro-alpha-methylcinnamylamino)ethyl]-5-isoquinolinesulfonamide(H-87)がAーキナーゼを強く阻害し、AーキナーゼがG_1→S期の移行を促進的に、S→G_2期の移行には抑制的に関与していることが示唆された。胆汁酸を脱離基とするシクロヘキサンジアミン白金錯体類を新たに合成し検討結果、癌細胞の肺転移を顕著に抑制することが明らかとなった。全く新しいタイプの合成抗癌剤としての進展が期待される電子伝達系の5ーデアザフラビン類及び関連化合物の活性構造相関をin vitroの抗腫瘍活性を基にほぼ確立し、同じく新合野であるシコニン類縁体の合成に関しても簡便で信頼性のある合成法の確立に成功し、それらの抗腫癌性、癌転移抑制効果及び癌細胞周期に与える効果を検討中である。<br />研究課題/領域番号:01010024, 研究期間(年度):1989<br />出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号01010024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01010024/)を加工して作成 続きを見る
8.

論文

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成2(1990)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1990 Research Project Summary.  1990  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060299
概要: 金沢大学がん研究所<br />がん細胞の浸潤能に関係する因子としてメタロプロテア-ゼとTIMPに着目し、まずは報告された遺伝子配列に基づいて72kDa,92kDaIV型コラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシン、TIMPのcDNAクロ-ンをPCR法で 単離した。また、TIMP関連蛋白質の部分的アミノ酸配列を入手し、これを基に合成DNAプロ-ブを調整して新しいTIMP遺伝子のcDNAをクロ-ニングした。しかし、これは本年、L.Liottaらが報告したTIMPー2と同一であることが判明した。上記のcDNAをプロ-ブとして用いて、様々ながん遺伝子でトランスフォ-ムしたNIH3T3細胞の転移・浸潤能との関連を調べた。1、転移能は鶏卵法を用いて調べた。ヌ-ドマウスによる実験的転移能の解析で報告されている結果と一致して、ここでもrasトランスフォ-マントがもっとも強い転移能を示し、src,fos,ablもrasほどではないが明らかに造腫瘍性と転移能を増加させた。2、ノ-ザン法でメタロプロテア-ゼ、インヒビタ-の発現を調べると、親株のNIH3T3で既に72kDa,92kDaコラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシンが発現しており、細胞の転移能との相関は認められなかった。TIMP,TIMPー2の発現量にもトランスフォ-メ-ションや転移能と相関した変化はなかった。3、前年度にrasトランスフォ-マントではAutocrine Motility Factorの産生が昂進していることを報告した。本年度の結果と合わせて考えると、ras遺伝子による高転移性のNIH3T3細胞では浸潤性の昂進は細胞外マトリックスの分解能の昂進よりもむしろ運動性の昂進によって引き起こされていると考えられる。<br />研究課題/領域番号:02152041, 研究期間(年度):1990<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号02152041(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02152041/)を加工して作成 続きを見る
9.

論文

論文
村上, 清史 ; Murakami, Seishi
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060303
概要: 金沢大学がん研究所<br />HBV持続感染と肝癌発生との関連を1)肝癌及び慢性肝炎試料のHBV DNAの組み込み様式の構造解析。2)HBVゲノムの転写及び複製制御のシス情報の解析とトランスに結合する蛋白の同定、3)ウイルスX蛋白のtran s-activatorとしての可能性、4)動物モデル系の肝発癌とウイルスの関与の検討を行なった。主要な成果として1)培養肝細胞のHBV感染系を用い、感染後早期に再編成されたHBV DNA組み込みを検出した(落谷班員)。慢性肝炎試料で癌化に先だち多様な再編成を受けたHBV DNAの組み込みの存在が示された(小池班員)。これらの結果はHBV DNAの組み込み、または再編成が肝発癌と関連するとの作業仮説を支持しない。多中心性肝癌の機構、癌の進展機構の解析に組み込みの様式を癌細胞のクローナルなマーカーとして解析する方向が進展し(小林、安井班員)、動物モデル系でのウイルス増殖と癌試料のウイルスDNAの組み込み構造の解析が行われた(小俣、吉川班員)。2)エンハンサーの活性化と結合蛋白の検討を進め、c-jun/fos関連蛋白が活性化に関与し、更にX蛋白の標的領域であることが示された(村上)。X蛋白がmyc遺伝子上流制御領域のtrans-activatorとして機能することが示唆された(小池班員)。検討を進めるべき課題として、1)X蛋白が異なったシス情報をtrans-activationし、ウイルス増殖のみならず宿主の増殖関連遺伝子の活性化により細胞増殖をもたらし、癌化の前提となる細胞集団のexpansionに関与する可能性が提示されている。X蛋白のtrans-activation機能の解析をHBV及び宿主のXREと結合する制御蛋白と解析とXのmidulation機構の検討が重要となった。2)肝癌発生にはHBV感染後長期の潜伏期が疫学的に示されている。今後ヒト肝癌とウイルスの関与を理解する上でhypernodule、初期癌、進行癌の過程の特性を癌関連遺伝子の活性化、suppressor遺伝子の欠損等の検索が必要となった。<br />研究課題/領域番号:01010023, 研究期間(年度):1989<br />出典:「肝炎ウイルスと肝癌発生」研究成果報告書 課題番号01010023(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01010023/)を加工して作成 続きを見る
10.

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論文
佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060284
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、受精鶏卵を用いるヒト癌転移実験系を駆使して、転移性癌細胞の悪性形質発現に係わる生体物質並びに転移過程におけるそれらの発現意義を明らかにするとともに 、転移抑制に有効な物質および効果的な使用法の研究開発を展開している。平成4年度の研究では、受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の転移動態を明らかにし、さらに、ノーザンブロット法または特異抗体を用いた免疫組織化学染色法により高転移性癌細胞に発現される細胞外マトリックス分解酵素ならびに細胞接着因子を解析した。平成5年度は4年度の研究成果を基に、マトリックス分解酵素および細胞接着因子に対する阻害剤による転移抑制の可能性について検討した。その結果、フィブロネクチンあるいはラミニンに対する接着阻害合成オリゴペプチドとインテグリンβ_1サブユニットのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはヒト線維肉腫細胞であるHT-1080の転移を抑制し、接着因子が転移抑制において有用な標的となる可能性が示された。一方、本研究で試験した市販試薬級のマトリックス分解酵素阻害剤は明らかな転移阻害活性が認められず、持続的効果と癌細胞の浸潤局部への集積性を考慮した新たな阻害剤を開発する必要性が考えられた。また、現在開発中の抗腫瘍性2'-デオキシシチジン誘導体、CNDAC(2'-cyano-2'-deoxy-1-β-D-arabinofuranosylcytosine)およびDMDC(2'-deoxy-2'-methylidenecytidine)の転移抑制効果についても受精鶏卵法により検討した結果、CNDACとDMDCはともにヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示すことが明らかとなった。微小転移巣の早期診断と治療は癌の治療の成否を決定づける最も重要な要因である。CNDACおよびDMDCはヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示し、微小転移巣の早期治療や転移予防への実際的な応用も期待される。<br />研究課題/領域番号:05152052, 研究期間(年度):1993<br />出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号05152052(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152052/)を加工して作成 続きを見る