1.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 昭和62(1987)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1987 Research Project Summary.  1986 – 1987  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060308
概要: 金沢大学がん研究所<br />1.水溶媒中でミセルを形成するように胆汁酸を脱離基としたDACHPのミセル形成型白金錯体を合成し,その抗腫瘍活性を検討した. これられ錯体は全身投与可能な脂溶性錯体であり, マウス白血病L1210やマウス悪性黒 色腫瘍B16メラノーマに対して,in vivoで著明な効果を示した. 脱離基分子上の水酸基の数,位置,配置が油層への溶解度,ミラル形成,抗腫瘍活性等に大きく影響を与えることを明らかにした.2.2′ーdeoxyー2′ーmethylideue cytidine(DMDC) の抗腫瘍活性を更に検討した. その結果, マウス白血病以外にヒト由未白血病細胞やヒト由未カルチノーマに対しても効果が見いだされ, DMDCが白血病のみならずヒト固型腫瘍にも有効であることが分った. 又, このDMDCは鶏卵法でもヒト肺癌に制癌効果を示した. 作用機作の解明を含めた広範な前臨床実験を目下実施中である.3.1,4ーbutanediol diー2,2,2ーtrifluoraethanesulfonate(BFS) と1,4ーbutanedioldiisethionate(BIT)を用いて,chronic myeloid leukemia(CML)に対する治療薬としての特性を既知制癌剤のbusulfanと比較検討した. その結果,busulfanは骨髓抑制以外の致死的毒作用を有し,しかもmgeloid系への選択毒性が,BFS,BITに比べて小さい事が判明した. 從って,BFS及びBITは,毒性面からも,またmyeloid選択毒性面から見てもbusulfanに優るCML治療薬となる可能性が強く示唆された.4.臨床応用可能な分化誘導物質をめざして,多数の新規核酸関連合成化合物を検討の結果,2,4ーdiethylー7,7,8,8ーtetramethylーcisー2,4ーdiazabicyclo〔4.2,0〕Octaneー3,5ーdioneがヒト前髓球性白血病細胞(HLー60)に対して強い分化誘導効果と増殖抑制効果を示すことを見出した. また,この新規分化誘導物質に,抗白血病剤(daunomycin)やビタミンA誘導体と併用すると,相乘的に作用が増強されることを見出した.<br />研究課題/領域番号:62010033, 研究期間(年度):1986 – 1987<br />出典:「新しい合成制癌剤の研究」研究成果報告書 課題番号62010033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-62010033/)を加工して作成 続きを見る
2.

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高倉, 伸幸 ; Takakura, Nobuyuki
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2002 – 2004  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060567
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />がんの悪性化は腫瘍内の血管形成と密接に関わる。そこで腫瘍血管新生の分子メカニズムを明らかにすることを目的として、血管形成に関わる血管内皮細胞と血液細胞および壁細胞の細胞間相互作用の解析を行なった。今回、 特定の腫瘍モデルにおいては、造血幹細胞は新生された血管の内皮細胞を裏打ちして血管構造の安定化および血管拡張を誘導することが判明した。これら造血幹細胞の内皮細胞への裏打ちを抑制すると、腫瘍周囲に形成されるfibrous cap内の血管床の形成が未成熟となり、腫瘍の増大も抑制することが判明した。この造血幹細胞による血管の安定化、拡張においては造血幹細胞の分泌する血管内皮細胞に発現するレセプター型チロシンキナーゼTie2のリガンドであるアンジオポエチン-1が関与することに加え、造血幹細胞の血管壁細胞への分化が一因となっていることが判明した。そこで、Tie2の活性化により誘導され、血管成熟に関わる遺伝子の候補のスクリーニングを行った。Tie2の活性化により内皮細胞よりACEの分泌抑制がもたらされることが判明した。正酸素状態では内皮細胞は壁細胞の分泌するアンジオポエチン-1により常に活性化した状況であり、この際にはACEの分泌は抑制されている。しかし低酸素ではTIE2の不活性化に伴い、ACEの分泌が上昇する。局所において、AngiotensinIがACEにより活性化型のAngiotensinIIに変換されるとAngiotensinII受容体とVEGF受容体VEGFR2のクロストークによる血管透過性亢進することが判明した。低酸素状態における血管透過性の亢進が血液細胞の腫瘍内への浸潤を誘導し、腫瘍血管新性を促進する機構にTIE2の不活性化によるACEの分泌が亢進することが起因していると考えられた。<br />研究課題/領域番号:14028023, 研究期間(年度):2002 – 2004<br />出典:「血管新生における分子基盤の解明とその制御」研究成果報告書 課題番号14028023(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14028023/)を加工して作成 続きを見る
3.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成2(1990)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1990 Research Project Summary.  1990  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060300
概要: 金沢大学がん研究所<br />前年度に引続き2'ーdeoxycytidineの2'ーarabino位への置換基の導入を検討し、2'ーazido体(Cytarazid)の簡便、大量合成法を確立すると共に2'ーシアノ体(CNDAC)をラジカル反 応を用いて新たに合成した。種々のヒト固型腫瘍由来細胞に対しCytarazid及びCNDACはともに強い増殖抑制効果を示した。また、podophyllotoxin型リグナン類の合成をDielsーAlder反応を用いて合成し、強い抗腫瘍活性を有する化合物を得ることができた。ブレオマイシンの細胞毒性は、ポリアクリル酸と撹拌すると増大するが、この時の細胞死は未知の致死機構によるものと考えられ、休止期細胞や耐性細胞にも同等に作用することを見出した。白金錯体を酸性多糖に結合させた高分子マトリックス型錯体を合成し、それらがB16ーF10メラノ-マの肺転移を抑制することを見出した。酸化還元代謝調節能を有するフラビンや5ーデアザフラビンの誘導体を合成した。これらの中でもNO_2基やCOOC_2H_5基を有するものが強い抗癌活性を示した。次に生元素の一つであるセレンを骨格内に導入した5ーデアザー10ーセレナフラビンを合成し、この化合物もかなり強い抗癌活性を有することを見出した。一方、ヒト腫瘍に対する簡便で能率の良い転移治療モデルとして、鶏卵胎児の転移多発臓器のおけるヒト腫瘍の微小転移巣に含まれるヒト腫瘍細胞の特定遺伝子をPolymerase Chain Reaction法により定量的に検出する我々独自の方法を用いて、転移抑制及び治療に有効な物質をスクリ-ニングした。その結果、本研究班で合成したDMDC(2'ーdeoxyー2'ーmethylidenecytidine)とCNDACがヒト線維肉腫HT1080の肝・肺の転移巣を顕著に抑制することがわかった。選択性の高いプロテインキナ-ゼ作用薬を得るために新しくデザインされたイソキノリン誘導体の細胞周期及び制癌剤多剤耐性に及ぼす影響を検討した結果、in vitroではあるが、P388/ADRの耐性解除作用の強い物質を見出した。<br />研究課題/領域番号:02151021, 研究期間(年度):1990<br />出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号02151021(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02151021/)を加工して作成 続きを見る
4.

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服部, 絢一 ; Hattori, Kenichi
出版情報: 昭和60(1985)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1985 Research Project Summary.  1985  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060314
概要: 金沢大学医学部<br />化学・X線・外科療法など集学的な癌根絶法と自家骨髄移植法の組合せで癌を治すことを研究目的として、次の研究成果が挙げられた。1.基礎的研究:移植用骨髄中に混在する癌細胞の除去法について(1)モノクローナル(モノ)抗体 と補体の in vitro処理法 common ALL に対するJ-2、-5、BA-1、-2、-3(以上市販)、横山製NU-N2、愛知がんセンター製NL-1、-22、HL-47が試用に供され、T-ALLに対する山田製B-7、ATL-27などや横山製KOLT-2の実用性が検討されている。(2)4-hydroperoxycyclophosphamide(4HC)やimmunotoxinの in vitro処理法4-HCのCFU-Cへの影響が検討され、4-HCは分化型に比し末分化CFUへの抑制度は軽いことが明かにされた(三浦)。immunotoxinとして、モノ抗体・ricin結合体の適用性が検討された(永井、横山)。2. 臨床的研究:成人と小児の癌に対し行った成績を合せて述べる。固形癌91例、悪性リンパ腫19例中6例(=6/19)、ホジキン病1/2、肺小細胞癌1/12、神経芽腫2/11、脳腫瘍1/10、精巣癌4/8、ユーイング肉腫1/5、横紋筋肉腫1/5、骨肉腫2/4、鼻咽頭癌2/2、卵嚢癌、乳癌各1、合計23/91(25%)は移植後12〜66月間生存、うち悪性リンパ腫3例、精巣癌、鼻咽頭癌各1例は無治療で5年間健在で、本治療法が癌を治しうることを証明した。予じめ、モノ抗体と補体で処理した自家骨髄を移植した common ALL15例中3例は何れも16月間、無治療で寛解維持中、5例は1年未満ながら生存、観察中、残りの7例は再発または感染症で死亡し、再発防止に今一つの工夫を要することがわかった。まとめ 問題点である再発が、採取骨髄内の癌細胞の完全除去法と患者への徹底的な癌根絶法とで解決され、さらに本治療法に対する保険が全面的に適用されれば、本法により未分化癌を完治させる道が開かれるであろう。さらに目下開発中の高エネルギー粒子線が分化癌に効果があれば本法の適応は一段と拡大するであろう。<br />研究課題/領域番号:60010033, 研究期間(年度):1985<br />出典:「自己造血幹細胞の移植を応用する悪性腫瘍治療法の基礎的臨床的研究」研究成果報告書 課題番号60010033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60010033/)を加工して作成 続きを見る
5.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 昭和63(1988)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1988 Research Project Summary.  1988  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060305
概要: 金沢大学がん研究所<br />新しい化学構造ないし作用機序をもつ新しい合成制癌剤の開発を目指して、主に複素環化合物類の化学合成を行い、それら新規合成化合物の分化誘導活性と鶏卵法やヌードマウスを用いてヒト癌を含めた抗癌活性の検討を行った。1. 既知制癌剤AraC と5FUの療法の性質を兼ね備えた新規化合物2'-メチリデンシチジンが顕著な抗白血病作用をもつことは前年度に報告した。今年度はこの物質の制癌効果を更に検討した結果:(1)静脈内及び経口投与でも有効である(2)AraCや5FUとは異なりP36(ヒトメラノーマ)にも有効である(3)Lewis 肺癌、M5076肉腫に対しても顕著な効果を示す(4)マウスでの骨髄毒性は、AraCに比して弱いこと等が明らかになり、ヒト固型腫瘍にも有効な新規制癌剤として極めて有望であることが確認された。2.新たにイミダゾールヌクレオシド類を合成し、その制癌活性を検討中であるが、invivoの実験系で腫瘍に対する選択性が極めて高く且つ毒性の低い物質であることが確認され、今までに報告されていないタイプの新規制癌剤として期待される。3.チロシンキナーゼ阻害剤であるハービマイシンAによるヒト骨髄性白血病細胞(K562)の分化誘導と増殖抑制効果を詳細に検討の結果、癌遺伝子産物の活性を特異的に抑制する薬剤は、分化誘導を介して制癌効果を発揮することが明らかになった。この新知見は、今後の新規合成制癌剤開発の重要な指針となるものと考えられる。4.新たに合成したフツ素あるいは水酸基を有する2種類のブスルファン誘導体(BFSおよびBIT)はいずれもブスルファンに比べて有意に坦癌動物に対する延命効果が優れており且つ動物に対する致死効果が小さい。これら誘導体は、chromic myeloid leukemia治療薬として、ブスルファンに勝る効果が期待される。<br />研究課題/領域番号:63010031, 研究期間(年度):1988<br />出典:「新しい合成制癌剤の開発」研究成果報告書 課題番号63010031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010031/)を加工して作成 続きを見る
6.

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加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060509
概要: 金沢大学理工研究域<br />我々は、昨年度の本特定領域研究において、腎臓や小腸の上皮細胞刷子縁膜や肝臓の血液側膜に発現する薬物トランスポーター群とPDZタンパク質群との特異的な相互作用を見出すとともに、PDZタンパク質の一つであるPDZK 1が有機カチオントランスポーターOCTN2やペプチドトランスポーターPEPT2の機能制御因子であることを見出した。本年度は、PDZタンパク質群の薬理学的意義をさらに追究するため、ともにPDZタンパク質と結合するペプチドトランスポーターPEPT1とその輸送駆動力であるH^+勾配を形成するNa^+/H^+ exchanger (NHE)3との機能的カップリング、およびPDZK1のホモログであるPDZK2によるトランスポーター機能制御について検討した。NHE3がPEPT1と同時に存在すると、PEPT1による基質輸送能が上昇し、輸送にNa依存性が見られるとともに、より高いpH条件下でも効率的な輸送の見られることを示した。このことは、PDZタンパク質との結合により両者が近接して存在することで、PEPT1によるペプチドや基質薬物輸送がより効率的に行なわれることを示唆する。一方、PDZK2はPDZK1と同様、OCTN2の輸送機能を促進したものの、PDZK1が細胞表面でのOCTN2の発現量に影響を与えないのに対し、PDZK2はOCTN2の発現量を上昇させることが示された。このことはPDZK2がOCTN2の輸送機能よりもむしろソーティングの制御に関与することを示唆する。さらに薬理学的意義を強く示唆するため、臨床応用の進められているモデル薬物として尿酸生合成阻害薬Y-700を用い、その肝細胞における輸送メカニズムを明らかにした。以上、本研究ではPDZタンパク質群のいくつかの薬理学的意義を示唆し、薬物動態において重要なタンパク質群である可能性を明らかとすることができた。<br />研究課題/領域番号:16044217, 研究期間(年度):2004-2005<br />出典:「薬物取り込み・排出トランスポーターの細胞膜ソーティングの分子機構と薬理学的意義」研究成果報告書 課題番号16044217(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16044217/)を加工して作成 続きを見る
7.

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多久和, 陽 ; Takuwa, Yoh
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060521
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />活性化血小板から放出される生理活性リゾリン脂質、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、マウスB16メラノーマ細胞において内因性に発現するG蛋白共役型S1P受容体、S1P2/Edg5サブタイプを介し、 in vitroにおいて細胞遊走と細胞外マトリックス浸潤を抑制する。本研究では、B16細胞のC57BL/6マウス皮下接種によるメラノーマ腫瘤形成が、S1Pの連日局所投与により用量依存性に著明に抑制されることを見出した。病理組織学的検討ではS1P投与群においてがん組織の線維性被膜による隔絶と周辺組織への浸潤の欠如が認められた。In vitroにおいてS1PはB16細胞の増殖を抑制しなかった。S1P2/Edg5ノックアウトマウスを用いた検討から、S1Pの抑制効果は宿主側間質細胞ではなくB16細胞の発現するS1P2/Edg5を介し発揮されるものと考えられた。B16細胞にS1P2/Edg5受容体を強発現させ皮下接種するとS1Pの抑制効果に対しより感受性となった。一方、B16細胞にS1P1/Edg1受容体(in vitroにおいてGiを介し細胞遊走・浸潤を促進する)を強発現させると、メラノーマ腫瘤形成がS1P依存性に増強された。これらの知見からin vivoにおいてS1Pはがん細胞が発現する受容体サブタイプ特異的にがんの浸潤、腫瘤形成を促進あるいは抑制することが明らかとなった。さらに、培養血管内皮細胞へのB16細胞の接着・伸展がS1Pにより抑制され、これはS1P_2/Edg5選択的阻害剤により解除されることを見出した。これはS1P_2/Edg5を介する血行性肺転移抑制の分子機構の一端を担うと考えられる。<br />研究課題/領域番号:16022225, 研究期間(年度):2004<br />出典:「G蛋白共役型受容体による癌の浸潤・転移の制御とその分子メカニズム」研究成果報告書 課題番号16022225(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16022225/)を加工して作成 続きを見る
8.

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大野, 真介 ; Ohno, Shinsuke
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1991 – 1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060292
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究は、「どの分化段階にあるB細胞が形質細胞腫発症の標的細胞であるのか」を実証するために計画された。具体的には、(1)SCIDマウスを用いた形質細胞腫発症実験系の確立、および(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の 誘発、の2点であった。当初懸念されたことは、重症複合性免疫不全マウスであるSCIDマウスで、果たして形質細胞腫誘発が可能か否かということであった。事実、多くの実験は、SCIDマウスその自体での形質細胞腫発症には成功していない。私共は、今回、ヒツジ赤血球(SRBC)ー免疫あるいは正常BALB/c6.15(第6-第15染色体間のRobertsonian転座)マウスの脾臓おらび骨髄細胞をSCIDマウスに移入することにより、形質細胞腫を誘発し得ることを見いだした。特筆すべきことは、2例(2/12)の形質細胞腫がその染色体解析によりSCID起源と同定されたことである。この知見は、形質細胞腫発症の標的細胞が、ひとつには少なくとも未成熟B細胞である可能性を強く示唆し、今後の研究遂行の上で大きな指針を与えた。目的(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の誘発については、現在迄のところ成功していない。SRBCー免疫BALB/c6.15マウスの脾臓中には、抗ーSRBC抗体産生および同免疫記憶細胞は存在する。事実、これらの細胞により再構成されたSCIDマウス血清中には、抗ーSRBC抗体は約3ヶ月間陽性であった。ところが、マウス脾臓細胞全体を移入した場合には、SRBC応答性細胞以外のB細胞群が圧倒的に多いためか、実験結果はnegativeであった。移入する細胞群をさらにrefineすることにより、この実験は再度組織的に計画され、実施される予定である。<br />研究課題/領域番号:04152049, 研究期間(年度):1991 – 1992<br />出典:「SCIDマウス系における形質細胞腫発症機構の分子細胞遺伝学的研究」研究成果報告書 課題番号04152049(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152049/)を加工して作成 続きを見る
9.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成3(1991)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1991 Research Project Summary.  1991  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060297
概要: 金沢大学がん研究所<br />清木班員は各種がん細胞株の産生するメタロプロテア-ゼのmRNA発現をノ-ザン法で調べ、また鶏卵胎児の肝臓へ転移したがん細胞での発現を免疫組織学的に調べることにより、がん細胞でのMMPー9の発現が鶏卵法での転移能 と良く相関することを示した。佐藤班員はMMPー9遺伝子の発現制御領域を解析し、その発現が転写因子APー1,Spー1,NFーkBの結合部位を介して制御されることを示した。また、MMPー1、MMPー3遺伝子の制御領域との比較から、Spー1,NFーkBの結合部位を介するシグナルがMMPー9発現を誘導するために特徴的に必要とされることを明かにした。宮崎班員はインヒビタ-結合型MMPー2およびMMPー9がMMPー3によって効率良く活性化されることを示した。岡田班員はMMPー1、2、3、9とTIMPー1に対する単クロ-ン抗体を作成し、肺癌組織における発現を免疫組織学的に調べた。その結果、MMPー1とMMPー9が癌組織での主要酵素であり、TIMPー1との不均衡状態の存在を示した。早川班員はTIMPー2に特異的な単クロ-ン抗体を作成し、サンドイッチ酵素免疫測定法を確立した。谷口班員はβmアクチンが重合アクチンを安定化し、細胞運動能を低下させることにより転移能を抑制する可能性を示した。木村班員はヒトNDPキナ-ゼの2種のアイソフォ-ムに対応するラットホモロ-グcDNAを単離し、各組織での発現を調べた。ラットがん細胞の転移能との関係、シグナル伝達系への関与野解析を始めている。<br />研究課題/領域番号:03151020, 研究期間(年度):1991<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号03151020(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03151020/)を加工して作成 続きを見る
10.

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加藤, 聖 ; Kato, Satoru
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060516
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />レチノイン酸代謝系として、まず合成酵素レチナールアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(RALDH-2)の金魚cDNAを部分クローニングし、RT-PCR法およびISH法で調べた。RALDH-2 mRNA量は視神 経切断後5〜6日から上昇し始め、10〜14日でピークとなりその後徐々に減少した。このRALDH-2 mRNA量の変化は、網膜神経節細胞に限局していた。一方、レチノイン酸分解酵素チトクロムP-450サブタイプ26(CYP-26)のcDNAを部分クローニングし、同じくRT-PCR法、ISH法で調べた。CYP-26 mRNA量は視神経切断後5、6日から減少し始め10〜14日で減少のピークとなり、その後徐々に元に戻った。このCYP-26 mRNA量の変化の局在は網膜神経節細胞に限局していた。丁度RALDH-2とCYP-26のmRNA変化がミラーイメージと逆であった。次にレチノイン酸誘導酵素として有名なトランスグルタミネースのcDNA全長をクローニングした。ノーザン法、ISH法でトランスグルタミネースmRNA量を調べた所、視神経切断後5〜10日にかけて増加し始め、20〜30日でピークとなり40日以降減少した。このトランスグルタミネースmRNA量変化の局在は、網膜神経節細胞に限局していた。次にトランスグルタミネースcDNA全長をHEK293細胞に導入し、リコンビナント蛋白を作らせた。このリコンビナント蛋白を網膜培養下に投与すると、著明に神経突起の伸展を引き起こした。また、抗体やトランスグルタミネースmRNAに特異的なRNAiにより、この突起伸展が有意に抑制された。これらの事実から、トランスグルタミネースは細胞外において神経節細胞からの軸索再生を誘導していることが判明した。以上、レチノイン酸がその核内レセプターを介して種々の神経軸索再生遺伝子の転写を高めていることが強く示唆された。<br />研究課題/領域番号:16027218, 研究期間(年度):2004-2005<br />出典:「レチノイン酸が成熟金魚の視神経再生を引き起こす」研究成果報告書 課題番号16027218(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16027218/)を加工して作成 続きを見る
11.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060302
概要: 金沢大学がん研究所<br />我々が既に報告した2'-メチリデンシチジン(DMDC)は臨床応用の可能性が極めて高い特色ある抗癌剤として開発中であるが、このDMDCの2'ーメチリデンヌクレオシド誘導体である5ーフルオロシトシン体(5FDMDC )は、AraC及び5FUなどの既存抗癌剤が無効なヌードマウスに移植したヒト腫癌に対しても有効であることが確認された。さらに、各種ヒト腫癌細胞に対するin vitroのターゲットスペクトラムも明らかにAraC、5FUとは異なり、AraCの不活性化酵素であるシチジンデアミナーゼによって不活性化されず、骨髄毒性もAraCに比して弱いという特徴を有することも明らかなった。一方、核酸塩基部に不飽和官能基を有するヌクレオシドとして新たにエチルイミダゾールリボシド(EIR)を合成し、その抗腫癌活性を検討結果、in vivoの実験系で固型腫瘍に対しても有効であり、且つ低毒性の物質であることが確認された。Cyclic AMP 依存性蛋白リン酸化酵素Aー及びCーキナーゼに対する一連のイソキノリン及びスタウロスポリン誘導体の作用と細胞増殖に及ぼす影響を検討結果、Nー[2ー(4ーchloro-alpha-methylcinnamylamino)ethyl]-5-isoquinolinesulfonamide(H-87)がAーキナーゼを強く阻害し、AーキナーゼがG_1→S期の移行を促進的に、S→G_2期の移行には抑制的に関与していることが示唆された。胆汁酸を脱離基とするシクロヘキサンジアミン白金錯体類を新たに合成し検討結果、癌細胞の肺転移を顕著に抑制することが明らかとなった。全く新しいタイプの合成抗癌剤としての進展が期待される電子伝達系の5ーデアザフラビン類及び関連化合物の活性構造相関をin vitroの抗腫瘍活性を基にほぼ確立し、同じく新合野であるシコニン類縁体の合成に関しても簡便で信頼性のある合成法の確立に成功し、それらの抗腫癌性、癌転移抑制効果及び癌細胞周期に与える効果を検討中である。<br />研究課題/領域番号:01010024, 研究期間(年度):1989<br />出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号01010024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01010024/)を加工して作成 続きを見る
12.

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少作, 隆子 ; Shosaku, Takako
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2003 – 2004  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060537
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br /><目的>内因性カンナビノイドは、脳の様々な領域において逆行性シグナルとして働いている。シナプス後ニューロンから放出され、それがシナプス前終末に存在するカンナビノイド受容体を活性化し、神経伝達物質の放出 を抑制する。また、シナプス可塑性の誘導にも関与していることが報告されている。本研究では、培養海馬ニューロンを用い、内因性カンナビノイドの放出メカニズムについて詳しく検討した。<方法>ラットおよびマウスの海馬ニューロンを単離培養し、ニューロン・ペアよりIPSCを記録し、IPSCの振幅の変化を指標にしてシナプス後ニューロンからの内因性カンナビノイドの放出量を測定した。また、phospholipase C(PLC)産物であるジアシルグリセロールにより活性化されるTRPC6チャネルを強制発現させ、生きた細胞1個のPLC活性をリアルタイムでモニターした。<結果および考察>(1)Gq共役型受容体(group I代謝型グルタミン酸受容体など)の活性化と脱分極が同時に起こると内因性カンナビノイドが多量に放出された。(2)受容体活性化による内因性カンナビノイドの放出はPLCβ1欠損マウスでは消失していた。(3)受容体活性化により引き起こされる内因性カンナビノイドの放出は、細胞内Ca^<2+>濃度に強く依存していた。(4)TRPC6電流を指標としてPLCβ1活性を調べたところ、受容体を介するPLCβ1の活性化が細胞内Ca^<2+>濃度に強く依存し、また、脱分極によるCa^<2+>濃度上昇により著しく増強されることが示された。以上より、内因性カンナビノイドの合成・放出の律速酵素と考えられるPLCβ1が、生理的範囲において強いCa^<2+>依存性を示すため、細胞内Ca^<2+>濃度上昇と受容体活性化が同時に起こると強く活性化され、多量のカンナビノイドが放出されると考えられた。<br />研究課題/領域番号:15029220, 研究期間(年度):2003 – 2004<br />出典:「シナプス可塑性の誘導における内因性カンナビノイドの役割」研究成果報告書 課題番号15029220(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15029220/)を加工して作成 続きを見る
13.

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加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060506
概要: 金沢大学理工研究域<br />腎臓や小腸は外界からの低分子異物の侵入を防ぎ、かつそれらを生体から排除する一方、生体に必要な栄養物質を吸収している。これら臓器の上皮細胞アピカル側膜上には、異物を排出し栄養物質を吸収する巧妙な分子メカニズムとし て薬物トランスポーター群が存在する。本研究は、異物解毒と栄養吸収という双方向のベクトル輸送を司る高次の分子機構の解明を目指し、薬物トランスポーター分子内に存在する共通の分子配列を同定するとともに、その配列を認識しトランスポーターの機能を制御するアダプタータンパク質の同定を目的とした。Yeast two hybrid法および遺伝子組換え精製タンパク質を用いたpull-down法により、solute carrier superfamilyに属する薬物トランスポーター20種類のC末端と、腎臓および小腸に発現する4つのPDZドメインを有するタンパク質との相互作用を解析した結果、アピカル膜に発現する数種類のトランスポーターとの特異的相互作用を見いだした。このうち腎アピカル膜に局在するPDZタンパク質であるPDZK1存在下で、ペプチドトランスポーターPEPT2および有機カチオン/カルニチントランスポーターOCTN2の基質輸送能の亢進が認められた。特にOCTN2による基質輸送能に及ぼす促進効果は顕著であり、基質に対する親和性の変化ではなく輸送キャパシティーの約6倍の上昇により説明できた。また細胞表面に発現するOCTN2をビオチン標識とWestern blot法により定量したところ、PDZK1はOCTN2の形質膜上での発現量には影響を与えておらず、相互作用により直接輸送を制御することが示唆された。免疫共染色によりPDZK1とOCTN2は腎尿細管刷子縁膜に共局在することが示された。以上の知見は、薬物トランスポーターがアピカル膜において個々に単独で存在するのではなく、PDZタンパクを介したクラスターを形成することにより異物の排除と栄養物の吸収を担っていることを強く示唆するものである。<br />研究課題/領域番号:16048210, 研究期間(年度):2004<br />出典:「異物排出トランスポーター群の上皮細胞アピカル膜局在を制御する分子シグナル」研究成果報告書 課題番号16048210(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16048210/)を加工して作成 続きを見る
14.

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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成19(2007)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2007 Research Project Summary.  2003 – 2007  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060528
概要: 理化学研究所 / 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />上皮細胞特異的に発現し、側基底面細胞膜への膜蛋白質の極性輸送を担うクラスリンアダプター複合体,AP-1B複合体の個体レベルでの役割を明らかにする目的で、AP-1Bのサブユニットμ1B の遺伝子欠損マウスの解析を行った。μ1B欠損マウスは成長障害が認められ、ほとんどは3ヶ月以内に死亡した。組織学的検討の結果、腸管上皮の過形成が認められた。免疫組織染色の結果、μ1B依存的に側基底面細胞膜に局在するLDL受容体がμ1B欠損マウスでは管腔側細胞膜にも存在しており、また本来管腔側細胞膜のみに局在するsucraseやvillinが側基底面細胞膜にも局在していた。電顕による観察でも本来管腔側のみに見られる微絨毛が側基底面細胞膜に異所性に認められた。これらの結果は、AP-1Bが個体レベルでも上皮細胞における極性輸送制御に重要であることを示唆している。μ1B欠損マウスでは腸管粘膜上皮の過形成が見られたことからKi67陽性の増殖細胞の分布を調べたところ、野生型では幹細胞が存在するクリプト底部にのみ見られるのに対し、μ1B欠損マウスではクリプトから絨毛部にかけて広く分布していた。EGF受容体ファミリーのErbB2/ErbB3ヘテロ2量体はEGF増殖シグナルを伝達するが、分化した上皮細胞では、ErbB3は管腔側に、ErbB2はAP-1Bにより側基底面細胞膜に分かれて局在するため増殖シグナルは伝達されない。しかしμ1B欠損マウスにおいてはErbB2が管腔側にも局在するため異常な増殖シグナル伝達が起こることが示唆された。さらに、μ1B欠損マウスではβ-cateninの核移行も亢進していた。β-cateninは上皮細胞のクリプトー絨毛軸における移動を制御するEphB2の転写も制御することから、β-cateninの核移行亢進がμ1B欠損マウスにおける増殖細胞の異常分布に寄与している可能性が示唆された。<br />研究課題/領域番号:15079203, 研究期間(年度):2003-2007<br />出典:「輸送小胞形成・積み荷蛋白質選別の分子機構とその高次機能における役割」研究成果報告書 課題番号15079203(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15079203/)を加工して作成 続きを見る
15.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成2(1990)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1990 Research Project Summary.  1990  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060299
概要: 金沢大学がん研究所<br />がん細胞の浸潤能に関係する因子としてメタロプロテア-ゼとTIMPに着目し、まずは報告された遺伝子配列に基づいて72kDa,92kDaIV型コラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシン、TIMPのcDNAクロ-ンをPCR法で 単離した。また、TIMP関連蛋白質の部分的アミノ酸配列を入手し、これを基に合成DNAプロ-ブを調整して新しいTIMP遺伝子のcDNAをクロ-ニングした。しかし、これは本年、L.Liottaらが報告したTIMPー2と同一であることが判明した。上記のcDNAをプロ-ブとして用いて、様々ながん遺伝子でトランスフォ-ムしたNIH3T3細胞の転移・浸潤能との関連を調べた。1、転移能は鶏卵法を用いて調べた。ヌ-ドマウスによる実験的転移能の解析で報告されている結果と一致して、ここでもrasトランスフォ-マントがもっとも強い転移能を示し、src,fos,ablもrasほどではないが明らかに造腫瘍性と転移能を増加させた。2、ノ-ザン法でメタロプロテア-ゼ、インヒビタ-の発現を調べると、親株のNIH3T3で既に72kDa,92kDaコラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシンが発現しており、細胞の転移能との相関は認められなかった。TIMP,TIMPー2の発現量にもトランスフォ-メ-ションや転移能と相関した変化はなかった。3、前年度にrasトランスフォ-マントではAutocrine Motility Factorの産生が昂進していることを報告した。本年度の結果と合わせて考えると、ras遺伝子による高転移性のNIH3T3細胞では浸潤性の昂進は細胞外マトリックスの分解能の昂進よりもむしろ運動性の昂進によって引き起こされていると考えられる。<br />研究課題/領域番号:02152041, 研究期間(年度):1990<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号02152041(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02152041/)を加工して作成 続きを見る
16.

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村上, 清史 ; Murakami, Seishi
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060303
概要: 金沢大学がん研究所<br />HBV持続感染と肝癌発生との関連を1)肝癌及び慢性肝炎試料のHBV DNAの組み込み様式の構造解析。2)HBVゲノムの転写及び複製制御のシス情報の解析とトランスに結合する蛋白の同定、3)ウイルスX蛋白のtran s-activatorとしての可能性、4)動物モデル系の肝発癌とウイルスの関与の検討を行なった。主要な成果として1)培養肝細胞のHBV感染系を用い、感染後早期に再編成されたHBV DNA組み込みを検出した(落谷班員)。慢性肝炎試料で癌化に先だち多様な再編成を受けたHBV DNAの組み込みの存在が示された(小池班員)。これらの結果はHBV DNAの組み込み、または再編成が肝発癌と関連するとの作業仮説を支持しない。多中心性肝癌の機構、癌の進展機構の解析に組み込みの様式を癌細胞のクローナルなマーカーとして解析する方向が進展し(小林、安井班員)、動物モデル系でのウイルス増殖と癌試料のウイルスDNAの組み込み構造の解析が行われた(小俣、吉川班員)。2)エンハンサーの活性化と結合蛋白の検討を進め、c-jun/fos関連蛋白が活性化に関与し、更にX蛋白の標的領域であることが示された(村上)。X蛋白がmyc遺伝子上流制御領域のtrans-activatorとして機能することが示唆された(小池班員)。検討を進めるべき課題として、1)X蛋白が異なったシス情報をtrans-activationし、ウイルス増殖のみならず宿主の増殖関連遺伝子の活性化により細胞増殖をもたらし、癌化の前提となる細胞集団のexpansionに関与する可能性が提示されている。X蛋白のtrans-activation機能の解析をHBV及び宿主のXREと結合する制御蛋白と解析とXのmidulation機構の検討が重要となった。2)肝癌発生にはHBV感染後長期の潜伏期が疫学的に示されている。今後ヒト肝癌とウイルスの関与を理解する上でhypernodule、初期癌、進行癌の過程の特性を癌関連遺伝子の活性化、suppressor遺伝子の欠損等の検索が必要となった。<br />研究課題/領域番号:01010023, 研究期間(年度):1989<br />出典:「肝炎ウイルスと肝癌発生」研究成果報告書 課題番号01010023(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01010023/)を加工して作成 続きを見る
17.

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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060539
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に作用して癌の浸潤・転移が成立するが、その協調的制御機構については不明な点が多い。そこで本研究ではMT1-MMPの細胞運動における役割を解析した。HT1080細胞 をI型コラーゲン上に接着させることでERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導され、MT1-MMPの過剰発現は細胞運動およびERK活性化の亢進を誘導した。MMP阻害剤とMEK(MAPKK)阻害剤によりこの細胞運動とERK活性化は抑制され、活性型MEK発現により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤で抑制された。また、MT1-MMPのヘモペキシンドメインの過剰発現はI型コラーゲンによるERK活性化、MMP-2活性化、細胞運動を抑制した。これらの結果からI型コラーゲンによるERK活性化とMT1-MMP活性発現誘導間の正のフィードバック機構の存在が明らかとなった。また、本研究では4回膜貫通型分子CD63がMT1-MMPと結合し、MT1-MMPのリソゾームでの分解を促進することでMT1-MMP活性を負に制御すること、MT1-MMPが細胞膜接着分子Syndecan 1を切断することで細胞運動を制御していることも見出した。本研究ではインテグリン/FAK/p130^<cas>による細胞運動誘導情報伝達機構におけるアダプター分子Crkの役割も解析した。CrkIIは221番チロシンがリン酸化されるとSH2ドメインを介して分子内結合し、アダプター分子としての活性を失う。この221番リン酸化チロシンを脱リン酸化酵素の一つPTP1Bが脱リン酸化することが細胞運動亢進に重要であることを本研究で証明した。また、負の制御を受けないCrkIIのスプライシング変異体であるCrkIの発現が脳腫瘍組織で亢進しており、細胞におけるCrkI発現がP130^<cas>のリン酸化、Akt活性化を誘導することで細胞運動・浸潤能を増強させることも見出した。<br />研究課題/領域番号:15024225, 研究期間(年度):2003<br />出典:「癌細胞浸潤における細胞運動とMT-MMPの協調的制御機構の解析」研究成果報告書 課題番号15024225(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15024225/)を加工して作成 続きを見る
18.

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横田, 崇 ; Yokota, Takashi
出版情報: 平成18(2006)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2006 Research Project Summary.  2002 – 2006  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060548
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />本年度は、昨年度にサイトカインLIFの下流でES細胞の未分化状態維持に関与している分子(未分化性維持因子)の候補として見い出したβ-cateninとGABPαについて、重点的に解析を行った。β-cat eninに関しては、(1)LIF刺激によって核内に存在するβ-cateninの安定性が亢進されること、(2)β-cateninの活性型変異体を発現させることによってES細胞の未分化状態がLIF非存在下でも維持できること、(3)未分化性維持因子であるNanogの発現を促進していること、(4)Nanogの発現調節を行っている未分化性維持因子Oct-3/4と結合することを見い出した。これらの結果から、β-cateninはOct-3/4と結合してNanogの発現を誘導することによってES細胞の未分化性の維持に寄与していることが明らかとなった。GABPαについては、(1)LIF除去によってES細胞の分化を誘導するとその発現が低下すること、(2)GABPαを過剰発現させたES細胞は分化させてもOct-3/4の発現が維持されること、(3)GABPαの発現をRNAi法によって抑制するとEs細胞がLIF存在下でも分化すること、(4)この時Oct-3/4の発現のリプレッサーであるCdx2やCoup-tf、GCNFの発現が誘導されていることを見い出した。これらの結果から、GABPαはOct-3/4のリプレッサーの発現を抑制することによってOct-3/4の発現を調節することによりES細胞の未分化状態維持に関与していることが明らかとなった。以上の締果から、ES細胞の未分化性維持においてβ-cateninやGABPαが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。<br />研究課題/領域番号:14081203, 研究期間(年度):2002 – 2006<br />出典:「幹細胞の未分化性維持機構の解析」研究成果報告書 課題番号14081203(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14081203/)を加工して作成 続きを見る
19.

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佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060284
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、受精鶏卵を用いるヒト癌転移実験系を駆使して、転移性癌細胞の悪性形質発現に係わる生体物質並びに転移過程におけるそれらの発現意義を明らかにするとともに 、転移抑制に有効な物質および効果的な使用法の研究開発を展開している。平成4年度の研究では、受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の転移動態を明らかにし、さらに、ノーザンブロット法または特異抗体を用いた免疫組織化学染色法により高転移性癌細胞に発現される細胞外マトリックス分解酵素ならびに細胞接着因子を解析した。平成5年度は4年度の研究成果を基に、マトリックス分解酵素および細胞接着因子に対する阻害剤による転移抑制の可能性について検討した。その結果、フィブロネクチンあるいはラミニンに対する接着阻害合成オリゴペプチドとインテグリンβ_1サブユニットのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはヒト線維肉腫細胞であるHT-1080の転移を抑制し、接着因子が転移抑制において有用な標的となる可能性が示された。一方、本研究で試験した市販試薬級のマトリックス分解酵素阻害剤は明らかな転移阻害活性が認められず、持続的効果と癌細胞の浸潤局部への集積性を考慮した新たな阻害剤を開発する必要性が考えられた。また、現在開発中の抗腫瘍性2'-デオキシシチジン誘導体、CNDAC(2'-cyano-2'-deoxy-1-β-D-arabinofuranosylcytosine)およびDMDC(2'-deoxy-2'-methylidenecytidine)の転移抑制効果についても受精鶏卵法により検討した結果、CNDACとDMDCはともにヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示すことが明らかとなった。微小転移巣の早期診断と治療は癌の治療の成否を決定づける最も重要な要因である。CNDACおよびDMDCはヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示し、微小転移巣の早期治療や転移予防への実際的な応用も期待される。<br />研究課題/領域番号:05152052, 研究期間(年度):1993<br />出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号05152052(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152052/)を加工して作成 続きを見る
20.

論文

論文
松永, 司 ; Matsunaga, Tsukasa
出版情報: 平成3(1991)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1991 Research Project Summary.  1991  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060295
概要: 金沢大学薬学部<br />当研究室では、これまで、紫外線誘発DNA損傷を特異的に認識するモノクロ-ナル抗体の樹立を行ない、チミン二量体(TDMー1,2,3)、(6ー4)光産物(64Mー1,2,3,4,5)、Dewar型光産物(DEMー1)の 各損傷に対する9種のモノクロ-ナル抗体の樹立に成功した(Mori et al.,1988;Mizuno et al.,1991;Mori et al.,1991;Matsunaga et al.,投稿中)。本研究では、これらの抗体の損傷特異性を利用して、ヒトDNA修復機構における損傷認識ステップの解析を行なった。1)まず、DNA修復過程をより分子的に解析するために、Woodら(1988)により樹立された試験管内修復系を導入し、上記の抗体を併用することにより、修復合成に加えて損傷除去も追跡できる系を確立した。この系において、チミン二量体の除去に伴う修復合成のパッチサイズは、約20塩基程度であることが明らかとなった。2)抗DNA損傷モノクロ-ナル抗体と細胞内DNA損傷結合因子は、DNA損傷結合能という共通の性質を持つことから、以下の解析を行なった。a)抗DNA損傷抗体と紫外線照射DNAとの結合は、HeLa細胞の粗抽出液により濃度依存的に阻害された。b)試験管内修復系に、抗DNA損傷抗体を添加すると、修復反応が阻害された。c)ゲルシフト法において、抗DNA損傷抗体ならびに細胞粗抽出液とも、バンドのシフトが観察されたが、その移動度は異なっていた。以上の結果より、抗DNA損傷モノクロ-ナル抗体競合法は、細胞内DNA損傷結合因子の解析、ならびにその分離・精製に有用であることが示された。3)抗体のパラト-プに対する抗イディオタイプ抗体は、元の抗原と類似した構造をとることが知られており、抗DNA損傷モノクロ-ナル抗体に対する抗イディオタイプ抗体を樹立するプロジェクトに着手した。現在、64Mー2抗体と紫外線照射DNAとの結合を阻害する抗体を産生するハイブリド-マ2種を得ており、クロ-ニングを行なっている。最終的に、アフィニテイ-クロマトグラフイ-法を駆使して、細胞内DNA損傷結合因子の分離を目指したい。<br />研究課題/領域番号:03152048, 研究期間(年度):1991<br />出典:「抗DNA損傷モノクロ-ナル抗体競合法を用いたヒトDNA損傷結合因子の解析」研究成果報告書 課題番号03152048(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03152048/)を加工して作成 続きを見る
21.

論文

論文
大野, 真介 ; Ohno, Shinsuke
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060285
概要: 金沢大学がん研究所<br />我々は、SCIDマウスに、マーカー染色体をもつBALB/c6.15マウス脾細胞を移入する実験系により、少なくともt(6;15)転座をもつ2例の形質細胞腫がSCIDマウス起源であることを見いだした。この知見は、t (6;15)転座型形質細胞腫の標的細胞は、pro〜pre-B段階にあるB細胞である可能性を強く示唆した。ところで、奇妙なことに、上記2例の形質細胞腫ABPC-SCID-IM-BおよびIM-Dは、いずれもアロタイプ“a"をもつIgA産生細胞であった。SCIDマウスは、そのIgH遺伝子領域がC57BL/Kaマウス由来の“b"アロタイプ型である以外、すべてBALB/c遺伝子型をもつ。また、本実験に用いられた、マーカー染色体をもつBALB/c6.15マウスは、AKR6.15マウスをBALB/cマウスに戻し交配して得られたもので、いくつかのAKRマーカーを残している。そこで、IM-B,IM-Dと、donor BALB/c6.15起源である形質細胞腫ABPC-SCID-IM-A,C,EとについてSSLP解析の比較を行った。(1)第12染色体の中心体より27cMに位置するSSLPマーカーD12Mit4では、IM-A,C,EがすべてAKRタイプであったのに対し、IM-B,IM-DはともにBALB/cタイプであった。SCIDマウスのD12Mit4は、BALB/cタイプである。(2)ところが、同染色体の中心体より50cMにあるD12Mit7では、IM-A,C,E,B,DすべてがBALB/cタイプであった。この位置、SCIDマウスではB6タイプである。(3)65cMに位置するIgh-C遺伝子は、得られた5例の形質細胞腫すべてについて、“a"アロタイプ(BALB/c型)であった。つまり、SCIDマウスに発症した形質細胞腫ABPC-SCID-IM-B,IM-Dでは、第12染色体の27より50cMの間で遺伝子組み換えが起こり、結果として“a"アロタイプをもつIgA産生細胞となったものと考えられた。<br />研究課題/領域番号:05152051, 研究期間(年度):1993<br />出典:「SCIDマウス系における形質細胞腫発症機構の分子細胞遺伝学的研究」研究成果報告書 課題番号05152051(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152051/)を加工して作成 続きを見る
22.

論文

論文
藤井, 雅寛 ; Fujii, Masahiro
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060286
概要: 金沢大学がん研究所<br />1、CArG box配列を介したc-fos,egr-1,egr-2遺伝子の発現誘導機構:TaxはCArG box結合因子SRF(serum response factor)と直接結合することによって、これら遺伝 子群の転写活性を増強する。今回我々はTaxが酵母の転写因子GAL4とSRFとのキメラ蛋白(GALSRF)をGAL4結合配列特異的に活性化することを指標として、SRF(508アミノ酸から構成されている)C端のアミノ酸397番から435番の領域をTax活性化領域(Tax responsible region of SRF,TRRS)として同定した。Taxが存在しない場合、GALSRFのGAL4結合配列に対する活性はTRRSによってむしろ抑制された。c-fos遺伝子の転写能はCArG box配列を介して抑制的に調節され、この抑制制御はc-fos遺伝子の一過性発現制御に関与すると考えられている。今後この一過性c-fos遺伝子発現におけるTRRSの役割特に細胞性TRRS結合因子の検索およびその機能の解析を試みる。2、Taxによる細胞性初期遺伝子fra-1遺伝子の発現誘導機構:Taxによるfra-1遺伝子の発現誘導機構を解析するために、ヒトfra-1遺伝子プロモーター領域をクローニングした。CAT(chloramphenicol acetyltransferase)アッセイにより、3つの独立したTax応答性領域を同定した。これらの領域中にはCArGbox配列は存在せず、Taxによるfra-1遺伝子の発現誘導機構はc-fosの場合とは異なっていることが明らかになった。これらの領域中のRCE(Retinoblastoma Control Element)様配列および2つのFAP(c-fos AP-1)様配列がそれぞれTax応答性に関与することが示された。今後、RCE様配列を中心として、Tax活性化に関与する結合因子の同定および活性化機構の解析を試みる。<br />研究課題/領域番号:05152050, 研究期間(年度):1993<br />出典:「細胞性初期遺伝子群の転写制御因子p67^<SRF>のHTLV-1Taxによる活性化機構」研究成果報告書 課題番号05152050(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152050/)を加工して作成 続きを見る
23.

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藤井, 雅寛 ; Fujii, Masahiro
出版情報: 平成3(1991)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1991 Research Project Summary.  1991  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060294
概要: 金沢大学がん研究所<br />1,Taxによる初期応答遺伝子群(Immediate early genes,IE genes)の発現誘導HTLVー1 Tax蛋白はcーfos遺伝子の発現を転写レベルで誘導する。cーFosはcーJunとヘテロ複 合体を形成してTREに結合し転写を活性化する事から、ウイルス感染に伴うTRE結合活性の変化を検討した。ウイルス感染、非感染細胞の核抽出液を用いたゲルシフト法により、ウイルス感染細胞特異的なTRE結合活性の増強が検出された。このTRE結合活性の増強はAPー1familyをコ-ドする複数の遺伝子の活性化による事が明らかになつた。即ち,cーjun,junB,junD,cーfos及びfraー1 mRNAがウイルス感染細胞特異的に昂進していた。これらAPー1familyの中でjunBを除く、cーjun,junD,cーfos及びfraー1の発現はTax依存性を示した。APー1familyは細胞増殖の制御に関わる事が知られており,以上の結果はウイルス発がんにおけるAPー1の関与を示唆する.2、TaxによるCArG boxを介したIE genesのトランス活性化cーfos遺伝子上流領域内のCArG boxがTax応答性の最小配列として同定された。他のTax応答遺伝子群について検索したところ、egrー1及びegrー2のプロモ-タ-領域内にもCArG boxが存在し、実際にTaxによって活性化された。即ち、CArG boxはこれら3種類のIE genesに共通なTax応答性エンハンサ-である。ゲルシフト法を用いて、これら3種類のCArG boxに共通に結合する2種類の細胞性因子が検出された。1つは、SRF(serum response factor)、もう1つはSRFとp62のヘテロ複合体と推定された。HTLVー1感染・非感染細胞間でこれらCArG box結合因子の質問・量的な変化は認められなかつた。以上の結果は,TaxがCArG boxに直接結合せず,細胞性転写因子(SRF,p62)を介して転写を活性化する事が示唆する.<br />研究課題/領域番号:03152049, 研究期間(年度):1991<br />出典:「HTLVー1 Tax蛋白によるcーfos発現誘導の分子機構」研究成果報告書 課題番号03152049(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03152049/)を加工して作成 続きを見る
24.

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清水, 宣明 ; Shimizu, Nobuaki
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060538
概要: 金沢大学自然計測応用研究センター<br />われわれは二酸化チタンに超音波を照射することにより活性酸素(ラジカル分子)が発生する現象を見出した。この現象をがん治療への新たな手法として応用することが本研究の目的である。本研究で提案する超音波照 射法にてラジカルを発生させれば、皮膚組織や臓器の表面だけでなく深部のがん組織においても治療が可能となり、非侵襲的で根治性の高いがん治療法を開発できる。そこで本申請研究では(1)二酸化チタン表面に生体認識分子を配向化し、血流中を移動できるナノ構造化の検討(2)創製した二酸化チタンと超音波照射法を担がん動物に適用することで、どのようながん治療の効果が得られるかの2点について検討を行った。(1)項においては、中心に磁性粒子を有する機能性二酸化チタン微粒子の構築が確認でき、構築微粒子の光触媒活性をメチレンブルー分解にて評価した結果、光触媒活性を有することも確認できた。更に、チタン・ナノ粒子内包リポソームも構築でき、がん細胞との融合実験に用いることが出来るレベルであることが明らかとなった。(2)項では、腫瘍細胞の生存率は超音波照射時間に依存して減少する事が明らかとなった。超音波照射のみでも腫瘍細胞死滅の効果はみられるものの、二酸化チタンを添加することでより効果的に腫瘍細胞を死滅できることが明らかとなった。<br />研究課題/領域番号:15025227, 研究期間(年度):2003<br />出典:「ラジカル発生機能を有するバイオ融合ナノ粒子による新規がん治療法の確立」研究成果報告書 課題番号15025227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15025227/)を加工して作成 続きを見る
25.

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橋本, 浩一 ; Hashimoto, Koichi
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060574
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />成熟動物の小脳プルキンエ細胞は一本の登上線維によってのみ支配を受けるが、発達初期には一時的に複数の登上線維による支配を受けている。シナプス形成直後の多重支配している登上線維は、それぞれ同じような強さの シナプスを形成しているが、生後一週目までに一つのプルキンエ細胞上で、一本の最大振幅をもつ興奮性シナプス後電流(EPSC)を発生する登上線維入力(CF-multi-S)と、それ以外の弱い登上線維入力(CF-multi-W)が混在して見られるようになる。これまでの我々の研究から、CF-multi-Wは、CF-multi-Sに比べて、シナプス伝達の際にシナプス間隙で発生するグルタミン酸濃度上昇が小さいことが明らかになっている。今回シナプス間隙のグルタミン酸濃度上昇の大きさと、入力線維間のばらつきの形成との関連について解析した。その結果、CF-multi-WのEPSCの振幅が、もっとも優位なCF-multi-Sの振幅の20%以下になると、シナプス間隙の伝達物質濃度が低くなり始めることが明らかになった。さらに、入力線維間の強さのばらつきの形成と、登上線維除去との関連について解析した。2日おきに全細胞中、CF-multi-Wの応答振幅が、CF-multi-Sの20%以下でなおかつ2もしくは3本の登上線維により投射されているプルキンエ細胞の割合を求めると、その値は、その後2日間の間に増加する一本支配のプルキンエ細胞の割合とほぼ平行であった。これらの結果は、CF-multi-Wの応答振幅が、CF-multi-Sの20%以下になると、シナプス小胞放出過程に変化が起こり始め、シナプスの除去にいたることを示唆している。<br />研究課題/領域番号:14017038, 研究期間(年度):2002<br />出典:「小脳登上線維―プルキンエ細胞シナプス発達過程の神経活動依存性とそのメカニズム」研究成果報告書 課題番号14017038(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14017038/)を加工して作成 続きを見る
26.

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論文
福森, 義宏 ; Fukumori, Yoshihiro
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Project Summary.  2001 – 2002  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060926
概要: 金沢大学理工研究域<br />能登半島九十九湾の水深25m付近に生息する無脊椎動物Oligobrachia mashikoiは口も消化管も無く、共生する細菌が化学合成する有機物を利用してエネルギーを獲得する有鬚動物である。宿主のヘモグロビン は細胞外に存在し、分子量が約45万と巨大であり、酸素だけでなく共生細菌に硫化水素を運搬するという特徴ある機能を有している。本研究では巨大ヘモグロビン複合体の結晶化と立体構造の解明により超分子複合体形成の生物学的意義を解明することを目的に、本タンパク質の結晶化とX線結晶構造解析を試みた。その結果、(1)Oligobrachia mashikoi巨大ヘモグロビンの結晶を得るために様々な条件でハンギングドロップ法を用いて結晶化に取り組み、前年度より大きな結晶を得ることに成功した。(2)京都大学理学部三木邦夫教授との共同研究により、同結晶をガラスキャピラリに封入し、室温でのX線回折実験を行った。その結果、最大で4Å前後の回折像が観測された。しかしながら、室温での測定でもありX線による損傷のため、フルデータを収集するには至らなかった。一方、鹿児島湾に生息する有髭動物Lamellibrachia satsumaはOligobrachia mashikoiと異なり、分子量45万と400万の2種類のヘモグロビンを持つ。本研究では、両ヘモグロビンの結晶化を試みたが、分子量45万ヘモグロビンの結晶は得られなかった。一方、分子量400万のヘモグロビンに関しては良好な結晶が得られた。しかしながら、この結晶は温度感受性が高く、また、分子量400万としては、その大きさが微小な為に未だにX線回折像は得られていない。<br />研究課題/領域番号:13033014, 研究期間(年度):2001-2002<br />出典:「巨大ヘモグロビン複合体の構造生物学」研究成果報告書 課題番号13033014(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13033014/)を加工して作成 続きを見る
27.

論文

論文
京, 哲 ; Kyo, Satoru
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060523
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />我々は1999年にhTERTプロモーターのクローニングに成功して以来、hTERT発現の分子機構を解析してきた。hTERT転写活性化因子としてc-Myc/MaxやSp1,ER, EWSなどいくつかの因子 を見いだしたがこれらの因子では癌特異的なテロメレース活性化機構を説明するのは不十分であり、他に重要な機構が存在すると推定される。そのひとつが正常細胞におけるhTERT抑制機構である。今回の研究ではERM (Enhanced Retroviral Mutagenesis) systemを用いてhTERT転写抑制因子のクローニングを試みた。HeLa細胞を用いてtTA細胞を樹立し、hTERT promoter-GFPレポーター遺伝子を導入した。TREおよびsplicing donar sequenceを含むプロモーター領域をLTR下流につないだレトロウイルスベクターを上記tTA細胞に導入し、GFP発光強度が著しく減少した細胞集団をFACS解析にて回収した。さらに2次スクリーニングでテトラサイクリンを添加し、GFP陽性転化する2クローンを回収した。現在これらのクローンでレトロウイルス下流に存在する遺伝子の単離を進めている。さらにhTERT転写活性化に関わる新たな転写因子として低酸素環境下に誘導されるHIF1がhTERT core promoterのE-boxに直接結合し、低酸素化で腫瘍細胞のhTERT転写活性化に重要な役割を演じていることを明らかにした。<br />研究課題/領域番号:16021215, 研究期間(年度):2004<br />出典:「テロメレース活性化の分子機構の解明」研究成果報告書 課題番号16021215(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16021215/)を加工して作成 続きを見る
28.

論文

論文
向田, 直史 ; Mukaida, Naofumi
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060563
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />従来の研究成果から、単球走化因子(MCP-1)遺伝子導入したがん細胞株の腫瘍形成能・転移能が低下することが明らかになっている。本年度は、MCP-1による遺伝子治療法の基礎的検討のために、(1)腫瘍免疫成 立過程でのMCP-1の役割(2)自殺遺伝子併用によるMCP-1遺伝子治療法によるがん退縮効果の機序を検討した。その結果、(1)IL-4遺伝子導入colon 26細胞の腫瘍拒絶過程において、IL-4遺伝子導入株を接種したマウスの所属リンパ節では、MCP-1の発現が誘導される結果、抗原提示能を有するMCP-1レセプターを保有する樹状細胞が所属リンパ節へと動員され、腫瘍が効果的に拒絶されることを示唆する結果を得られた。(2)CAGプロモーター下流にチミディン・キナーゼ(tk)遺伝子とMCP-1遺伝子とを、IRES配列をはさんだ形で並列して連結させたアデノウイルスベクターを作成した。tkを単独で発現させるアデノウイルスベクターに比べて、今回作成したベクターによるtkの発現量は同程度であった。しかし、MCP-1産生量は、MCP-1遺伝子単独発現ベクターに比較して、今回作成したベクターは約1/10程度であった。しかし、ヒト肝がん細胞株を接種したヌードマウスの腫瘍内に、このベクターを接種して、ガンシクロビールを全身投与すると、腫瘍壊死因子の産生を伴い、マクロファージ依存性に、腫瘍が完全に退縮することが認められた。したがって、MCP-1を用いた遺伝子治療法の場合には、発現されるMCP-1量が低くても、標的細胞の動員・活性化を引き起こすことができる可能性があると考えられた。さらに、細胞膜に発現するMCP-1キメラ蛋白を発現するアデノウイルスベクターを開発し、このベクターの投与によって、細胞膜に生物活性を保有するMCP-1が発現していることを確認した。<br />研究課題/領域番号:14030030, 研究期間(年度):2002<br />出典:「がん細胞選択的発現ベクターによる、ケモカイン遺伝子治療法の基礎的検討」研究成果報告書 課題番号14030030(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14030030/)を加工して作成 続きを見る
29.

論文

論文
松島, 綱治 ; Matsushima, Kouji
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.3p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060287
概要: 金沢大学がん研究所<br />担癌宿主に於ける種々の癌病態を制御するサイトカインネットワーク分子機構の解析として以下のような成果があった。1)マウス大腸癌細胞株colon26のin vitroとin vivoにおけるサイトカイン産生を比較し たところ大きく異なることが判明した。更に、悪疫質をおこす株では選択的にIL6をin vivoで発現し、おこさない株ではIL6の産生がみられずIL1 receptor antagonistの発現が観られた。2)担癌宿主では腫瘍由来TGFbによるCD4+Thのサイトカイン産生抑制に加えIL6がMoによるTNF産生を抑制して抗腫瘍生体防御能を低下させていることがわかった。3)CD4+のCTL誘導抑制性Tsの存在を明らかにし、CTL標的抗原を決定した。4)ヒト胸腔内Moが癌性胸水中リンパ球のIL2による活性化を増強するとともにIL12がCD8+Tリンパ球よりCTLを誘導する時もMoが関与することを明らかにした。5)gp130,NF-IL6ノックアウトマウスを作製した。6)癌病態調節サイトカインIL8,IL6の遺伝子発現調節機構を詳細に解明した。in vitroとin vivo(癌部位)におけるサイトカイン産生検索は、サイトカインネットワーク解析の仕事はin vivoを想定してのみなしうることを示した。今後更に担癌にともないどのようなサイトカインが実際に発現されるのか、その産生細胞はどれか、実際にin vitroの観察から予想されているようなサイトカインネットワークが存在するのかを種々の癌細胞株を用いたマウスでのモデル実験を行なうとともにヒト癌においても検証する必要がある。サイトカイン遺伝子発現調節機構解析、受容体シグナル伝達機構解析の基礎研究をサイトカイン遺伝子、受容体遺伝子、転写因子、シグナル伝達分子ノックアウトマウス作製の仕事と連結し、サイトカインネットワーク機構解析のためのよいモデル動物を提供できることを期待する。<br />研究課題/領域番号:05151028, 研究期間(年度):1993<br />出典:「担癌宿主に於けるサイトカインネットワーク分子機構の解析」研究成果報告書 課題番号05151028(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05151028/)を加工して作成 続きを見る
30.

論文

論文
滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  20018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060519
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に作用してがんの浸潤・転移が成立する。この協調作用は細胞運動の極性形成と密接に関与していると考えられる。本研究ではMT1-MMPおよびJNK情報伝達経路の構成分子 とJNK結合分子の細胞運動における役割を調べた。ヒト線維肉腫細胞株HT1080をI型コラーゲン上に接着させることによりERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導された。HT1080細胞におけるMT1-MMPの過剰発現は細胞運動およびERK活性化を亢進した。この細胞運動とERK活性化はMMP阻害剤とMEK阻害剤により抑制され、活性型MEK発現により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤でともに抑制された。また、MT1-MMPを遺伝導入した上皮細胞をコラーゲン上で培養し上皮細胞成長因子で刺激すると、対照細胞に比べてERK活性化が亢進することが判明した。上皮細胞増殖因子により誘導される細胞運動におけるMT1-MMP活性の役割を現在検討中である。MT1-MMPは恐らく細胞接着斑形成に関与することでI型コラーゲン上における上皮細胞増殖因子の情報伝達経路に影響を及ぼしていると考えられる。JNK足場蛋白であるJSAP1のグリオーマ細胞株における発現はFAKの活性化を導き、その結果p130Casのリン酸化を誘導した。この結果と一致してJSAP1発現はフィブロネクチン刺激によるJNK活性化を亢進した。さらにJSAP1発現はフィブロネクチン上におけるJNK依存的細胞運動を誘導し、JNK結合部位を欠失したJSAP1変異体では細胞運動・JNK活性化誘導は認められなかった。JSAP1mRNAの発現はグリオーマ細胞株の運動能、ヒト脳腫瘍の悪性度と相関して上昇していた。以上のことからJSAP1は悪性腫瘍の浸潤・転移能獲得に関与していると考えられた。<br />研究課題/領域番号:16022227, 研究期間(年度):2004<br />出典:「がん浸潤の細胞運動と細胞外マトリックス分解機構の解析」研究成果報告書 課題番号16022227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16022227/)を加工して作成 続きを見る
31.

論文

論文
米倉, 秀人 ; Yonekura, Hideto
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060545
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />本研究の目的は、任意の表現形質を担う遺伝子を機能面から系統的かつ簡便に同定する技術として代表者らが独自に考案したAntisense Display法を新しい機能性遺伝子スクリーニング技術として確立し、 成人病性血管障害関連遺伝子、特に血管新生抑制性遺伝子の分離に適用することである。平成15年度の研究で、以下の成果を得た。1)平成13、14年度に行なった血管新生関連遺伝子のスクリーニングで同定された血管内皮細胞の増殖促進を示す14merアンチセンス(AS)配列を用いて、cDNA/ESTデータベースを検索し、パーフェクトマッチ配列を有する候補配列を5種同定した。2)ヒト血管内皮細胞での候補配列の発現をRT-PCR法とノーザン法で検討した結果、5種のうち1種、pICln遺伝子の発現が確認された。3)pICln mRNAの別領域に対するASの添加で、血管内皮細胞の増殖促進が再現され、さらに血管内皮細胞の管腔形成が促進された。4)AS処理細胞での各種血管新生関連遺伝子の発現を調べたところ、選択的スプライシングによって生じる2種の血管新生抑制性可溶型VEGF受容体(soluble Flt-1,soluble neuropilin-1)mRNAの発現が特異的に抑制されていることが示された。5)血管内皮細胞にcDNAを導入しpIClnを過剰発現させると、血管内皮細胞の増殖が有意に阻害された。さらに、pIClnを過剰発現細胞ではsoluble Flt-1,soluble neuropilin-1 mRNAの発現が特異的に増加していた。以上、今回同定されたpICln遺伝子は、選択的スプライシングを制御するというこれまで知られていなかった新しいタイプの血管新生抑制遺伝子である可能性が示唆された。<br />研究課題/領域番号:15012221, 研究期間(年度):2003<br />出典:「新しい機能性遺伝子同定技術の創出と成人病性血管障害関連遺伝子探索への応用」研究成果報告書 課題番号15012221(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15012221/)を加工して作成 続きを見る
32.

論文

論文
横田, 崇 ; Yokota, Takashi
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2002 – 2003  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060560
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />胚性幹細胞(ES細胞)は、白血病阻害因子(LIF)の存在下においては、未分化状態を維持して増殖する。この時のES細胞の憎殖速度は他の細胞に比べて非常に速く、そのdoubling timeは約8時間であ る。一方、培地からLIFを除去すると、ES細胞の増殖速度が低下し、それとともに分化が誘導される。LIFの存在、非存在下でのES細胞の細胞周期を調べたところ、LIF存在下では全周期の30%程度の長さであったG1期が、LIF非存在下では50%ぐらいにまで伸びていた。このことから、ES細胞においては、LIFのシグナル伝達系の下流にES細胞の細胞周期を制御する因子が存在する可能性が考えられた。そこで、本研究ではそのような細胞周期制御因子の同定を試みた。まずマイクロアレイやRT-PCR法を用いることによって、LIF除去の際にその発現量が変動する細胞周期関連分子を探索した。その結果、LIF除去によって発現量が減少するものとして、cyclin E1やcyclin D1,Chk1を見い出した。一方、逆に発現レベルが上昇するものとしては、Cip1,14-3-3σ,cyclin G1,cyclin G2を見い出した。さらにCip1に関しては、強制発現させることによってLIF存在下でもES細胞のG1期を伸ばすごとが可能であることも見い出した。このことはLIFがCip1の発現を抑制することによってES細胞のG1期を短くしている可能性を示唆する。また興味深いことにLIF除去によって発現が上昇する4つの分子のうち、3つの分子がp53の標的分子である。そのためLIFがp53の発現量を制御してこれらの分子の発現を制御している可能性が考えられたが、LIF除去に伴うp53 mRNAの増加は観察されなかった。このことから、LIFが転写ではなく、翻訳後修飾を誘導することによってp53タンパク質の活性制御を行っている可能性が考えられた。<br />研究課題/領域番号:14033216, 研究期間(年度):2002 – 2003<br />出典:「幹細胞の未分化状態維持機構の解析」研究成果報告書 課題番号14033216(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14033216/)を加工して作成 続きを見る
33.

論文

論文
石垣, 靖人 ; Ishigaki, Yasuhito
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060562
概要: 金沢大学理工研究域<br />がん細胞の特徴は、遺伝子に突然変異が蓄積していること、そして遺伝的に不安定な形質を獲得しているために常にヘテロな集団を生み出していける点にある。このため特定の遺伝子変異や経路(質)を標的とした治療方法に加えて、 不特定の遺伝子変異の蓄積(量)を標的とした治療方法の併用が有効であると着想した。その分子標的の候補となる機構がナンセンス変異依存mRNA分解(Nonsense-mediated mRNA decay、NMDと省略)である。NMDは正常遺伝子の発現には影響を与えずに、ナンセンス変異を持つDNAから転写されたmRNAを選択的に分解してノックアウトする機構である。がん細胞においてもNMDはDNA中に蓄積した突然変異の発現をmRNAレベルで抑制して無毒化している。NMDの抑制は、がん細胞に蓄積した不特定多数の突然変異の発現を促し、発現した変異型蛋白質が正常な機能を阻害することにより、がん細胞の増殖抑制あるいは死滅を引き起こすことが期待される。以上の着想から、NMDの機構、とりわけ細胞内でNMDの標的となるmRNA-蛋白質複合体を同定を行い、NMDがCap Binding Complex(CBC)の結合したmRNA上で起きることを確認した。また、ヒト遺伝疾患遺伝子をモデルとして、翻訳反応の阻害剤であるシクロヘキシミド、リン酸化反応の阻害剤であるワルトマニンを利用してNMDの阻害が起きること、2本鎖RNAのトランスフェクションによるRNAiがNMDに特異的に必要とされるUpf1とUpf2のmRNA量を低下させうることを明らかにした。また、NMD再構築系確立を目指して、各種ヒト細胞にFLAG付加CBCを安定に発現させて免疫沈降できる系の確立を行った。今後は、これらの細胞系におけるNMD反応の性格付けと試験管内での効率の良い翻訳系の確立が必要である。<br />研究課題/領域番号:14030031, 研究期間(年度):2002<br />出典:「突然変異蓄積を標的とした治療法開発」研究成果報告書 課題番号14030031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14030031/)を加工して作成 続きを見る
34.

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向田, 直史 ; Mukaida, Naofumi
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2014-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060571
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />HBs抗原で免疫した野生型のマウス骨髄細胞を、骨髄細胞を枯渇させたHBsトランスジェニックマウスに移植することによって、急性肝炎→慢性肝炎→前癌状態→肝癌と発症するモデルを用いて、前癌状態において選択的 に発現が変化する遺伝子群を、蛍光ディファレンシャル・ディスプレイ(FDD)法にて包括的に検索し、同定した。その結果、(1)5種類の未知遺伝子ならびに、19種類の既知遺伝子の発現が増強していたのに対して、19種類の既知遺伝子の発現が低下していた。(2)5種類の未知遺伝子を定量的RT-PCR法にて検討したところ、このモデルのみならず、diethylnitrosamine投与による肝癌発症モデルでの前癌状態においても、これらの遺伝子発現が肝臓内で発現が増強していることを確認した。(3)このモデルの前癌状態で発現が増強していた既知遺伝子のうち、機能の詳細が不明であるセリン・スレオニン・キナーゼ、pim-3の発現様式について検討した結果、HBs-Tgマウスでの肝癌発症モデルとdiethylnitrosamine投与による肝癌発症モデルとの両者において、前癌状態においてpim-3の発現が増強していることを、半定量的RT-PCR法にて確認した。(4)ヒトpim-3の塩基配列の報告がなかったため、ヒトpim-3の完全長cDNAをクローニングして、その塩基配列を決定した。ヒトpim-3cDNAは全長約2.4kbで、981bp(326アミノ酸)からなるopen reading frameを保有していて、これまでに報告されているマウス・ラットpim-3とアミノ酸レベルで94%一致していることが明らかになった。さらに、ヒト肝癌細胞株でpim-3が恒常的に発現していることも確認した。<br />研究課題/領域番号:14021035, 研究期間(年度):2002<br />出典:「B型肝炎ウイルス発癌モデルでの肝臓での特異的発現遺伝子の包括的検索」研究成果報告書 課題番号14021035(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14021035/)を加工して作成 続きを見る
35.

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金子, 周一 ; Kaneko, Shuichi
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060572
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />C型慢性肝炎患者における肝臓組織内の包括的な発現遺伝子解析をSAGEおよびDNAチップを用いて行った。HCVによる慢性肝炎肝組織においては、インターフェロンαおよびγをはじめとするサイトカイン、および これらによって変動する宿主細胞のシグナル分子、さらにはMHCをはじめとする宿主分子の変動がとらえられた。HBVによる慢性肝炎肝組織の変動と比して、HCVによる肝炎ではIL-2やIL-15のレセプターがより亢進し、一方でIL-5やIL-7の発現は低下していた。このように肝組織における包括的発現遺伝子解析によって、感染ウイルスの違いによる免疫系を中心とする発現遺伝子プロファイルの差異が明らかにされた。つぎに末梢血リンパ球全体の発現遺伝子プロファイルを解析した。TNF-beta、Stat2などの発現が亢進しており、MCP-1 receptor、IL-6 receptorなどの発現が低下していた。この解析によってC型慢性肝炎患者の末梢血リンパ球においても多くの遺伝子が変動していることが明らかとなった。インターフェロン治療によって肝炎が沈静化し、HCVが消失した症例(CR)と、肝炎が沈静化したもののHCVの持続陽性が続いている症例(BR)、肝炎が持続しHCVの陽性も続いている症例(NR)において発現遺伝子プロファイルを比較したところ、CR例においてはinterferon gamma receptor 1やCD69 antigenなどの発現低下を認めた。HCV特異的CTLにおける発現遺伝子プロファイルを検討するため、はじめに6種の異なるHCVエピトープに対するテトラマーを作製した。このうち肝炎の消長と一致するテトラマー陽性CTL細胞が存在することを明らかにした。<br />研究課題/領域番号:14021034, 研究期間(年度):2002<br />出典:「宿主免疫のトランスクリプトーム解析を用いたC型肝炎ウイルスの持続感染機序研究」研究成果報告書 課題番号14021034(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14021034/)を加工して作成 続きを見る
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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060573
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />ポリオウイルスの初期感染には腸管上皮のポリオウイルス受容体(PVR)を必要とするが、その細胞内局在やポリオウイルスの感染様式は不明である。PVRにはαとδのスプライスアイソフォームが存在する。上皮細胞株 MDCKに2つのPVRアイソフォームを発現させてその局在を調べた結果、PVRαは側底面細胞膜に、PVRδは頂端面および側底面細胞膜の両方に局在することが明かとなった。膜蛋白質の側底面への局在は、一般にその細胞質領域に存在する輸送シグナルによって決められる。最も頻繁に見られる側底面への輸送シグナルはYXXΟ(Yはチロシン、Xは任意のアミノ酸、Οは疎水性アミノ酸)という共通配列を持つチロシンモチーフであり、上皮細胞特異的に発現する輸送因子AP-1B複合体のμ1Bサブユニットに認識されることによって側底面への輸送を担うことが知られている。PVRαの細胞質領域にはYSAVという配列が存在する。PVRαの細胞質領域の欠損変異体およびYSAVの点突然変異体を用いた酵母2-hybrid法および上皮細胞株MDCK、LLC-PK1への遺伝子導入により、YSAV配列はμ1Bと直接結合してPVRαの側底面への輸送を担う、チロシンモチーフとして機能することが示された。現在、リンパ球と共培養することにより、抗原取込みに重要な役割を果たす特殊に分化した腸管上皮、M細胞様に分化するマウス腸管上皮細胞株m-ICc12のPVRαあるいはPVRδ安定発現株を樹立中であり、これらを用いてポリオウイルス初期感染における、M細胞を含めた腸管上皮細胞の役割を検討する。<br />研究課題/領域番号:14021033, 研究期間(年度):2002<br />出典:「ポリオウイルス感染におけるM細胞の役割の検討」研究成果報告書 課題番号14021033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14021033/)を加工して作成 続きを見る
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米倉, 秀人 ; Yonekura, Hideto
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060575
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />本研究の目的は、任意の表現形質を担う遺伝子を機能面から系統的かつ簡便に同定する技術として代表者らが独自に考案したAntisense Display法を新しい機能性遺伝子スクリーニング技術として確立し、 成人病性血管障害関運遺伝子、特に血管新生抑制性遺伝子の分離に適用することである。平成14年度の研究で、以下の成果を得た。1.平成13年度に行なった血管新生関連遺伝子のスクリーニングで同定された、血管内皮細胞の増殖促進を示す10mer陽性アンチセンスプールの高次スクリーニングを以下のとおり行なった。陽性プールに含まれていた16種のアンチセンス配列を単独でスクリーニングし、単一の陽性配列を同定した。続いて当該配列の鎖長を12merに延長した16種のアンチセンス配列を調製してスクリーニングを行ない、単一の陽性配列を同定した。さらに当該配列の鎖長を14merに延長した16種のアンチセンス配列を調製してスクリーニングを行ない、血管内皮細胞の増殖促進を示す単一の14mer配列を同定した。2.同定したアンチセンス配列を基にRT-PCRクローニングを行ない、上記14mer配列を有するcDNAをヒト血管内皮細胞より分離し、その配列を決定した。3.決定した配列でヒトゲノムデータベースのサーチを行なったところ、当該配列はこれまで全く報告されていない新規の遺伝子で、11番染色体上に位置していることが明らかになった。4.後期糖化反応生成物(advanced glycation endproducts, AGE)による周皮細胞喪失(pericyte loss)に関係する遺伝子をスクリーニングするため、改良Antisense Display法のヒト血管周皮細胞への適用をスタートした。<br />研究課題/領域番号:14013025, 研究期間(年度):2002<br />出典:「新しい機能性遺伝子同定技術の創出と成人病性血管障害関連遺伝子探索への応用」研究成果報告書 課題番号14013025(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14013025/)を加工して作成 続きを見る
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鈴木, 文男 ; Suzuki, Fumio
出版情報: 昭和60(1985)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1985 Research Project Summary.  1985  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060311
概要: 金沢大学薬学部<br />古くから、染色体変化と細胞がん化との間には密接な関係があるものと考えられている。本研究では、培養細胞を用いた自然発がん系を確立し、正常細胞から悪性な形質転換細胞に至る全過程を通して染色体変化を調べ、さらにがん遺伝子 発現との関係を調べることにより、細胞がん化における染色体変化の役割について解析した。研究成果の概要は次のとおりである。1.チャイニーズハムスター胎児由来細胞は、ゴールデンハムスター胎児由来細胞に比べて容易に自然がん化することがわかった。この際、細胞の不死化や軟寒天コロニー形成能および造腫瘍性といったがん化形質が段階的に発現し、培養細胞レベルで細胞がん化の多段階性が証明できた。2.チャイニーズハムスターの場合、すべての培養系において無限増殖系へ移行した時点で高頻度に3番染色体長腕部の付加(3qトリソミー)が見られた。つまり、3qトリソミー化が細胞の不死化に関係していることがわかった。3.ゴールデンハムスターの場合、細胞系によって変化する染色体が異なるが、比較的早い時期に共通して現われた11番染色体のトリソミー化が細胞の不死化を引き起こしていることが示唆された。4.既知がん遺伝子をプローブを用いて各継代期のがん遺伝子発現量を調べたが、有意な傾向をつかむことはできなかった。しかし、DNAトランスフェクション実験では、ゴールデンハムスター正常二倍体細胞のがん化には少なくとも2種類のがん遺伝子の活性化が必要であり、myc遺伝子は細胞の不死化に、ras遺伝子はその後の悪性化に関係していることを示唆する結果が得られた。現在、このような染色体変化によってドのような遺伝子変異が生ジるかを、遺伝子工学的手法を用いて解析中である。<br />研究課題/領域番号:60015026, 研究期間(年度):1985<br />出典:「細胞がん化の多段階的形質発現に関連した染色体変化とがん遺伝子の活性化」研究成果報告書 課題番号60015026(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60015026/)を加工して作成 続きを見る
39.

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福森, 義宏 ; Fukumori, Yoshihiro
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060505
概要: 金沢大学理工研究域<br />1.N-FeoBの大量発現と抗N-FeoB抗体の作製FeoBを精製するには、高感度なアッセイ系が必要である。そこで、本年度は、抗-FeoB抗体を作製した。具体的には,FeoBのN末端ドメイン(245アミノ酸残基 )をコードするDNA断片をPCRで増幅、PCRエラーが無いことを確認し、pET-15b vectorにクローニングした。大量発現には大腸菌BL12株を用いた。N-FeoBは封入体として発現しており、大腸菌より封入体を調製し、変性条件下でNiアフィニティクロマトグラフィにより精製した。大量発現の結果得られたN-FeoBをトロンビンで処理しHis-tag部分を取り除き、SDS-PAGEしたゲルから切り出すことで、更に精製した。得られた精製標品を抗原としてウサギに免疫した。抗体価は二重免疫拡散法とドットブロット法により測定し、アッセイに十分な抗体価をもつ抗血清が得られた。2.磁性細菌M.magnetotacticumの大量培養と膜画分の調製M.magnetotacticumを120Lの合成培地で培養し、25gの細胞を得た。細胞をフレンチプレスで破砕し遠心分離(8,000xg)によって未破砕細胞とマグネトソームを取り除き、更に、超遠心(100,600xg)し沈澱を回収することで膜画分(細胞膜と外膜を含む)を調製した。3.FeoBの検出抗N-FeoB抗体を用いてWestern blotを行い、M.magnetotacticumの膜画分からFeoBの検出を行った。その結果、73.6kDaのメジャーなバンドと2つのマイナーバンド(81.5,61.1kDa)が確認できた。メジャーなバンドの分子量はfeoB遺伝子の塩基配列から推定される分子サイズとほぼ一致した。このことから本細菌のFeoBは膜画分に存在していることが明らかになった。4.FeoBの精製(可溶化条件の検討)FeoBの精製を行う為、膜可溶化条件を検討した。可溶化効率はWestern blotによって検出したバンドをルミノイメージアナライザーによって定量し、求めた。その結果、デオキシコール酸ナトリウムが最も効率的にFeoBを可溶化できることが分かった。現在,アフィニティ、イオン交換、ゲルろ過、ハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィによりFeoBの精製を試みている。<br />研究課題/領域番号:16048211, 研究期間(年度):2004<br />出典:「磁性細菌のGタンパク質融合型鉄輸送体: 精製と再構成」研究成果報告書 課題番号16048211(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16048211/)を加工して作成 続きを見る
40.

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橋本, 浩一 ; Hashimoto, Koichi
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060543
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />小脳プルキンエ細胞は、成熟動物においてはほとんどの細胞が一本の登上線維によってのみ支配を受けるが、発達初期には一時的に複数の登上線維による多重支配を受けている。発達に伴い徐々に登上線維の本数が減少し、 生後3週目までに1本支配に移行する。登上線維の発達過程における神経活動の関与について解析するため、神経の電気的活動に重要な電位依存性カルシウムチャネルα1Aサブユニットのノックアウトマウスの解析を行った。生後18-29日において登上線維の多重支配を電気生理学的に解析した。その結果、野生型マウスでは約80%のプルキンエ細胞が一本の登上線維によってのみ支配されていたのに対し、ノックアウトマウスでは80%以上の細胞が2本以上の登上線維によって支配されており、登上線維の除去過程に障害が見られることが分った。また、形態学的な解析により、登上線維の投射様式にも差があることが明らかになった。すなわち、野生型マウスにおいては、プルキンエ細胞の近位樹状突起に投射するのは一本の登上線維に限られるのに対し、ノックアウトマウスにおいては、2本以上の登上線維が一本の近位樹状突起を共投射している像が多数観察された。さらに、プルキンエ細胞へのもう一つの興奮性入力である平行線維と、登上線維の樹状突起上での位置関係を調べた。その結果、本来ならプルキンエ細胞の遠位樹状突起に限局されている平行線維の投射領域が、近位樹状突起や細胞体領域まで拡大しており、逆に登上線維は細胞体方向に投射が縮退していることがわかった。これらの結果は、α1Aサブユニットが、発達期に起こる登上線維-登上線維問、登上線維-平行線維間の相互作用に重要な働きをしていることを示唆している。<br />研究課題/領域番号:15016048, 研究期間(年度):2003<br />出典:「発達期小脳における登上線維シナプスの選別・除去に伴う機能変化」研究成果報告書 課題番号15016048(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15016048/)を加工して作成 続きを見る
41.

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安藤, 敏夫 ; Ando, Toshio
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060556
概要: 金沢大学理工研究域<br />シャペロニンは基質ペプチドの折りたたみを支援する大きく構造を変化させる分子モーターである。その構造変化のダイナミクスはATPase反応の進行、基質ペプチドとの結合と連携している。その連携の仕方・仕組みを理解する ことが本研究の最終目標である。本研究では、研究代表者が開発した高速原子間力顕微鏡(AFM)を活用し、GroEL(+GroES+基質)の構造変化の動態を、ナノメーターの解像度で且つ映像として捉えることを目指した。初めて経験する試料系であり、且つ、比較的小さいタンパク質であることなどの理由により、本年度においてはまずは像を撮り、そこで見出された問題点を解決していくことから着手した。孤立した小さいタンパク質のAFM観察では、探針・試料間にかかる力によって起こる試料の動きが無視できなくなることと、探針先端の曲率半径の大きさが像に与える影響が大きくなるという問題点が一般にある。実際、GroELでも同様であった。以下に、行った改良、得られた成果をまとめる。1)探針・試料間にかかる力を軽減化する様々な工夫を行った。その結果、フィードバック制御に動的特性を持たせることにより、力の軽減化に成功した。2)探針は電子線を1点に当てるEBD法により作成するが、その先端曲率半径はベストの条件でもせいぜい8nm程度である。そこで、アルゴンガス存在下でのプラズマエッチングを行ったところ、4nmにまで細くすることに成功した。3)上記の工夫により、マイカ表面上に一様に立ったGroELの像をきれいに撮ることができるようになった。中心の穴やサブユニットまで解像することができた。GroELの濃度と像との関係を調べたところ、薄い場合には単層リングが多く、濃くすると2重リングになることを見出した。4)ATP存在下、非存在下で像ととり、単層GroELの形状変化を、高さ及び幅の変化として測定した。非存在下で高さは7.6nm、存在下では6.7nmになり、ATPの添加で約1nm低くなることが見出された。この変化は予想された方向と逆であった。幅も若干小さくなる傾向にあった。<br />研究課題/領域番号:14037220, 研究期間(年度):2002<br />出典:「シャペロニン機能動態のナノイメージング」研究成果報告書 課題番号14037220(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14037220/)を加工して作成 続きを見る
42.

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太田, 一寿 ; Ota, Kazuhisa
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060569
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />1)ヒト21番染色体配列情報から一定基準に基づいてin silicoで抽出した全CpGアイランド(CGI)149個について、新規に開発したHpaII-McrBC PCR法を駆使して、正常人末梢血由来DN Aでのアレル別メチル化状態を検討した。その結果、70%のCGIはメチル化を受けていなかったが、意外なことに20%ものCGIが両アレルともにメチル化されていることが判明した。更に7つのCGIは片側アレルのみがメチル化をされていた。これらのうち3つのCGIに関しては、SNP情報と家系を利用した解析が可能であった。2つのCGIは母性アレルがメチル化を受けていたが、残るひとつは由来する親の性にはよらない、つまり非インプリンティング型の片アレルメチル化、という新しいタイプを示すことが判明した。ヒト21番染色体と相同なマウス16番染色体領域やチンパンジー22番染色体の解析にも着手し、これらのメチル化の持つ意味を探っている。2)メチル化CGIを認識してこれにトランスに作用する因子をin vivoのクロマチン状態で解析・検索する目的で、出芽酵母内で特定の配列をメチル化する実験系を構築した。具体的には、LexAオペレータを介してLexA融合蛋白質として発現させた細菌由来de novo CpGメチレースM.SssIを標的配列近傍にリクルートして、そのメチル化を行わせることを試みた。その結果、この方法で標的配列をメチル化し得ることが示された。更に、これと1ハイブリッドシステムを組み合わせた系で、メチル化標的配列とメチルDNA結合蛋白質との相互作用を検出することに成功した。これはin vivoのクロマチン状態でのメチル化DNAとメチル化DNA結合蛋白質の相互作用を解析した最初の例である。現在、この系を用いた新規結合蛋白質の検索を進めている。<br />研究課題/領域番号:14026015, 研究期間(年度):2002<br />出典:「ヒトゲノム情報に基づく系統的メチル化解析によるがん関連インプリント遺伝子の検索」研究成果報告書 課題番号14026015(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14026015/)を加工して作成 続きを見る
43.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060288
概要: 金沢大学がん研究所<br />1、各種のマトリックスメタロプロテイナーゼに対する単クローン抗体で胃癌組織を調べることにより、72-kDaと92-kDa type IV collagenaseの発現は共に初期癌では認められず進行癌でのみ高頻度 (65%)に起こることを示した。一方で、collagenaseの発現は初期から高頻度の発現を示した。2、92-kDa type IV collagenaseの発現誘導機構についてプロモーターの解析から、以下の点を明らかにした。炎症性サイトカインとv-Srcに代表されるシグナルによってそれぞれ独立に制御される。v-Srcシグナルによる誘導を受けるかどうかは細胞によって異なるがそれはプロモーター中のRCE(Rb control element)への結合活性の有無によって決まる。3、胃癌細胞を正所移植すると組織の線維芽細胞の産生するTGF-bによって癌細胞による72-kDaと92-kDa type IV collagenaseの発現が誘導され、転移能が昂進する。TGF-bの作用は細胞によって異なるがそれを決定する因子の一つとしてRbの欠失があることを明らかにした。所見:本研究班は今年で最終年度を迎える。この3年間で癌細胞の浸潤に関わる様々な細胞外マトリックスの分解酵素に関する情報が遺伝子から組織レベルで蓄積した。癌細胞の浸潤制御を可能にする標的分子としてどの細胞外マトリックス分解酵素が妥当かを決めることが今後の問題である。<br />研究課題/領域番号:05151027, 研究期間(年度):1993<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号05151027(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05151027/)を加工して作成 続きを見る
44.

論文

論文
清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060291
概要: 金沢大学がん研究所<br />清木班員はヒト胃癌細胞株を用いて実験的にマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性発現が必須であることを特異的インヒビターであるTIMP-1遺伝子導入実験により示した.同時に、TIMP-1発現の低下が悪性形 質発現の一因となることも示された.岡田班員はヒト骨肉腫OST細胞、ヒト単球様細胞U937を用いて細胞の浸潤能および転移能の発現とIV型コラーゲナーゼ(MMP-9)の発現との相関が高いことを示した.中島班員は腎臓癌細胞KG12がヌードマウスへの正所移植では転移するが異所である皮下からは転移しないことを示した.組織由来の線維芽細胞が産生するTGFbがKG12細胞のIB型コラーゲナーゼおよびウロキナーゼ産生と浸潤能発現の制御因子であることを明らかにした.浸潤・転移能に関連して重要性が示されたMMP-9遺伝子発現制御機構を解析することにより、佐藤班員はTPA、TNFaとc-Srcを介するシグナルがそれぞれ独立にMMP-9の伝写を制御していることを明らかにした.MMP以外の浸潤能に関する細胞外マトリックス分解酵素として宮崎班員は胃癌細胞株からトリプシン1を精製し、同定した.早川班員はもう一つのMMPインヒビターであるTIMP-2に対する単クローン抗体を作成し、サンドイッチELISA法による測定系を確立した.木村班員は転移抑制遺伝子として報告されたNKPキナーゼ(NM23)遺伝子の二つのアイソフォームをラットからcDNAと対応する染色体遺伝子として単離し、その構落を明らかにした.また、ラット高転移性乳癌細胞での発現低下を確認した.谷口班員はbmアクチンの転移の抑制活性が細胞運動の抑制と相関しすることを明らかにした.若い研究者伊藤君は大腸癌でMMP-7の発現が特異的に見られること丹田君は血管作動薬による腫瘍組織血流量の増加が化学療法剤の効果を増強することを見いだした.<br />研究課題/領域番号:04151024, 研究期間(年度):1992<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号04151024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04151024/)を加工して作成 続きを見る
45.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060301
概要: 金沢大学がん研究所<br />癌の転移は癌患者の死因の大半を占めている。しかし、転移を防ぐ有効な方法は未だ確立されていない。その原因の一つは、転移の成立過程は複雑であり、その成立機序の解析が困難であったことによる。本研究では癌細胞の転移能と 良く相関している基底膜の浸潤能のステップに焦点を絞って解析を進めた。用いた細胞はNIH3T3であり、ras癌遺伝子の導入によって高転移性にトランスフォームした細胞での変化を調べた。癌細胞の運動性の昂進は、基底膜を破壊しながら通過する際に必要とされる性質である。ras癌遺伝子の導入による細胞の運動性昂進の機序に着目して以下のことを明らかにした。1、ras遺伝子の導入によって自らの運動性を刺激するAutocrine Motility Factor(AMF)の産生が昂進していた。2、AMFに対する反応性にはras遺伝子の導入によって変化がないことから、運動性の昂進はAMFの産生量の増大によると結論される。3、AMFはクロマトグラフ的に単一成分からなる。4、ヒトメラノーマで最初のAMFが報告されているが、それとは見かけの分子量や安定性などの点で異なる。5、NIH3T3のAMFとヒトメラノーマ細胞のAMFの作用はGタンパク・インヒビターに対する感受性が異なること、また二つのAMFがそれぞれの細胞に対して相加的に働くことから細胞の受容体も異なると考えられる。以上のことから、rasトランスフォーマントでもAutocrineの機構で運動性の昂進が引き起こされていることが明らかになった。<br />研究課題/領域番号:01015032, 研究期間(年度):1989<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号01015032(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01015032/)を加工して作成 続きを見る
46.

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鈴木, 文男 ; Suzuki, Fumio
出版情報: 昭和63(1988)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1988 Research Project Summary.  1988  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060304
概要: 金沢大学薬学部<br />従来,ヒト腫瘍細胞から活性化がん遺伝子を分離するために,標的細胞としてマウスNIH3T3細胞が用いられてきた。しかしながら,この細胞は自然がん化率が高いこと,さらに検出できるがん遺伝子種類が限られるという欠点があっ た。そこで本研究では,ゴールデンハムスター胎児細胞よりマウスNIH3T3様の細胞株を樹立し,新しいがん遺伝子検出系の開発を試みた。まず,胎児より分離した細胞を一定条件下で継代培養し,各継代期における細胞の性質を調べた。その結果,ほとんどの細胞は継代培養を操り返すに従い増殖能が低下して死滅したが,5例中2例の培養系は20継代過ぎても活発に増殖しつづけた。このうちのひとつ(L系)は,50継代培養しても軟寒天コロニー形成能や造腫瘍性といったがん化形質を示さず、また正常の細胞形態を維持していた。このことから,この細胞(GHE L50と命名)はマウスNIH3T3細胞に似た株細胞であることが示唆された。次に,この細胞およびクローニングして得たSHOK細胞について,ヒトがん細胞DNAによる形質転換能を調べた。T24細胞DNAをトランスフェクトすると,NIH3T3細胞に比べて8〜10倍のフォーカスを形成し,それらの細胞はいずれも軟寒天コロニー形成能や造腫瘍性を示した。このようにして得た悪性形質転換細胞についてサザンブロット解析した結果,すべての細胞にヒト反復配列プローブと反応するDNAが検出された。また最近では,種々のマウスがん細胞に適用し,これらの細胞DNA中に活性化がん遺伝子が存在することを発見した。以上の結果より,本研究で樹立したGHE L50細胞およびSHOK細胞は,活性化がん遺伝子を検出するための標的細胞として極めて有用であることがわかった。<br />研究課題/領域番号:63015028, 研究期間(年度):1988<br />出典:「がん遺伝子検出に使用する新しい細胞系の開発」研究成果報告書 課題番号63015028(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63015028/)を加工して作成 続きを見る
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服部, 信 ; Hattori, Nobu
出版情報: 昭和63(1988)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1988 Research Project Summary.  1988  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060306
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究班の本年度の成果は1)慢性肝炎試料のHBV DNA組み込みの構造解析から組み込みが癌化に先行する可能性が示唆された。予備的結果では1n Vitro感染後早期にHBV DNAの組み込みが検出された。2)比較 的発癌性が弱いと考えられていたダックB型肝炎ウイルス感染によって肝癌発生が観察された。3)多中心的な腫瘍を特徴とするウッドチャック肝癌でProgressionの段階と組み込み様式の変化・再編成を解析した。4)組み込まれたHBV DNAとその近傍の再編成を高頻度に起こすトランスジェニックマウスの系統を用いて、その子孫、及び培養細胞系で解析を続け、肝癌発生頻度が高くなる結果を得た。5)X遺伝子の細胞増殖に与える影響を検討し、高発現細胞では増殖促進効果が観察され、cMyc遺伝子の活性化を示唆する結果を得た。cMyc上流の制御領域と結合蛋白との相互作用にX蛋白が直接または間接的に影響を与える可能性が示唆された。6)エンハンサーに特異的に結合する肝細胞の蛋白の精製を進め、4蛋白成分の存在を示す結果を得た。またプレゲノムのプロモター領域と結合する肝特異的な結合蛋白を検出した。7)肝癌試料で活性化している癌遺伝子1caはonco-fetalな遺伝子でその遺伝子でその遺伝子構造を決定した。8)ヒト胎児初代培養系を用いて1n Vitro感染系の確立に成功し、今後ウイルス感染、ウイルス増殖HBV DNAの組み込み等の機構を実験的に検討することが可能となった。<br />研究課題/領域番号:63010030, 研究期間(年度):1988<br />出典:「肝炎ウイルスと肝癌発生」研究成果報告書 課題番号63010030(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010030/)を加工して作成 続きを見る
48.

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服部, 信 ; Hattori, Nobu
出版情報: 昭和62(1987)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1987 Research Project Summary.  1987  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060307
概要: 金沢大学がん研究所<br />班としての重要な成果として, 1.Transfection系が確立し, HBVウイルスの増殖とゲノム遺伝情報の解析が画期的に進む可能性が生まれた. 2.肝炎ウイルス遺伝子の発現の検討を行い, 特に関心が持たれる X遺伝子産物単離と抗体の作製が進むと共に, 培養細胞系でのX遺伝子発現により, 増殖促進効果を示唆する結果をえた. また肝炎ウイルスエンハンサーと相互作用する蛋白因子についての解析が開始された. 3.癌細胞で活性化したがん遺伝子について単離と解析により, lca遺伝子の検討が進んだ. 4.組み込み様式の解析を進め, HBV, WHV, DHBVの多くの例で宿主側の再編成を含む複雑な構造をとっていることが示され, 組み込み近傍の宿主側DNAの特長についての解析を進めた. 5.Transgenic Mouse系の実験が進み, 組み込みによる再編成とウイルス遺伝子の発現と効果についての実験が着手された.班では先述の如く肝発癌作用を持つ肝炎ウイルス遺伝子の検索と, 活性化される宿主側遺伝子の検索の両方向を中心に進め, 各々の分野で新しい知見を得ている. また組み込みの解析は肝細胞の発癌に多段階な過程を想定させており, 今後感染から組み込み, 及び再編成と癌の進展についての検討が必要である. これらのウイルス発癌研究の基礎となるのはウイルス増殖過程に関与する複製, 転写, 遺伝子蛋白の機能の分子的解析であり, Transfection系等により基礎的解析を更に進める.<br />研究課題/領域番号:62010032, 研究期間(年度):1987<br />出典:「肝炎ウイルスと肝癌発生」研究成果報告書 課題番号62010032(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-62010032/)を加工して作成 続きを見る
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中村, 暢宏 ; Nakamura, Nobuhiro
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2003 – 2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060534
概要: 金沢大学理工研究域<br />これまでの研究から、間期の細胞においてGRASP65の277番目のセリン(S277)がリン酸化されていること、また、このリン酸化はEGFなどの増殖刺激で増大することがわかっている。昨年度の研究では、EGFによる 増殖シグナルが、ERKを活性化させること、また活性化ERKがS277を直接リン酸化することを明らかにした。本年度は、S277が、M期において顕著にリン酸化されることを見いだし、その分子機構の解析を行った。S277付近のアミノ酸配列は(PGSPG)であって、ほ乳類のGRASP65で良く保存されていた。この部位は、cdk1/cyclinBのリン酸化酵素の認識配列に合致していた。M期の細胞質抽出液でGRASP65を処理するとS277は顕著にリン酸化され、これはcdkの特異的阻害剤であるroscovitinで阻害された。一方、MEKの阻害剤であるU0126存在下で調整し、ERKを不活化したM期の細胞質抽出液でもS277はリン酸化された。以上のことから、M期でのS277のリン酸化は、cdk1/cyclinBによっておこり、ERKは関与しないことが強く示唆された。驚いたことに、N末がミリスチン酸修飾されないGRASP65(Δm-GRASP65)を精製しG2期の細胞の細胞質に導入すると、M期への進行が顕著に阻害されることを見いだした。M期への進行限害は、導入するΔm-GRASP65のS277をアラニンに変異させるともはや観察されなかった。従って、Δm-GRASP65は、S277部位において何らかの細胞質因子と相互作用して細胞周期の進行を阻害していることが示唆された。さらに、リン酸化されたS277部位にPlk1が特異的に結合すること、また非リン酸化状態のS277部位に特異的に結合するタンパク質が存在することも見いだした。<br />研究課題/領域番号:15032216, 研究期間(年度):2003-2004<br />出典:「ゴルジ体の機能状態を細胞がモニターする仕組みの解明」研究成果報告書 課題番号15032216(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15032216/)を加工して作成 続きを見る
50.

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堀, 修 ; Hori, Osamu
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2003 – 2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060535
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />1)Lonノックアウトマウスの解析作製したLonノックアウトマウスについての機能解析をおこなった。Lonホモ(-/-)胎児は、E9.5以降では、全く生存せず、E7.5では、著しい成長障害(特に中胚葉の 発達障害)を認めた。形態学的な検討より、E7.5のLonホモ(-/-)に、活性酸素の産生と細胞死を認めた。また、Lonホモ(-/-)では、野生型(+/+)に比べて、ミトコンドリアDNA量が減少していた。これらのことは、Lonホモ(-/-)において、ミトコンドリアDNAの複製又は安定性が変化し、ミトコンドリア機能異常が引き起こされている可能性を示唆している。2)ミトコンドリアにおけるunfolded proteinの蓄積と、Lonの発現及び機能の関係についてHeLa細胞にEthidium Bromide(EtBr)を加え培養し、ミトコンドリアDNAを欠損した細胞を作製した。この時、ミトコンドリアDNA由来のcytochrome c oxygenase II(COXII)は、RNA及び蛋白レベルで発現を認めなかった。一方、核DNA由来のCOXIVも、EtBr処理によりその蛋白レベルでの発現量が、コントロールの約50%に低下した。この事から、ミトコンドリアでunfolded proteinが蓄積し、ミトコンドリア蛋白のバランスが崩れた際も、小胞体での場合と同様に、それを改善させるようなメカニズム(unfolded protein response)が存在していることが示唆された。また、この状況下で、ミトコンドリアのATP依存性プロテアーゼLonの発現が誘導されることが判明した。これらのことから、Lonが、小胞体ストレス及びミトコンドリアストレスのいずれの場合から起こるミトコンドリア障害についても、それを改善するために機能していることが示唆された。<br />研究課題/領域番号:15032215, 研究期間(年度):2003-2004<br />出典:「小胞体ストレス下で起こるミトコンドリア蛋白の変化とその応答について」研究成果報告書 課題番号15032215(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15032215/)を加工して作成 続きを見る