1.

論文

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多久和, 陽 ; Takuwa, Yoh
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060521
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />活性化血小板から放出される生理活性リゾリン脂質、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、マウスB16メラノーマ細胞において内因性に発現するG蛋白共役型S1P受容体、S1P2/Edg5サブタイプを介し、 in vitroにおいて細胞遊走と細胞外マトリックス浸潤を抑制する。本研究では、B16細胞のC57BL/6マウス皮下接種によるメラノーマ腫瘤形成が、S1Pの連日局所投与により用量依存性に著明に抑制されることを見出した。病理組織学的検討ではS1P投与群においてがん組織の線維性被膜による隔絶と周辺組織への浸潤の欠如が認められた。In vitroにおいてS1PはB16細胞の増殖を抑制しなかった。S1P2/Edg5ノックアウトマウスを用いた検討から、S1Pの抑制効果は宿主側間質細胞ではなくB16細胞の発現するS1P2/Edg5を介し発揮されるものと考えられた。B16細胞にS1P2/Edg5受容体を強発現させ皮下接種するとS1Pの抑制効果に対しより感受性となった。一方、B16細胞にS1P1/Edg1受容体(in vitroにおいてGiを介し細胞遊走・浸潤を促進する)を強発現させると、メラノーマ腫瘤形成がS1P依存性に増強された。これらの知見からin vivoにおいてS1Pはがん細胞が発現する受容体サブタイプ特異的にがんの浸潤、腫瘤形成を促進あるいは抑制することが明らかとなった。さらに、培養血管内皮細胞へのB16細胞の接着・伸展がS1Pにより抑制され、これはS1P_2/Edg5選択的阻害剤により解除されることを見出した。これはS1P_2/Edg5を介する血行性肺転移抑制の分子機構の一端を担うと考えられる。<br />研究課題/領域番号:16022225, 研究期間(年度):2004<br />出典:「G蛋白共役型受容体による癌の浸潤・転移の制御とその分子メカニズム」研究成果報告書 課題番号16022225(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16022225/)を加工して作成 続きを見る
2.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成2(1990)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1990 Research Project Summary.  1990  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060299
概要: 金沢大学がん研究所<br />がん細胞の浸潤能に関係する因子としてメタロプロテア-ゼとTIMPに着目し、まずは報告された遺伝子配列に基づいて72kDa,92kDaIV型コラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシン、TIMPのcDNAクロ-ンをPCR法で 単離した。また、TIMP関連蛋白質の部分的アミノ酸配列を入手し、これを基に合成DNAプロ-ブを調整して新しいTIMP遺伝子のcDNAをクロ-ニングした。しかし、これは本年、L.Liottaらが報告したTIMPー2と同一であることが判明した。上記のcDNAをプロ-ブとして用いて、様々ながん遺伝子でトランスフォ-ムしたNIH3T3細胞の転移・浸潤能との関連を調べた。1、転移能は鶏卵法を用いて調べた。ヌ-ドマウスによる実験的転移能の解析で報告されている結果と一致して、ここでもrasトランスフォ-マントがもっとも強い転移能を示し、src,fos,ablもrasほどではないが明らかに造腫瘍性と転移能を増加させた。2、ノ-ザン法でメタロプロテア-ゼ、インヒビタ-の発現を調べると、親株のNIH3T3で既に72kDa,92kDaコラ-ゲナ-ゼ、ストロムライシンが発現しており、細胞の転移能との相関は認められなかった。TIMP,TIMPー2の発現量にもトランスフォ-メ-ションや転移能と相関した変化はなかった。3、前年度にrasトランスフォ-マントではAutocrine Motility Factorの産生が昂進していることを報告した。本年度の結果と合わせて考えると、ras遺伝子による高転移性のNIH3T3細胞では浸潤性の昂進は細胞外マトリックスの分解能の昂進よりもむしろ運動性の昂進によって引き起こされていると考えられる。<br />研究課題/領域番号:02152041, 研究期間(年度):1990<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号02152041(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02152041/)を加工して作成 続きを見る
3.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060291
概要: 金沢大学がん研究所<br />清木班員はヒト胃癌細胞株を用いて実験的にマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性発現が必須であることを特異的インヒビターであるTIMP-1遺伝子導入実験により示した.同時に、TIMP-1発現の低下が悪性形 質発現の一因となることも示された.岡田班員はヒト骨肉腫OST細胞、ヒト単球様細胞U937を用いて細胞の浸潤能および転移能の発現とIV型コラーゲナーゼ(MMP-9)の発現との相関が高いことを示した.中島班員は腎臓癌細胞KG12がヌードマウスへの正所移植では転移するが異所である皮下からは転移しないことを示した.組織由来の線維芽細胞が産生するTGFbがKG12細胞のIB型コラーゲナーゼおよびウロキナーゼ産生と浸潤能発現の制御因子であることを明らかにした.浸潤・転移能に関連して重要性が示されたMMP-9遺伝子発現制御機構を解析することにより、佐藤班員はTPA、TNFaとc-Srcを介するシグナルがそれぞれ独立にMMP-9の伝写を制御していることを明らかにした.MMP以外の浸潤能に関する細胞外マトリックス分解酵素として宮崎班員は胃癌細胞株からトリプシン1を精製し、同定した.早川班員はもう一つのMMPインヒビターであるTIMP-2に対する単クローン抗体を作成し、サンドイッチELISA法による測定系を確立した.木村班員は転移抑制遺伝子として報告されたNKPキナーゼ(NM23)遺伝子の二つのアイソフォームをラットからcDNAと対応する染色体遺伝子として単離し、その構落を明らかにした.また、ラット高転移性乳癌細胞での発現低下を確認した.谷口班員はbmアクチンの転移の抑制活性が細胞運動の抑制と相関しすることを明らかにした.若い研究者伊藤君は大腸癌でMMP-7の発現が特異的に見られること丹田君は血管作動薬による腫瘍組織血流量の増加が化学療法剤の効果を増強することを見いだした.<br />研究課題/領域番号:04151024, 研究期間(年度):1992<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号04151024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04151024/)を加工して作成 続きを見る
4.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060301
概要: 金沢大学がん研究所<br />癌の転移は癌患者の死因の大半を占めている。しかし、転移を防ぐ有効な方法は未だ確立されていない。その原因の一つは、転移の成立過程は複雑であり、その成立機序の解析が困難であったことによる。本研究では癌細胞の転移能と 良く相関している基底膜の浸潤能のステップに焦点を絞って解析を進めた。用いた細胞はNIH3T3であり、ras癌遺伝子の導入によって高転移性にトランスフォームした細胞での変化を調べた。癌細胞の運動性の昂進は、基底膜を破壊しながら通過する際に必要とされる性質である。ras癌遺伝子の導入による細胞の運動性昂進の機序に着目して以下のことを明らかにした。1、ras遺伝子の導入によって自らの運動性を刺激するAutocrine Motility Factor(AMF)の産生が昂進していた。2、AMFに対する反応性にはras遺伝子の導入によって変化がないことから、運動性の昂進はAMFの産生量の増大によると結論される。3、AMFはクロマトグラフ的に単一成分からなる。4、ヒトメラノーマで最初のAMFが報告されているが、それとは見かけの分子量や安定性などの点で異なる。5、NIH3T3のAMFとヒトメラノーマ細胞のAMFの作用はGタンパク・インヒビターに対する感受性が異なること、また二つのAMFがそれぞれの細胞に対して相加的に働くことから細胞の受容体も異なると考えられる。以上のことから、rasトランスフォーマントでもAutocrineの機構で運動性の昂進が引き起こされていることが明らかになった。<br />研究課題/領域番号:01015032, 研究期間(年度):1989<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号01015032(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01015032/)を加工して作成 続きを見る
5.

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多久和, 陽 ; Takuwa, Yoh
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060540
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />癌の浸潤・転移には、細胞運動はきわめて重要な役割を果たしていることは周知の事実である。新規脂質メディエーター スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、細胞膜表面G蛋白共役型受容体(GPCR)群Edgフ ァミリーを介して、細胞遊走、形態変化などの多彩な生物活性を示す。特に、細胞運動に関しては、Edg1及びEdg3は細胞運動促進的に、Edg5は細胞運動抑制的に作用することをこれまでに明らかにして来た。本研究においてS1Pが内因性に発現しているEdg5受容体を介してマウスB16メラノーマ細胞のインビトロ浸潤を抑制すること、この作用にはRac活性の抑制とRho活性の促進が必要であること、さらに、尾静脈注入後肺転移モデルを用いてS1PがB16メラノーマ細胞の転移を抑制すること、この抑制作用もRac活性の抑制を介していると考えられることを示した。一方、Edg5とは正反対に、強制発現させたEdg1とEdg3は両者ともに浸潤・転移を促進し、この作用はRacの活性化を伴った。以上の結果から、Edg受容体はサブタイプ特異的にがん細胞の浸潤・転移を二方向性に制御しうること、さらにこれらの作用にはRac活性の二方向性制御が関与していることが示された。<br />研究課題/領域番号:15024224, 研究期間(年度):2003<br />出典:「G蛋白共役型受容体による癌の浸潤・転移の制御とその分子メカニズム」研究成果報告書 課題番号15024224(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15024224/)を加工して作成 続きを見る