1.

論文

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成1(1989)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1989 Research Project Summary.  1989  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060301
概要: 金沢大学がん研究所<br />癌の転移は癌患者の死因の大半を占めている。しかし、転移を防ぐ有効な方法は未だ確立されていない。その原因の一つは、転移の成立過程は複雑であり、その成立機序の解析が困難であったことによる。本研究では癌細胞の転移能と 良く相関している基底膜の浸潤能のステップに焦点を絞って解析を進めた。用いた細胞はNIH3T3であり、ras癌遺伝子の導入によって高転移性にトランスフォームした細胞での変化を調べた。癌細胞の運動性の昂進は、基底膜を破壊しながら通過する際に必要とされる性質である。ras癌遺伝子の導入による細胞の運動性昂進の機序に着目して以下のことを明らかにした。1、ras遺伝子の導入によって自らの運動性を刺激するAutocrine Motility Factor(AMF)の産生が昂進していた。2、AMFに対する反応性にはras遺伝子の導入によって変化がないことから、運動性の昂進はAMFの産生量の増大によると結論される。3、AMFはクロマトグラフ的に単一成分からなる。4、ヒトメラノーマで最初のAMFが報告されているが、それとは見かけの分子量や安定性などの点で異なる。5、NIH3T3のAMFとヒトメラノーマ細胞のAMFの作用はGタンパク・インヒビターに対する感受性が異なること、また二つのAMFがそれぞれの細胞に対して相加的に働くことから細胞の受容体も異なると考えられる。以上のことから、rasトランスフォーマントでもAutocrineの機構で運動性の昂進が引き起こされていることが明らかになった。<br />研究課題/領域番号:01015032, 研究期間(年度):1989<br />出典:「癌遺伝子rasによる高転移性獲得過程の分子生物学的解析」研究成果報告書 課題番号01015032(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01015032/)を加工して作成 続きを見る
2.

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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  20018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060519
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に作用してがんの浸潤・転移が成立する。この協調作用は細胞運動の極性形成と密接に関与していると考えられる。本研究ではMT1-MMPおよびJNK情報伝達経路の構成分子 とJNK結合分子の細胞運動における役割を調べた。ヒト線維肉腫細胞株HT1080をI型コラーゲン上に接着させることによりERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導された。HT1080細胞におけるMT1-MMPの過剰発現は細胞運動およびERK活性化を亢進した。この細胞運動とERK活性化はMMP阻害剤とMEK阻害剤により抑制され、活性型MEK発現により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤でともに抑制された。また、MT1-MMPを遺伝導入した上皮細胞をコラーゲン上で培養し上皮細胞成長因子で刺激すると、対照細胞に比べてERK活性化が亢進することが判明した。上皮細胞増殖因子により誘導される細胞運動におけるMT1-MMP活性の役割を現在検討中である。MT1-MMPは恐らく細胞接着斑形成に関与することでI型コラーゲン上における上皮細胞増殖因子の情報伝達経路に影響を及ぼしていると考えられる。JNK足場蛋白であるJSAP1のグリオーマ細胞株における発現はFAKの活性化を導き、その結果p130Casのリン酸化を誘導した。この結果と一致してJSAP1発現はフィブロネクチン刺激によるJNK活性化を亢進した。さらにJSAP1発現はフィブロネクチン上におけるJNK依存的細胞運動を誘導し、JNK結合部位を欠失したJSAP1変異体では細胞運動・JNK活性化誘導は認められなかった。JSAP1mRNAの発現はグリオーマ細胞株の運動能、ヒト脳腫瘍の悪性度と相関して上昇していた。以上のことからJSAP1は悪性腫瘍の浸潤・転移能獲得に関与していると考えられた。<br />研究課題/領域番号:16022227, 研究期間(年度):2004<br />出典:「がん浸潤の細胞運動と細胞外マトリックス分解機構の解析」研究成果報告書 課題番号16022227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16022227/)を加工して作成 続きを見る
3.

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佐藤, 博 ; Sato, Hiroshi
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060520
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />ヒトがん組織に広く発現し、悪性度・浸潤性との相関性が高く、がんの浸潤・転移に重要な役割を果たす膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MT1-MMP)の活性制御分子・新規基質を検索し、それらの浸潤・転移 に果たす役割を解析することにより、MT1-MMPを分子標的とした診断・治療法の開発へと発展させることが本研究の目的である。MT1-MMPの活性制御分子・新規基質を発現クローニング法により検索し、新規基質として細胞外マトリックス成分でありがん抑制遺伝子産物とされるルミカン及びデコリンを同定した。ルミカン及びデコリンは共にMT1-MMPにより切断されることを見出し、ルミカンの4箇所の切断点を同定した。またルミカン、デコリンは細胞にp21/Waf-1の発現を誘導し、細胞の軟寒天中でのコロニー形成を抑制するが、がん細胞の発現するMT1-MMPによるルミカン及びデコリンの切断はコロニー形成能を回復させることを明らかにした。また、がん細胞のコラーゲン培養によりExtracellular Signal-Regulated Kinase (ERK)が活性化され、活性化されたERKによりMT1-MMPの発現が誘導され、誘導されたMT1-MMPがさらにERKの持続的な活性化を引き起こすという正のフィードバック機構を見出した。そして、その結果として細胞運動が著しく亢進することを示した。以上の結果よりMT1-MMPは様々な細胞外マトリックス成分および関連分子を分解することにより腫瘍原性、運動、浸潤・転移に深くかかわっていることが強く示唆された。<br />研究課題/領域番号:16022226, 研究期間(年度):2004<br />出典:「がん浸潤・転移における膜型マトリックスメタロプロテアーゼ新規機能の解析」研究成果報告書 課題番号16022226(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16022226/)を加工して作成 続きを見る
4.

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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2003  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060539
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に作用して癌の浸潤・転移が成立するが、その協調的制御機構については不明な点が多い。そこで本研究ではMT1-MMPの細胞運動における役割を解析した。HT1080細胞 をI型コラーゲン上に接着させることでERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導され、MT1-MMPの過剰発現は細胞運動およびERK活性化の亢進を誘導した。MMP阻害剤とMEK(MAPKK)阻害剤によりこの細胞運動とERK活性化は抑制され、活性型MEK発現により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤で抑制された。また、MT1-MMPのヘモペキシンドメインの過剰発現はI型コラーゲンによるERK活性化、MMP-2活性化、細胞運動を抑制した。これらの結果からI型コラーゲンによるERK活性化とMT1-MMP活性発現誘導間の正のフィードバック機構の存在が明らかとなった。また、本研究では4回膜貫通型分子CD63がMT1-MMPと結合し、MT1-MMPのリソゾームでの分解を促進することでMT1-MMP活性を負に制御すること、MT1-MMPが細胞膜接着分子Syndecan 1を切断することで細胞運動を制御していることも見出した。本研究ではインテグリン/FAK/p130^<cas>による細胞運動誘導情報伝達機構におけるアダプター分子Crkの役割も解析した。CrkIIは221番チロシンがリン酸化されるとSH2ドメインを介して分子内結合し、アダプター分子としての活性を失う。この221番リン酸化チロシンを脱リン酸化酵素の一つPTP1Bが脱リン酸化することが細胞運動亢進に重要であることを本研究で証明した。また、負の制御を受けないCrkIIのスプライシング変異体であるCrkIの発現が脳腫瘍組織で亢進しており、細胞におけるCrkI発現がP130^<cas>のリン酸化、Akt活性化を誘導することで細胞運動・浸潤能を増強させることも見出した。<br />研究課題/領域番号:15024225, 研究期間(年度):2003<br />出典:「癌細胞浸潤における細胞運動とMT-MMPの協調的制御機構の解析」研究成果報告書 課題番号15024225(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15024225/)を加工して作成 続きを見る
5.

論文

論文
滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060565
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />Focal adhesion kinase(FAK)によるmitogen-activated protein kinase(MAPK)活性化は細胞増殖、細胞分化、細胞運動の制御に必須であることが知られて いる。我々はインテグリン-FAKを介したシグナル伝達系におけるMAPKのScaffold proteinであるJun N-terminal protein kinase(JNK)/stress-activated protein kinase-associated protein 1(JSAP1)の役割を検討した。その結果、JSAP1はFAKのN-末端と結合し、FAK-Src複合体のSrcによりチロシンリン酸化された。このJSAP1のチロシンリン酸化は細胞をファイブロネクチン上に接着させることでも誘導され、JSAP1発現細胞はファイブロネクチン上でのcell spreadingが亢進した。JSAP1によるcell spreadingの亢進にはJSAP1のチロシンリン酸化とFAKとの結合が必要であった。FAKはJSAP1を細胞接着斑にリクルートすることでより選択的にMAPKを制御し、細胞増殖・運動などの機能を調節している可能性が示された。細胞外マトリックスで誘導されるJNKの活性化に深く関与するアダプター分子CrkIおよびCrkIIのグリオーマにおける発現と細胞運動・浸潤に対する役割を検討した。crkIのmRNA発現はグリオーマ組織の非腫瘍部位、腫瘍部位で発現していたのに対し、そのスプライシングバリアントであるcrkI mRNAは腫瘍部位特異的に発現していた。CrkI遺伝子導入細胞は高い細胞運動能、浸潤能を示した。グリオーマにおけるcrkI mRNA発現は細胞運動能の亢進、細胞間接着の減弱、N-カドヘリン非依存的Akt活性化を誘導することで悪性度と深く関連していると考えられた。MT1-MMPががん抑制遺伝子KiSS-1 protein/Metastinを切断すること、4回膜貫通型蛋白CD63がMT1-MMPの活性を制御することも報告した。<br />研究課題/領域番号:14028025, 研究期間(年度):2002<br />出典:「癌浸潤における細胞運動とMT-MMPの協調的制御機構の解析」研究成果報告書 課題番号14028025(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14028025/)を加工して作成 続きを見る