1.

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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2009 Research Project Summary.  2008 – 2009  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060152
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />がん細胞浸潤は細胞外マトリックス(ECM)分解と方向性を持った細胞運動誘導が協調的に制御され、かつシグナルの連続性が維持されて初めて成立する。がん細胞はECM由来の細胞運動誘導シグナルの連続性を確保する ため、ECM分解酵素を用いて細胞外環境を調節している。本研究では膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)による細胞運動・浸潤時の極性形成と連続性維持への関与とその作用機序をインテグリン/FAK情報伝達経路を中心に解明し、がんの浸潤・転移機構の解明とその阻止に向けた標的分子の同定と薬剤開発を目標とする。MT1-MMPと細胞運動および浸潤極性イヌ腎上皮MDCK細胞やヒト乳癌MCF-7細胞のコラーゲンゲル培養において、MT1-MMPを発現させることによりFAKとERKのリン酸化が亢進することを明らかにした。このリン酸化の亢進は、MMP阻害剤処理や腫瘍細胞のMT1-MMPをsiRNAを用いてknockdownすることにより抑制された。また、MT1-MMP阻害はインテグリンαvβ3を介したc-Srcの活性化も抑制することも見出した。事実、Src阻害剤処理やsiRNAを用いたc-Srcのknockdownは、MT1-MMP活性に影響を与えずにFAKやERKのリン酸化を抑制した。c-Srcのエフェクター分子を検索したところ、コラーゲンゲル内においてPaxillinのknockdownがERK活性化と細胞増殖を抑制することが判明した。MT1-MMPとPaxillinの共発現はコラーゲンゲル内でのERK活性化を誘導した。MT1-MMPを発現している癌細胞の3次元コラーゲンゲル内増殖にはMT1-MMP活性に加えて、c-Srcの基質であるパキシリンが重要であることが判明した。MT1-MMPによる細胞増殖シグナル活性化の足場としてパキシリンが働いていることが期待される。<br />研究課題/領域番号:20013017, 研究期間(年度):2008 – 2009 続きを見る
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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成25(2013)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書 = 2013 Fiscal Year Final Research Report.  2011-2013  pp.5p.-,  2014-05-29.  金沢大学がん進展制御研究所
URL: http://hdl.handle.net/2297/48017
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />MT1-MMPを発現抑制したHT1080細胞とRat1線維芽細胞の共培養では、FN繊維がRat1からHT1080細胞の細胞接着斑に伸展し、N-カドヘリン接着が形成された。また、N-カドヘリン阻害は、MT 1-MMPを発現抑制したHT1080細胞におけるFN matrix形成を抑制した。以上の結果から、MT1-MMPは細胞接着斑上における初期のFNの重合を抑制することによりN-カドヘリン接着の安定化とFN matrix形成を阻害し、結果的に腫瘍細胞の細胞運動と増殖を誘導することが示唆された。<br />We have shown that membrane-type 1 matrix metalloproteinase (MT1-MMP) regulate fibronectin (FN) assembly by cleaving it, which results in promotion of cell motility and proliferation. FN matrix assembly requires the increased cytoskeletal tension generated by cadherin adhesions. In a co-culture of Rat1 fibroblasts and MT1-MMP-silenced but not control HT1080 cells, FN fibrils extended from Rat1 to cell-matrix adhesions in HT1080 cells, and N-cadherin adhesions were formed between these cells. MT1-MMP knockdown promoted FN matrix assembly and N-cadherin adhesions in HT1080 cells, which was abrogated by double knockdown with either integrin beta1 or FN. Conversely, inhibition of N-cadherin adhesions suppressed FN matrix formation in MT1-MMP-silenced cells. These data demonstrate that FN assembly initiated by MT1-MMP knockdown results in increased N-cadherin adhesions, which are prerequisite for further FN matrix formation.<br />研究課題/領域番号:23590356, 研究期間(年度):2011–2013 続きを見る
3.

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滝野, 隆久
出版情報: 平成22(2010)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書 = 2010 Fiscal Year Final Research Report.  2008-2010  pp.5p.-,  2011-05-23.  金沢大学がん研究所
URL: http://hdl.handle.net/2297/48018
概要: ヒト扁平上皮癌細胞のコラーゲンゲル培養において、MT1-MMP活性を合成阻害剤やsiRNAを用いたknockdownnにより阻害すると細胞増殖が顕著に抑制された。この際、FAKとERKの活性化が抑制されていた。また、MT1-MMP阻害はイン テグリンαvβ3を介したc-Srcの活性化も抑制することも見出した。c-Srcのエフェクター分子を検索したところ、コラーゲンゲル内においてMT1-MMPはPaxillinを介してERK活性化と細胞増殖を誘導することを証明した。MT1-MMPはコラーゲンゲル内において細胞外環境の変化を誘導し、c-Srcの活性化を惹起し、Paxillinを介してERK活性化と細胞増殖を誘導すると考えられた。<br />Membrane-type 1 matrix metalloproteinase (MT1-MMP) is essential for tumor invasion and growth. We show here that MT1-MMP induces extracellular signal-regulated kinase (ERK) activation in cancer cells cultured in collagen gel, which is indispensable for their proliferation. Inhibition of MT1-MMP by MMP inhibitor or small interfering RNA suppressed activation of focal adhesion kinase (FAK) and ERK in MT1-MMP-expressing cancer cells, which resulted in up-regulation of p21^<WAF1> and suppression of cell growth in collagen gel. Cell proliferation was also abrogated by the inhibitor against ERK pathway without affecting FAK phosphorylation. MT1-MMP and integrin α_vβ_3 were shown to be involved in c-Src activation, which induced FAK and ERK activation in collagen gel. These MT1-MMP-mediated signal transductions were paxillin dependent, as knockdown of paxillin reduced cell growth and ERK activation, and co-expression of MT1-MMP with paxillin induced ERK activation. The results suggest that MT1-MMP contributes to proliferation of cancer cells in the extracellular matrix by activating ERK through c-Src and paxillin.<br />研究課題/領域番号:20590306, 研究期間(年度):2008–2010 続きを見る
4.

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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Rroject Summary.  2002  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060565
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />Focal adhesion kinase(FAK)によるmitogen-activated protein kinase(MAPK)活性化は細胞増殖、細胞分化、細胞運動の制御に必須であることが知られて いる。我々はインテグリン-FAKを介したシグナル伝達系におけるMAPKのScaffold proteinであるJun N-terminal protein kinase(JNK)/stress-activated protein kinase-associated protein 1(JSAP1)の役割を検討した。その結果、JSAP1はFAKのN-末端と結合し、FAK-Src複合体のSrcによりチロシンリン酸化された。このJSAP1のチロシンリン酸化は細胞をファイブロネクチン上に接着させることでも誘導され、JSAP1発現細胞はファイブロネクチン上でのcell spreadingが亢進した。JSAP1によるcell spreadingの亢進にはJSAP1のチロシンリン酸化とFAKとの結合が必要であった。FAKはJSAP1を細胞接着斑にリクルートすることでより選択的にMAPKを制御し、細胞増殖・運動などの機能を調節している可能性が示された。細胞外マトリックスで誘導されるJNKの活性化に深く関与するアダプター分子CrkIおよびCrkIIのグリオーマにおける発現と細胞運動・浸潤に対する役割を検討した。crkIのmRNA発現はグリオーマ組織の非腫瘍部位、腫瘍部位で発現していたのに対し、そのスプライシングバリアントであるcrkI mRNAは腫瘍部位特異的に発現していた。CrkI遺伝子導入細胞は高い細胞運動能、浸潤能を示した。グリオーマにおけるcrkI mRNA発現は細胞運動能の亢進、細胞間接着の減弱、N-カドヘリン非依存的Akt活性化を誘導することで悪性度と深く関連していると考えられた。MT1-MMPががん抑制遺伝子KiSS-1 protein/Metastinを切断すること、4回膜貫通型蛋白CD63がMT1-MMPの活性を制御することも報告した。<br />研究課題/領域番号:14028025, 研究期間(年度):2002<br />出典:「癌浸潤における細胞運動とMT-MMPの協調的制御機構の解析」研究成果報告書 課題番号14028025(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14028025/)を加工して作成 続きを見る
5.

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滝野, 隆久
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2002 – 2003  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00061180
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />細胞外マトリックス分解と細胞運動の協調的制御が癌の浸潤・転移の成立するに必須である。しかし、その協調的制御機構については未だよくわかっていない。本研究では癌浸潤・転移に重要な役割を担うMT1-MMPの細 胞運動における役割を解析した。MT1-MMPを発現しているHT1080細胞をI型コラーゲン上に接着させるとERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導される。MT1-MMP遺伝子導入はコラーゲンにより誘導される細胞運動およびERK活性化を亢進した。MMP阻害剤とMEK阻害剤はコラーゲン上の細胞運動とERK活性化を抑制し、活性型MEK遺伝子導入により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤で抑制された。また、MT1-MMPのヘモペキシンドメインの過剰発現はコラーゲン上でのERK活性化、MMP-2活性化、細胞運動を抑制した。以上の結果からI型コラーゲンによるERK活性化とMT1-MMP活性発現誘導間の正のフィードバック機構の存在が考えられた。また、本研究では4回膜貫通型分子CD63がMT1-MMPと結合し、MT1-MMPのリソゾームでの分解を促進することでMT1-MMP活性を負に制御することも報告した。さらに、本研究ではインテグリン/FAK/p130^<cas>による細胞運動誘導情報伝達機構におけるアダプター分子Crkの役割も解析した。CrkIIは221番チロシンがリン酸化されるとSH2ドメインを介して分子内結合し、アダプター分子としての活性を失う。この221番リン酸化チロシンを脱リン酸化酵素の一つPTP1Bが脱リン酸化することが細胞運動亢進に重要であることを証明した。また、221番チロシンが存在しないCrkIIのスプライシング変異体であるCrkIの発現が脳腫瘍組織で亢進しており、細胞におけるCrkI発現がp130^<cas>のリン酸化、Akt活性化を誘導する結果、グリオーマの細胞運動・浸潤能を増強させることも明らかにした。<br />研究課題/領域番号:14770059, 研究期間(年度):2002-2003<br />出典:「がん細胞運動とマトリックスメタロプロテアーゼ活性発現の協調的制御機構の解析」研究成果報告書 課題番号14770059(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14770059/)を加工して作成 続きを見る
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滝野, 隆久 ; Takino, Takahisa
出版情報: 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 2001 Research Project Summary.  2000 – 2001  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00064435
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />癌抑制遺伝子PTEN(phosphaatase aand tensin homologue deleted on chromosome10)は悪性腫瘍の悪制度と相関して変異・欠質が認められる。PTENの 活性は細胞膜への移行およびPTENタンパクの安定性により制御されていると考えられる。このPTEN活性の制御にはそのカルボキシル末端が重要な役割を担っており、PTEN活性の制御機構を解明するためにPTENのカルボキシル末端をバイトにしてYeast Two-Hybrid法にてスクリーニングを行った。(結果)既知の4回膜貫通型分子とアクチン結合分子が同定された。培養細胞を用いた過剰発現系にて4回膜貫通型分子、アクチン結合分子とPTENの結合が免疫沈降法により確認された。この4回膜貫通型分子はC-末端の細胞内ドメインを介してPTENと結合することがわかった。また、アクチン結合分子はアクチン結合部位とは異なる部位でPTENと結合することがわかった。PTENのPI3-K/Akt経路抑制作用に対する4回膜貫通型分子ととアクチン結合分子の効果を抗リン酸化Akt抗体によるウエスタンプロッティングにて検討した。その結果、PTENによるAktのリン酸化抑制は4回膜貫通型分子と共発現することで増強された。(考察)インテグリン/FAK経路は細胞増殖、細胞分化、細胞運動を制御していおり、癌細胞浸潤機構解明の鍵であると考えられる。PTENはこのFAKの397番目チロシンを直接脱リン酸化することでFAKの活性を抑制し、PIP3を脱リン酸化することでも細胞運動を抑制する。最近、PTENのカルボキシル末端は膜への移行と安定性を制御していることが明らかになり、PTENのカルボキシル末端結合タンパクがPTENの活性を制御していると考えられる。今回PTEN結合分子として同定された4回膜貫通型分子はインテグリンと結合し細胞運動を制御していること、アクチン結合分子は細胞骨格形成に関与していることが報告されている。これらの経路にPTENがどの様に関与しているのか、FAKのリン酸化、MMPの活性発現に関与しているのかを今後検討する予定である。<br />研究課題/領域番号:12770071, 研究期間(年度):2000-2001<br />出典:「癌細胞運動とマトリックスメタロプロテアーゼ活性発現調節機構の解明」研究成果報告書 課題番号 12770071(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12770071/)を加工して作成 続きを見る