1.

論文

論文
加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060509
概要: 金沢大学理工研究域<br />我々は、昨年度の本特定領域研究において、腎臓や小腸の上皮細胞刷子縁膜や肝臓の血液側膜に発現する薬物トランスポーター群とPDZタンパク質群との特異的な相互作用を見出すとともに、PDZタンパク質の一つであるPDZK 1が有機カチオントランスポーターOCTN2やペプチドトランスポーターPEPT2の機能制御因子であることを見出した。本年度は、PDZタンパク質群の薬理学的意義をさらに追究するため、ともにPDZタンパク質と結合するペプチドトランスポーターPEPT1とその輸送駆動力であるH^+勾配を形成するNa^+/H^+ exchanger (NHE)3との機能的カップリング、およびPDZK1のホモログであるPDZK2によるトランスポーター機能制御について検討した。NHE3がPEPT1と同時に存在すると、PEPT1による基質輸送能が上昇し、輸送にNa依存性が見られるとともに、より高いpH条件下でも効率的な輸送の見られることを示した。このことは、PDZタンパク質との結合により両者が近接して存在することで、PEPT1によるペプチドや基質薬物輸送がより効率的に行なわれることを示唆する。一方、PDZK2はPDZK1と同様、OCTN2の輸送機能を促進したものの、PDZK1が細胞表面でのOCTN2の発現量に影響を与えないのに対し、PDZK2はOCTN2の発現量を上昇させることが示された。このことはPDZK2がOCTN2の輸送機能よりもむしろソーティングの制御に関与することを示唆する。さらに薬理学的意義を強く示唆するため、臨床応用の進められているモデル薬物として尿酸生合成阻害薬Y-700を用い、その肝細胞における輸送メカニズムを明らかにした。以上、本研究ではPDZタンパク質群のいくつかの薬理学的意義を示唆し、薬物動態において重要なタンパク質群である可能性を明らかとすることができた。<br />研究課題/領域番号:16044217, 研究期間(年度):2004-2005<br />出典:「薬物取り込み・排出トランスポーターの細胞膜ソーティングの分子機構と薬理学的意義」研究成果報告書 課題番号16044217(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16044217/)を加工して作成 続きを見る
2.

論文

論文
加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060517
概要: 金沢大学理工研究域<br />消化管上皮細胞への薬物取り込み過程は、癌化学療法における消化管毒性を決定する重要因子と考えられるものの、これまでその分子メカニズムに関する検討はごくわずかであった。本研究は、塩酸イリノテカンやメソトレキサートな ど有機アニオン系抗癌剤に消化管毒性が問題となっている点に着目し、種々のアニオン性モデル薬物を用いた消化管取り込み機構の実体解明を目的とした。併せて消化管に発現する有機カチオントランスポーターについてもその機能特性や輸送制御機構について検討を行った。本研究により消化管上皮細胞刷子縁膜において有機アニオントランスポーターOATP-Bが機能的に発現しており、種々の有機アニオン性基質薬物を選択的に取り込むことが明らかとなった。このことは、OATP-Bが消化管上皮細胞における薬物取り込み機構の一つとして生理的役割を果たすことを示唆し、抗癌剤をはじめとする医薬品の消化管への暴露を規定する標的分子の一つである可能性を示した。消化管に発現することが報告されている有機カチオン/カルニチントランスポーターであるOCTN1に見いだされる数種類の遺伝子多型について、その輸送機能、細胞内局在さらには発現量に及ぼす影響をHEK293細胞における一過性発現系を用い解析した。その結果、日本人において見いだされた遺伝子変異の一つが、OCTN1の細胞内局在や発現量にはほとんど影響を与えないものの、その有機カチオン輸送能を大きく低下させることが示された。OCTN1遺伝子はリュウマチやクローン病との関連性が示唆されており、今回見いだされた種々の遺伝子変異と病態との関連性について検討の必要性を示した。さらに、scaffoldタンパク質であるPDZタンパク質の一部がOCTN1の輸送機能に直接影響を与える輸送制御因子であることを、OCTN1とPDZタンパク質との同時発現系を用い示した。<br />研究課題/領域番号:16023227, 研究期間(年度):2004<br />出典:「抗癌剤の消化管毒性回避を目指した小腸上皮細胞取り込み機構の分子論的解析」研究成果報告書 課題番号16023227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16023227/)を加工して作成 続きを見る