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篠崎, 康之 ; Shinozaki, Yasuyuki
出版情報: 平成27(2015)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究成果報告書 = 2015 Fiscal Year Final Research Report.  2014-04-01 – 2016-03-31  pp.4p.-,  2016-05-23. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00059240
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />本研究は,慢性腎臓病と腸管トランスポーターとの関連を,OCTN1およびその基質である食餌由来の抗酸化物質,ergothioneineに着目して検討したものである.CKDモデルマウスの小腸では,管腔側の 細胞膜上に局在するOCTN1が減少し,ergothioneineの取り込みが低下していた.Ergothioneineが欠乏しているOCTN1ノックアウトマウスのCKDモデルでは,酸化ストレスが増大し,腎線維化が増悪することが確認された.これらの結果は,慢性腎臓病において腎臓と腸管との間に臓器連関が存在すること,および腎臓-腸管連関がCKDの進展に関与している可能性を示すものである.<br />This study examined the association between chronic kidney disease and intestinal transporter. We focused on organic cation transporter 1 (OCTN1) and its substrate, ergothioneine, which is the antioxidant material derived from diet. OCTN1 expression on the apical side of intestinal cell membrane decreased in chronic kidney disease (CKD) model mice, and the uptake of ergothioneine also decreased. In the OCTN1 knockout mice, which lacked ergothioneine, the increase of oxidative stress and exacerbation of kidney fibrosis were confirmed in CKD model. These results showed the presence of the linkage between CKD and intestinal transporter and this linkage might associate with clinical progress of CKD.<br />研究課題/領域番号:26860631, 研究期間(年度):2014-04-01 – 2016-03-31 続きを見る
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菊地, 晶裕 ; Kikuchi, Akihiro
出版情報: 平成24(2012)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究成果報告書 = 2012 Fiscal Year Final Research Report.  2011 – 2012  pp.5p.-,  2013-03-31. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00059338
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />ミネラル(必須微量元素)は活性酸素の生産や消去と密接に関連する因子であり、それらの輸送メカニズムを分子レベルで解明することは、細胞内における活性酸素濃度の制御メカニズムを理解するために必須である。本研 究では、X線吸収スペクトルを利用し、活性酸素の生産に関連する鉄トランスポーターの局所構造を解析する手法を確立した。さらに、活性酸素の消去に関連するセレンのトランスポーターであるセレノプロテインPをヒト血漿から高純度に精製し、その微結晶を得ることに成功した。今後の結晶構造解析によりセレンの輸送メカニズム解明が期待される。<br />A fine-tuned balance between production and scavenging of reactive oxygen species (ROS) is crucial for living cells. Since minerals (essential trace elements) can be a factorin regulation of ROS level, mechanisms of mineral transport at molecular level are essential for understanding the tuning mechanism of the ROS level in living cells. In this study, techniques for analysis of local structure around mineral using X-ray absorption spectroscopy has been established. Also, micro crystals of selenoprotein P, a selenium transporter, have been obtained. Further crystallographic study will be contributed the finding of scavenging mechanism of ROS by selenium-sites in the protein.<br />研究課題/領域番号:23790264, 研究期間(年度):2011 – 2012 続きを見る
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杉浦, 智子 ; Sugiura, Tomoko
出版情報: 平成23(2011)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究成果報告書 = 2011 Fiscal Year Final Research Report.  2010 – 2011  pp.5p.-,  2012-05-25. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00059518
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />アダプタータンパク質PDZK1が、小腸に発現する複数の吸収トランスポーター(PEPT1, OCTN2, OATP1A)のapical膜上での発現を制御し、その基質化合物の消化管吸収を制御することをin vivoで示した。pdzk1遺伝子欠損マウス(pdzk1^<-/->)では、小腸の吸収トランスポーターだけでなく、排出トランスポーターBCRPの発現が著しく低下し、その基質であるcimetidineの消化管吸収が増加した。このようにPDZK1は小腸に発現する取り込みおよび排出トランスポーターを制御することで、栄養物の効率的な吸収と異物からの防御を同時に行なっていると考えられる。<br />Transporter adaptor protein PDZK1regulates several influx transporters(PEPT1and OCTN2) in small intestine, and their expression on the apical membrane is diminished in pdzk1gene knockout mice(pdzk1^<-/->). In addition, we have identified that PDZK1regulates the expression of organic anion transporting polypeptide OATP1A and intestinal absorption of its substrate, estrone-3-sulfate. In the present study, we attempted to use pdzk1^<-/-> mice to functionally identify influx transporters responsible for intestinal absorption of cimetidine. Contrary to our expectation, the expression level of intestinal efflux transporter for cimetidine, BCRP, was significantly decreased in pdzk1^<-/-> mice, and plasma concentration of cimetidine after oral administration to pdzk1^<-/-> mice was higher than that in wild-type mice. Taken together, these findings demonstrate that PDZK1plays a pivotal role in the apical localization of both influx transporters and efflux transporter in small intestine.<br />研究課題/領域番号:22790152, 研究期間(年度):2010-2011 続きを見る
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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成19(2007)年度 科学研究費補助金 萌芽研究 研究概要 = 2007 Research Project Summary.  2006-2007  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060369
概要: 金沢大学自然科学研究科<br />本課題では,薬物送達に有用な皮膚に注目し,ここにおいて,薬物の細胞内外の輸送を担う膜タンパク質、トランスポーター群の機能を解析し,経皮投与の可能性の拡大,皮膚の薬物トランスポーターを利用した新規薬物送達シス テム開発に基盤的知見を提供すること目的としている。昨年度は,皮膚におけるNSAIDsであるフルルビプロフェン透過機構に有機アニオントランスポーターが関与していることが示唆された。本年度は,代表的な排出型トランスポーターであり,皮膚においても発現が観察されているMDRIおよびMRP1に関してその検証実験を実施した。前年度同様,モデル動物としてマウスを採用し,MRPIおよびMDR1の寄与をそれぞれの遺伝子欠損マウスから採取した皮膚を用いUssing chamber法で解析した。Mrp1遺伝子欠損マウスにおいては,モデル化合物としてfluo 3を採用した際に,表皮側および真皮側の両方において排出方向の活陸低下が認められた。このことから,Mrp1は皮膚組織から薬物、異物を排除する機能を発揮していることが示唆された。一方,Mdr1遺伝子欠損マウスにおいては,ローダミン123をモデル化合物として採用した際に,表皮→真皮方向の輸送活性の低下が観察された。以上から,排出型トランスポーターが皮膚組織において機能していることが明らかとなった。近年,医薬品添加剤による薬物トランスポーターの機能阻害、促進が報告されていることから,このような知見と本課題の成果を併せることにより,皮膚を利用した新規薬物送達システムの開発に繋がるものと期待される。<br />研究課題/領域番号:18659039, 研究期間(年度):2006 – 2007<br />出典:「経皮吸収性の飛躍的向上を目指したトランスポーター分子標的化薬物デリバリー」研究成果報告書 課題番号18659039(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18659039/)を加工して作成 続きを見る
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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 萌芽研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060418
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />本研究は、薬物輸送能を有するトランスポーター遺伝子あるいはアンチセンス配列を臓器にin vivoで導入する発現ベクターを構築し、薬物の特異的かつ能動的な組織送達が可能であるかを検証するものである。しか し、このためにはin vitro系における厳密な検討が必要であり、このため、本年度は、トランスポーター遺伝子発現用ベクターに代表的トランスポーターであるペプチド・トランスポーター遺伝子(PEPT1、PEPT2、HPT1)遺伝子を組み込み、これらの機能を培養細胞発現系で解析した。PEPT1はβ-ラクタム系抗生物質などの腸管取り込み輸送に大きな役割を有していると考えられるが、特にセファレキシン輸送時には、「ペプチダーゼ様活性」の存在が示唆された。PEPT1のこのようなペプチダーゼ活性は他のペプチドトランスポーター(PEPT2、HPT1)などと比して、非常に大きいものであった。このペプチダーゼ活性は、種々のペプチダーゼインヒビターによって阻害を受けた。このことは、個体(in vivo)においてPEPT1を利用した組織特異的薬物デリバリーに至適な薬物をデザインする際に重要な知見であると考えられる。これまでのところ、ペプチダーゼのような消化酵素活性を有するトランスポーター群は知られておらず、その作動機序には大きな関心が寄せられる。しかしながら、PEPT1の輸送機能およびペプチダーゼ用活性の解明は、培養細胞発現系のみでの解析系では限界であると考えられる。酵素活性がトランスポーターに由来するものか?あるいは、発現によって誘導されたものかは明確とは言えないため、今後は、これまでに我々が構築してきた発現系を利用したトランスポータータンパク質の精製・再構成および機能解析が必須と考えられ、現在、その検討に向けて準備段階にある。<br />研究課題/領域番号:16659037, 研究期間(年度):2004 – 2005<br />出典:「トランスポーター発現アデノウイルスベクターを用いた薬物の能動的組織デリバリー」研究成果報告書 課題番号16659037(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16659037/)を加工して作成 続きを見る
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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成15(2003)年度 科学研究費補助金 萌芽研究 研究概要 = 2003 Research Rroject Summary.  2002 – 2003  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060447
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />1997年に我々が発見した有機カチオントランスポーターOCTN1は、腎刷子縁膜に存在することが想定されていながらその分子的実体が未だ不明である有機カチオン輸送体と、機能的に類似していることが遺伝子発現 系を用いた解析により示されている。しかし腎以外の臓器における機能は未だ不明である。本研究ではアデノウイルスベクターを用い、in vivoでOCTN1に対するアンチセンス遺伝子を導入することでその遺伝子発現を抑制し、OCTN1の生理的役割を評価することを目的とした。マウスあたり2.4x10^9PFUの力価で、OCTN1アンチセンスをコードしたアデノウイルスを頸静脈投与したところ、2-3日後には肝において遺伝子導入マーカーの発現が見られた。RT-PCRにより、肝にOCTN1が存在すること、および導入したアンチセンスが発現していることを確認した。一方で14日後にはGFPの蛍光は消失していた。以上よりアンチセンス一過性導入の実験系を確立することができた。この系において単離肝切片を調製しOCTN1の典型的基質であるtetraethylammonium (TEA)の取り込みを検討したところ、顕著な取り込みが観察されたもののAdmOCTN1.ASの導入により肝臓への取り込みに顕著な変化は観察されなかった。また感染2日後のマウスに放射標識TEAを投与しその胆汁排泄を検討したところ、胆汁中のTEA回収量にも有意な変化は見られなかった。一方でセンス鎖をコードしたアデノウイルスを感染させた際には、以前に肝において基質の輸送活性が認められ、今回血液脳関門においても輸送活性の上昇を認めることができた。従って、本実験系はトランスポーターの持つ生物学的活性の評価や薬物デリバリーには有用である一方で、遺伝子ノックダウンによる生理的役割解明への応用にはさらなる検討が必要であると考えられる。<br />研究課題/領域番号:14657615, 研究期間(年度):2002 – 2003<br />出典:「アンチセンス発現アデノウイルスを用いたトランスポーターの薬物体内動態制御機能評価」研究成果報告書 課題番号14657615(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14657615/)を加工して作成 続きを見る
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福森, 義宏 ; Fukumori, Yoshihiro
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060505
概要: 金沢大学理工研究域<br />1.N-FeoBの大量発現と抗N-FeoB抗体の作製FeoBを精製するには、高感度なアッセイ系が必要である。そこで、本年度は、抗-FeoB抗体を作製した。具体的には,FeoBのN末端ドメイン(245アミノ酸残基 )をコードするDNA断片をPCRで増幅、PCRエラーが無いことを確認し、pET-15b vectorにクローニングした。大量発現には大腸菌BL12株を用いた。N-FeoBは封入体として発現しており、大腸菌より封入体を調製し、変性条件下でNiアフィニティクロマトグラフィにより精製した。大量発現の結果得られたN-FeoBをトロンビンで処理しHis-tag部分を取り除き、SDS-PAGEしたゲルから切り出すことで、更に精製した。得られた精製標品を抗原としてウサギに免疫した。抗体価は二重免疫拡散法とドットブロット法により測定し、アッセイに十分な抗体価をもつ抗血清が得られた。2.磁性細菌M.magnetotacticumの大量培養と膜画分の調製M.magnetotacticumを120Lの合成培地で培養し、25gの細胞を得た。細胞をフレンチプレスで破砕し遠心分離(8,000xg)によって未破砕細胞とマグネトソームを取り除き、更に、超遠心(100,600xg)し沈澱を回収することで膜画分(細胞膜と外膜を含む)を調製した。3.FeoBの検出抗N-FeoB抗体を用いてWestern blotを行い、M.magnetotacticumの膜画分からFeoBの検出を行った。その結果、73.6kDaのメジャーなバンドと2つのマイナーバンド(81.5,61.1kDa)が確認できた。メジャーなバンドの分子量はfeoB遺伝子の塩基配列から推定される分子サイズとほぼ一致した。このことから本細菌のFeoBは膜画分に存在していることが明らかになった。4.FeoBの精製(可溶化条件の検討)FeoBの精製を行う為、膜可溶化条件を検討した。可溶化効率はWestern blotによって検出したバンドをルミノイメージアナライザーによって定量し、求めた。その結果、デオキシコール酸ナトリウムが最も効率的にFeoBを可溶化できることが分かった。現在,アフィニティ、イオン交換、ゲルろ過、ハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィによりFeoBの精製を試みている。<br />研究課題/領域番号:16048211, 研究期間(年度):2004<br />出典:「磁性細菌のGタンパク質融合型鉄輸送体: 精製と再構成」研究成果報告書 課題番号16048211(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16048211/)を加工して作成 続きを見る
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論文
加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060506
概要: 金沢大学理工研究域<br />腎臓や小腸は外界からの低分子異物の侵入を防ぎ、かつそれらを生体から排除する一方、生体に必要な栄養物質を吸収している。これら臓器の上皮細胞アピカル側膜上には、異物を排出し栄養物質を吸収する巧妙な分子メカニズムとし て薬物トランスポーター群が存在する。本研究は、異物解毒と栄養吸収という双方向のベクトル輸送を司る高次の分子機構の解明を目指し、薬物トランスポーター分子内に存在する共通の分子配列を同定するとともに、その配列を認識しトランスポーターの機能を制御するアダプタータンパク質の同定を目的とした。Yeast two hybrid法および遺伝子組換え精製タンパク質を用いたpull-down法により、solute carrier superfamilyに属する薬物トランスポーター20種類のC末端と、腎臓および小腸に発現する4つのPDZドメインを有するタンパク質との相互作用を解析した結果、アピカル膜に発現する数種類のトランスポーターとの特異的相互作用を見いだした。このうち腎アピカル膜に局在するPDZタンパク質であるPDZK1存在下で、ペプチドトランスポーターPEPT2および有機カチオン/カルニチントランスポーターOCTN2の基質輸送能の亢進が認められた。特にOCTN2による基質輸送能に及ぼす促進効果は顕著であり、基質に対する親和性の変化ではなく輸送キャパシティーの約6倍の上昇により説明できた。また細胞表面に発現するOCTN2をビオチン標識とWestern blot法により定量したところ、PDZK1はOCTN2の形質膜上での発現量には影響を与えておらず、相互作用により直接輸送を制御することが示唆された。免疫共染色によりPDZK1とOCTN2は腎尿細管刷子縁膜に共局在することが示された。以上の知見は、薬物トランスポーターがアピカル膜において個々に単独で存在するのではなく、PDZタンパクを介したクラスターを形成することにより異物の排除と栄養物の吸収を担っていることを強く示唆するものである。<br />研究課題/領域番号:16048210, 研究期間(年度):2004<br />出典:「異物排出トランスポーター群の上皮細胞アピカル膜局在を制御する分子シグナル」研究成果報告書 課題番号16048210(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16048210/)を加工して作成 続きを見る
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加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060509
概要: 金沢大学理工研究域<br />我々は、昨年度の本特定領域研究において、腎臓や小腸の上皮細胞刷子縁膜や肝臓の血液側膜に発現する薬物トランスポーター群とPDZタンパク質群との特異的な相互作用を見出すとともに、PDZタンパク質の一つであるPDZK 1が有機カチオントランスポーターOCTN2やペプチドトランスポーターPEPT2の機能制御因子であることを見出した。本年度は、PDZタンパク質群の薬理学的意義をさらに追究するため、ともにPDZタンパク質と結合するペプチドトランスポーターPEPT1とその輸送駆動力であるH^+勾配を形成するNa^+/H^+ exchanger (NHE)3との機能的カップリング、およびPDZK1のホモログであるPDZK2によるトランスポーター機能制御について検討した。NHE3がPEPT1と同時に存在すると、PEPT1による基質輸送能が上昇し、輸送にNa依存性が見られるとともに、より高いpH条件下でも効率的な輸送の見られることを示した。このことは、PDZタンパク質との結合により両者が近接して存在することで、PEPT1によるペプチドや基質薬物輸送がより効率的に行なわれることを示唆する。一方、PDZK2はPDZK1と同様、OCTN2の輸送機能を促進したものの、PDZK1が細胞表面でのOCTN2の発現量に影響を与えないのに対し、PDZK2はOCTN2の発現量を上昇させることが示された。このことはPDZK2がOCTN2の輸送機能よりもむしろソーティングの制御に関与することを示唆する。さらに薬理学的意義を強く示唆するため、臨床応用の進められているモデル薬物として尿酸生合成阻害薬Y-700を用い、その肝細胞における輸送メカニズムを明らかにした。以上、本研究ではPDZタンパク質群のいくつかの薬理学的意義を示唆し、薬物動態において重要なタンパク質群である可能性を明らかとすることができた。<br />研究課題/領域番号:16044217, 研究期間(年度):2004-2005<br />出典:「薬物取り込み・排出トランスポーターの細胞膜ソーティングの分子機構と薬理学的意義」研究成果報告書 課題番号16044217(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16044217/)を加工して作成 続きを見る
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加藤, 将夫 ; Kato, Yukio
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2004  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060517
概要: 金沢大学理工研究域<br />消化管上皮細胞への薬物取り込み過程は、癌化学療法における消化管毒性を決定する重要因子と考えられるものの、これまでその分子メカニズムに関する検討はごくわずかであった。本研究は、塩酸イリノテカンやメソトレキサートな ど有機アニオン系抗癌剤に消化管毒性が問題となっている点に着目し、種々のアニオン性モデル薬物を用いた消化管取り込み機構の実体解明を目的とした。併せて消化管に発現する有機カチオントランスポーターについてもその機能特性や輸送制御機構について検討を行った。本研究により消化管上皮細胞刷子縁膜において有機アニオントランスポーターOATP-Bが機能的に発現しており、種々の有機アニオン性基質薬物を選択的に取り込むことが明らかとなった。このことは、OATP-Bが消化管上皮細胞における薬物取り込み機構の一つとして生理的役割を果たすことを示唆し、抗癌剤をはじめとする医薬品の消化管への暴露を規定する標的分子の一つである可能性を示した。消化管に発現することが報告されている有機カチオン/カルニチントランスポーターであるOCTN1に見いだされる数種類の遺伝子多型について、その輸送機能、細胞内局在さらには発現量に及ぼす影響をHEK293細胞における一過性発現系を用い解析した。その結果、日本人において見いだされた遺伝子変異の一つが、OCTN1の細胞内局在や発現量にはほとんど影響を与えないものの、その有機カチオン輸送能を大きく低下させることが示された。OCTN1遺伝子はリュウマチやクローン病との関連性が示唆されており、今回見いだされた種々の遺伝子変異と病態との関連性について検討の必要性を示した。さらに、scaffoldタンパク質であるPDZタンパク質の一部がOCTN1の輸送機能に直接影響を与える輸送制御因子であることを、OCTN1とPDZタンパク質との同時発現系を用い示した。<br />研究課題/領域番号:16023227, 研究期間(年度):2004<br />出典:「抗癌剤の消化管毒性回避を目指した小腸上皮細胞取り込み機構の分子論的解析」研究成果報告書 課題番号16023227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16023227/)を加工して作成 続きを見る