1.

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成瀬, 智恵 ; Naruse, Chie
出版情報: 平成23(2011)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究成果報告書 = 2011 Fiscal Year Final Research Report.  2010 – 2011  pp.4p.-,  2012-05-29. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00059592
概要: 金沢大学学際科学実験センター<br />我々が作製したHP1γ変異マウスを解析した結果、減数分裂の進行時にHP1γはセントロメア近傍におけるヒストン修飾因子のリクルートに必須であることが明らかになった。また、減数分裂以前の始原生殖細胞(PG C)の増殖にもHP1γが必須であることを明らかにした。さらに、ヒストン脱メチル化酵素の変異マウスは骨格の発生に異常を起こして出生直後致死となること、骨格の発生異常はHox遺伝子の発現制御の異常によることを明らかにした。<br />We generated HP1 gamma mutant mice and found that histone methylation at pericentromeric heterochromatin was reduced in the mutant germ cells at meiosis. Next, we found that HP1 gamma is essential for cell cycle progression of primordial germ cells(PGC). Moreover, we found that histone demethylase regulates expression of Hox genes, and the demethylase-deficient mice died perinatally.<br />研究課題/領域番号:22700451, 研究期間(年度):2010-2011 続きを見る
2.

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永長, 一茂 ; Nagaosa, Kazushige
出版情報: 平成20(2008)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究成果報告書 = 2008 Fiscal Year Final Research Report.  2006 – 2008  pp.4p.-,  2009-04-10. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00059857
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />セルトリ細胞によるアポトーシス精子形成細胞の貪食を阻害により精子数が減少することから、「貪食依存に発現誘導される精子形成促進因子」が存在するとの仮説を立て、この検証を試みた。その結果、アポトーシス細胞 を貪食したセルトリ細胞で発現量が顕著に増加する遺伝子Aが見出された。現在、AもしくはAが発現や機能を制御する分子が精子形成を促進させるか否かを検証中である。<br />研究課題/領域番号:18791116, 研究期間(年度):2006 – 2008<br />出典:「精子形成細胞の死が促す新たな精子形成機構の解析」研究成果報告書 課題番号18791116(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-18791116/18791116seika/)を加工して作成 続きを見る
3.

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浅野, 雅秀 ; Asano, Masahide
出版情報: 平成24(2012)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2012 Research Project Summary.  2011 – 2012  pp.2p.-,  2019-07-29. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060115
概要: 金沢大学学際科学実験センター<br />HP1Y欠損マウスを用いた解析から,HP1γは減数分裂時の相同染色体の対合(Takada,Naruse,et al.,Development,2011)及びPGCの増殖(Abe et al.,Biol Reprod,2011)に重要な役割を果たしていることを明らかにして論文として発表した。24年度は転写抑制性ヒストン修飾H3K27me3の脱メチル化酵素Jmjd3の解析を中心に進めた。Jmjd3欠損マウスは出生直後に致死となり,体軸形成に異常が認められた。体軸形成に重要な役割を担っているHox遺伝子群を中心に,定量RT-PCRやクロマチン沈降法を用いて,Jmjd3が体軸形成を制御するメカニズムを解析した。その結果,Jmjd3はHox遺伝子群に結合し,転写抑制マークのH3K27me3を脱メチル化することにより,一部のHox遺伝子群の発現をその発現開始時において制御していることを明らかにした(論文投稿中)。一方,Jmjd3欠損マウスの胎盤が過形成を生じることもわかった。Jmjd3欠損胎盤では胎盤特異的インプリント遺伝子群の発現が異常になっており,一部のインプリント遺伝子群の発現は,やはりJmjd3によるH3K27me3の脱メチル化で制御されていることを明らかにした(論文準備中)。Jmjd3欠損マウスは出生直後に致死であったので,生後の生殖細胞について解析することができなかった。そこでJmjd3-floxマウスと雄性生殖細胞で特異的にCreを発現するTNAP-Creマウスとを交配して,雄性生殖細胞特異的Jmjd3欠損マウスを作製したが,生殖細胞の異常は観察できなかった。<br />研究課題/領域番号:23013012, 研究期間(年度):2011 – 2012 続きを見る
4.

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浅野, 雅秀 ; Asano, Masahide
出版情報: 平成22(2010)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2010 Research Project Summary.  2009 – 2010  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060133
概要: 金沢大学 学際科学実験センター<br />(1)HP1γ変異マウスの始原生殖細胞(PGC)の解析HP1γはメチル化ヒストン(H3K9me)に結合するエピジェネティック制御因子の一つである。22年度はHP1γ変異マウスにおいてPGCの数が少な い原因をさらに追及した。PGCの運命決定や生殖隆起への移動,細胞死,ヒストン修飾に異常はなく,PGCの増殖に問題があることを明らかにした。E12.5の増殖期のHP1γ変異PGCはBrdUの取込みが有意に低下しており,フローサイトメトリーの解析からもHP1γ変異PGCはG1期に集積しており,S期への移行が抑制されていた。様々な細胞周期制御因子を解析したところ,HP1γ変異胚ではサイクリン依存性キナーゼ阻害活性を持つp21(Cip)を発現するPGCの割合が増加し,p21の集積がG1/S期移行の遅延を引き起こしている可能性が示唆された。しかしながらE11.5の野生型PGCとHP1γ変異PGCとのマイクロアレイ解析では,他の細胞周期制御遺伝子の発現に有意な違いは見られなかった。以上の結果をまとめて論文を投稿したところ,いくつかの追加実験を求められた。特にPGCの数の減少が最初に認められるE7.25のHP1γ変異PGCでもBrdUの取込みが低下していること,PGCのin vitro培養系でもHP1γ変異PGCの増殖が低下していることを明らかにして再投稿を行った。(2)ヒストン脱メチル化酵素の欠損マウスの作製ヒストンのメチル化はエピジェネティックな制御の中心的な役割を果たしているが,脱メチル化酵素はまだ不明な点が多い。二つの脱メチル化酵素遺伝子についていわゆるfloxマウスを作製し,TNAPCreマウスと交配することにより,生殖細胞特異的に欠損したマウスを作製している。これらの生殖細胞の解析は,次の2年間の本特定領域の研究テーマとして解析を進める予定である。<br />研究課題/領域番号:21028007, 研究期間(年度):2009 – 2010 続きを見る
5.

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小出, 寛 ; Koide, Hiroshi
出版情報: 平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2009 Research Project Summary.  2008 – 2009  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060139
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />本年度は、LRH1による下流分子の発現制御機構に関する解析を進めるとともに、LRH1が他の転写因子とネットワークを形成している可能性を見い出した。LRH1による細胞周期関連分子Cdk2およびサイクリン Eの発現制御機構に関しては、Cdk2およびサイクリンEの発現制御領域と思われる領域を単離し、Luciferaseをレポーター遺伝子として用いた実験を行った。その結果、発現制御領域にはLRH1の結合配列が見い出されず、これらの分子がLRH-1によって直接制御されているわけではないことが示唆された。これとは別に、LRH1が転写制御因子Dax1の発現を正に制御していることも見出した。興味深いことに、ある種の細胞においてはDax1はLRH1の負の制御因子として働くことが報告されている。これらのことから、ES細胞においてLRH1とDax1が互いに制御ループを形成している可能性が考えられた。さらにDax1が自己複製に必須な転写因子であるOct3/4に結合して、そのDNA結合能を阻害することを見い出した。一方で、Oct3/4はDax1の発現制御領域に直接結合し、その発現を正に制御していることも明らかにした。これらのことからES細胞においてDax1とOct3/4も互いに制御ループを形成していると思われる。以上の知見を総合すると、ES細胞において増殖を制御しているLRH1が、自己複製を制御しているOct3/4と、Dax1を介したクロストークを行っている可能性が考えられた。<br />研究課題/領域番号:20058011, 研究期間(年度):2008 – 2009 続きを見る
6.

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佐藤, 純 ; Sato, Makoto
出版情報: 平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2009 Research Project Summary.  2008 – 2009  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060144
概要: 金沢大学 フロンティアサイエンス機構<br />ショウジョウバエ視覚中枢のメダラ神経節はほ乳類の脳において見られる様々な特徴を持ちつつ、ハエの高度な遺伝学的ツールを用いることができる優れたモデル系である。発生過程においてメダラ前駆体は4種の 転写因子の発現によって同心円状に区画化されるが、4種の転写因子のうちDrifter (Drf)およびHomothorax (Hth)についてはその発現を正確に再現するGa14系統を作製し、これを用いてGFPを発現させ、それぞれの発現によって規定される神経細胞の形態・移動パターンを調べた。その結果、DrfおよびHthを発現するメダラ神経細胞はそれぞれ全く異なるタイプの神経細胞を構成し、神経細胞のタイプごとに異なる細胞移動パターンを示すことが分かった。また4種の転写因子のうちBshはHth陽性神経細胞の一部で発現し、Mi1と呼ばれる単一の神経細胞種を規定すること、Mi1は幼虫期には脳の内側に位置するが、蛹期の細胞移動によって脳の最も外側の領域に向かって規則正しく移動することがわかった。drf変異体ではDrf陽性神経細胞のタイプは基本的には維持されるが、一部の樹状突起のパターン、軸索の投射先に異常が生じる。hth変異体ではもともとのHth陽性神経細胞とは全く異なるタイプの神経細胞が生じ、Bshの発現も失われることがわかった。さらに、Hthは細胞接着因子NCadherinの発現を誘導し、これがHth陽性神経細胞の正確な投射制御において重要であることが示唆された。HthはBshおよびNCadherinの発現を介してMi1の投射パターンを制御していると考えられる。<br />研究課題/領域番号:20021006, 研究期間(年度):2008 – 2009 続きを見る
7.

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村上, 清史 ; Murakami, Seishi
出版情報: 平成19(2007)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2007 Research Project Summary.  2006 – 2007  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060196
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />B型肝炎ウイルスX蛋白(HB_x)の生物の機能を解明するため、HB_xが活性化型H-Ras導入による不死化ヒト初代細胞のoncogene-induced senescence (OIS)に拮抗して細胞を 形質転換する能力の解析(村上、中本)と、HB_xに拮抗する宿主因子RMPの生物的機能をfly系で解析(小泉)を進めると共に、レトロウイルス挿入ライブラリーによるマウスのがん化の標的部位の探索(鈴木)を行った。得られた主な結果は、1)不死化ヒト正常線維芽(BJ)細胞系でのHB_xのOIS克服能は、HB_xがp53経路とpRb経路を抑制する結果と示唆された。HB_x形質転換促進能には、aa74-94とaa111-131の2配列が必須であり、aal-49が付加的な役割を示した。ジーンチップ解析では、HB_xと活性型Rasが共発現した不死化BJ細胞で、不死化BJ細胞に比較し、アポトーシス関連因子やMAPキナーゼシグナル伝達経路など細胞周期と細胞増殖に関与する因子と、SPCなど癌遺伝子関連因子の発現亢進が認められた。2)hTERT導入不死化ヒト初代肝細胞株(TTNT-16)を用いた解析でも、HB_xは活性化型H-RasによるOISを克服能を示し、細胞の形質転換を促進した。3)ショウジョウバエでfRMPとRPB5との関係を解明するため、RPB5 RNAiトランスジェニック(15系統)を作成した。GAL4誘導下でfRMPとRPB5 RNAiが眼成虫原基全体で発現する系で、fRMPとRPB5トランスジェニックRNAiの両方で、通常より小さなサイズの複眼形成が観察され、BrdU標識実験で視神経産生幹細胞の減少が観察された。しかし視神経分化には顕著な異常が観察されなかった。両遺伝子のRNAiが類似の表現型を示す結果は、両者の機能的な相関を示唆した。分化後の視神経でGMR GAL4による両者のRNAi誘導は、共に複眼形成に顕著な異常を惹起しなかった。fRMPとRPB5の発現が、神経幹細胞増殖時に重要な役割を果たすが、神経分化時には必ずしも重要ではないことを示唆するこれらの結果は、RNA polymerases量の減少或いは未集合RPB5の持つ未知機能によるものと推定される。<br />研究課題/領域番号:18012018, 研究期間(年度):2006 – 2007<br />出典:「B型肝炎ウイルスX蛋白の転写修飾機能と細胞形質転換能促進」研究成果報告書 課題番号18012018(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18012018/)を加工して作成 続きを見る
8.

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高倉, 伸幸 ; Takakura, Nobuyuki
出版情報: 平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究成果報告書 = 2009 Fiscal Year Final Research Report.  2005 – 2009  pp.5p.-,  2010-05-10. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060200
概要: 大阪大学 / 金沢大学がん進展制御研究所<br />がんの組織に生じる新しい血管の形成は、がん細胞への養分や酸素の供給の導線となり、この血管形成が生じる分子機構を解明することで、その制御により新しいがん治療の開発をめざして研究を遂行した。そ の結果、がん組織の中の最も悪性度の高いがん幹細胞は腫瘍周囲の血管新生抑制剤に抵抗性を示す成熟血管近傍に存在し、この血管の成熟化に、造血幹細胞の血管壁細胞への分化転換、および血管内皮細胞に発現するTie2受容体、APJ受容体の活性化が関わることが判明した。<br />As newly developed blood vessels in tumor environment supply oxygen and nutrient to cancer cells resulted in growth of tumor, we analyzed the molecular mechanisms of blood vessel formation in cancer to develop a good strategy for inhibition of tumor angiogenesis. We found that cancer stem cells locate near the mature blood vessels in the tumor edge that show resistance against angiogenesis inhibitors. Moreover, we found that maturation of blood vessels in tumor is caused by the transdifferentiation of hematopoietic stem cells into mural cells which support stability of blood vessels and associates with activation of receptors, Tie2 and APJ expressed on endothelial cells.<br />研究課題/領域番号:17014033, 研究期間(年度):2005 – 2009 続きを見る
9.

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柴田, 進和 ; Shibata, Sinwa
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2005 Research Project Summary.  2004 – 2005  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060507
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />1.Tsix遺伝子ジーントラップES細胞を用いたXist遺伝子領域のクロマチン修飾解析:平成16年度には未分化状態特異的なアンチセンス遺伝子の転写がヒストン蛋白質の修飾変化を引き起こしセンス・パートナ ー遺伝子の制御を行っている可能性について検討し、Tsix遺伝子トラップ細胞Xist遺伝子領域のhistone H3 lysine 27残基(H3K27)のトリメチル化が顕著に増加していることを示した。平成17年度には分化誘導時のH3K27トリメチル修飾変化を検討し、Xist遺伝子座の同修飾は分化が進むとともに減少するとの結果が得られた。さらにオスTsixトラップES細胞でもメスES細胞の場合と同様にH3K27トリメチル化亢進を確認した。トリメチルH3K27とXist RNAのImmuno-FISH解析から、Tsixトラップ細胞でのH3K27トリメチル化修飾は、不活化X染色体でのXist RNA依存性H3K27メチル化とは異なる作用機序によって起きることが示唆された。以上の結果から未分化細胞特異的にH3K27のトリメチル化修飾を引き起こす活性が存在し、この活性はアンチセンス遺伝子転写によって抑制を受けることが明らかになった。細胞内で多数認められるアンチセンス遺伝子の役割や作用機序については今まで解析が進んでいなかったが、我々の結果はアンチセンス遺伝子がクロマチン構造制御により他の遺伝子発現を制御している可能性を示唆している(投稿準備中)。2.ntES細胞でのX染色体不活性化の検討:ntES細胞のゲノム初期化について検討するために、胚様体から作成したntES細胞株と親株のES細胞との間でX染色体不活性化のについて調べた。未分化状態ではXist遺伝子座クロマチン修飾の顕著な違いは認められず、分化初期X染色体でのXist RNA、トリメチルH3K27分布についても大きな差は見られなかった。<br />研究課題/領域番号:16045205, 研究期間(年度):2004-2005<br />出典:「アンチセンス転写によるXist遺伝子エピジェネティックス制御メカニズムの研究」研究成果報告書 課題番号16045205(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16045205/)を加工して作成 続きを見る
10.

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善岡, 克次 ; Yoshioka, Katsuji
出版情報: 平成18(2006)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究成果報告書概要 = 2006 Fiscal Year Final Research Report Summary.  2002 – 2006  pp.2p.-,  2010-06-08. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060547
概要: 金沢大学がん進展制御研究所<br />哺乳類MAPキナーゼ(MAPK)経路の足場タンパク質は、シグナル伝達の特異性維持およびMAPKの時空間的制御に関わる因子と考えられているが、詳細については不明な点が多い。本研究課題では、我々のグループが 同定した足場タンパク質JSAP1、およびそのファミリーメンバーJSAP2を中心に、細胞レベル・個体レベルでの解析を行った。先ず、in vitro分化系を用いたjsap1欠損マウス胚性幹細胞の解析を行い、JSAP1は心筋発生および神経発生において重要な役割を担っていることを明らかにした(JBC, 2002; BBRC, 2005)。また、JSAP1-JNKシグナル伝達系はFAK (focal adhesion kinase)と協調的に働き、細胞移動の制御に関わることを見いだした(Oncogene, 2002; JBC, 2005)。足場タンパク質JSAP1は細胞間相互作用にも関与しており、PC12h細胞では細胞接着分子N-カドヘリンを介して制御していることを見いだした(BBRC, 2007)。免疫組織化学法とin situハイブリダイゼーション法を用いて胎仔および成体マウス脳を詳細に調べ、発達過程および成体脳におけるJSAP1-JNKシグナル伝達系の重要性を強く示唆する結果を得た(JNC, 2006)。さらに、jsap1ノックアウトマウス(KO)および小脳初代培養系を用いた解析を行い、JSAP1-JNKシグナル伝達系は小脳顆粒前駆細胞の増殖プログラムを分化プログラムに変更する役割を担っていることを見いだした。一方、jsap2 KOマウスを作製・解析し、JSAP2が発生過程において重要な役割を担っていることを明らかにした。これらの成果は、難治疾病の病因解明や治療にも繋がると期待されるものである。特に、主に小児の小脳に発生する髄芽腫は、小脳顆粒前駆細胞の異常増殖に起因すると考えられているが、その異常増殖はJSAP1-JNKシグナル伝達系の破綻によることが強く示唆された。このように、本研究成果は、悪性腫瘍などの発症機序に関する分子レベルでの理解に貢献するとともに、JSAP1-JNKシグナル伝達系を標的とした薬剤開発にも応用されるであろう。<br />Scaffold proteins of the mammalian MAP kinase (MAPK) cascades are considered having critical roles in spatio-temporal regulation of MAPK pathways by organizing their signaling components into functional modules. We are particularly interested in the functions of these scaffold proteins, mainly c-Jun NH_2-terminal kinase (JNK)/stress-activated protein kinase-associated protein 1 (JSAP1); a scaffold protein that participates in JNK MAPK cascades, both in vitro and in vivo. Our findings are summarized as follows :1) We first investigated the JSAP1-null ES cells. We found that the cardiomyogenesis and neurogenesis process in JSAP1-null mutants were seriously impaired, which strongly indicated that JSAP1 plays an important role in cardiomyocyte and neural development (JBC, 2002 ; BBRC, 2005).2) We also demonstrated that JSAP1 regulates cell movement in cooperation with the focal adhesion kinase (Oncogene, 2002 ; JBC 2005).3) We further showed that JSAP1 scaffold regulates cell-cell interact ions in PC12h cells specifically in the NGF-induced signaling pathway, and does so by modulating N-cadherin (BBRC, 2007) through the knock down experiments in PC12h cells.4) We also studied JSAP1 and JNK expression in mouse brains. Our results obtained by in situ hybridization and immunohistochemical analyses strongly suggested that JSAP1-JNK signaling plays important roles in developing and adult mouse brains (JNC, 2006).5) During the development of the cerebellum, massive clonal expansion of granule cell precursors (GCPs) occurs in the outer part of the external granular layer (EGL). We have provided evidence that JSAP1 and active JNK were expressed preferentially in the post-mitotic inner EGL progenitors in the developing cerebellum. Moreover, jsapl deficiency resulted in increasing numbers of proliferating GCPs in mouse embryos. Besides, overexpression of JSAP1 in cultured GCPs led to increased numbers of NeuN-positive cells together with the activation of JNK. Together, these data strongly indicated that JSAP1 promotes the cell-cycle exit and differentiation of GCPs by modulating JNK activity in cerebellar development (in preparation).<br />研究課題/領域番号:14086205, 研究期間(年度):2002 – 2006<br />出典:「哺乳動物のストレス応答MAPキナーゼ経路における足場タンパク質の解析」研究成果報告書 課題番号14086205(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-14086205/140862052006kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作成 続きを見る