1.

論文

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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 萌芽研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2003 – 2004  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060436
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />てんかんは反復するけいれん発作を特徴とし、全人口の1%以上もが発症する、頻度の高い神経疾患である。その半数近くに遺伝的背景が想定されているが、現在までに同定された原因遺伝子は20に満たず、そのほとんど はイオンチャネルや神経伝達物質の受容体という、直接神経伝達に拘わる分子群であった。申請者らは、神経細胞特異的に発現し、シナプス小胞の形成および、シナプス小胞蛋白質のシナプス小胞への局在を制御するAP-3B複合体のサブユニットのひとつであるμ3Bの遺伝子欠損マウスの樹立・解析したところ、このマウスではシナプス小胞の構造や機能が異常になり、抑制性の神経伝達物質であるGABAの放出が傷害され、相対的に神経興奮性が増大して神経伝達が過剰になり、結果としててんかん発作を起こすこと、すなわちμ3Bの遺伝子変異がマウスにおいててんかん発作の原因となることを突き止めた。そこで本研究では、人においてもμ3Bがてんかんの原因遺伝子となっている可能性を、ゲノム遺伝子の塩基配列解析により検討した。192人のてんかん患者白血球から精製したDNAを用いて、μ3Bのゲノム塩基配列を調べた結果、ミスセンス変異およびナンセンス変異は見つからなかった。しかしながら、μ3Bゲノム遺伝子配列中に21個のSNPが発見され、そのうち18個は新規のSNPであった。21個のSNPの内、非翻訳領域に存在するものが15個(5'端は4個、3'端は11個)、イントロンの中に存在するものが6個であった。これらのSNPの機能は不明である。今後さらに解析症例数を増やして検討を続けてゆく予定である。<br />研究課題/領域番号:15650064, 研究期間(年度):2003 – 2004<br />出典:「ヒトてんかん責任遺伝子としてのμ3B遺伝子変異の検索」研究成果報告書 課題番号15650064(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15650064/)を加工して作成 続きを見る
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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成19(2007)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2007 Research Project Summary.  2003 – 2007  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060528
概要: 理化学研究所 / 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />上皮細胞特異的に発現し、側基底面細胞膜への膜蛋白質の極性輸送を担うクラスリンアダプター複合体,AP-1B複合体の個体レベルでの役割を明らかにする目的で、AP-1Bのサブユニットμ1B の遺伝子欠損マウスの解析を行った。μ1B欠損マウスは成長障害が認められ、ほとんどは3ヶ月以内に死亡した。組織学的検討の結果、腸管上皮の過形成が認められた。免疫組織染色の結果、μ1B依存的に側基底面細胞膜に局在するLDL受容体がμ1B欠損マウスでは管腔側細胞膜にも存在しており、また本来管腔側細胞膜のみに局在するsucraseやvillinが側基底面細胞膜にも局在していた。電顕による観察でも本来管腔側のみに見られる微絨毛が側基底面細胞膜に異所性に認められた。これらの結果は、AP-1Bが個体レベルでも上皮細胞における極性輸送制御に重要であることを示唆している。μ1B欠損マウスでは腸管粘膜上皮の過形成が見られたことからKi67陽性の増殖細胞の分布を調べたところ、野生型では幹細胞が存在するクリプト底部にのみ見られるのに対し、μ1B欠損マウスではクリプトから絨毛部にかけて広く分布していた。EGF受容体ファミリーのErbB2/ErbB3ヘテロ2量体はEGF増殖シグナルを伝達するが、分化した上皮細胞では、ErbB3は管腔側に、ErbB2はAP-1Bにより側基底面細胞膜に分かれて局在するため増殖シグナルは伝達されない。しかしμ1B欠損マウスにおいてはErbB2が管腔側にも局在するため異常な増殖シグナル伝達が起こることが示唆された。さらに、μ1B欠損マウスではβ-cateninの核移行も亢進していた。β-cateninは上皮細胞のクリプトー絨毛軸における移動を制御するEphB2の転写も制御することから、β-cateninの核移行亢進がμ1B欠損マウスにおける増殖細胞の異常分布に寄与している可能性が示唆された。<br />研究課題/領域番号:15079203, 研究期間(年度):2003-2007<br />出典:「輸送小胞形成・積み荷蛋白質選別の分子機構とその高次機能における役割」研究成果報告書 課題番号15079203(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15079203/)を加工して作成 続きを見る
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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成17(2005)年度 科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究成果報告書概要 = 2005 Fiscal Year Final Research Report Summary.  2003 – 2005  pp.2p.-,  2007-12-12. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00063420
概要: 金沢大学医学系研究科<br />神経細胞および上皮細胞という、高等多細胞生物に特徴的であり、かつ高次機能の一端を担う細胞群の機能を、それぞれの細胞種に限局して発現しているAP複合体を中心に、細胞および個体レベルで解析した結果以下のような成果 が得られた。1.腸管間質に発現する転写因子、Foxl1欠損マウスでは胃酸分泌障害が認められる。静止時の胃壁細胞では、プロトンポンプであるH,K-ATPaseが細胞内顆粒に留まっているが、胃酸分泌刺激時には顆粒が細胞膜と融合してH,K-ATPaseが細胞表面に移行することにより酸分泌が起こる。Foxl1欠損マウスでは野生型マウスに比較してSNAP25の発現のみが著明に減少しており、その結果として胃酸分泌障害の主な原因となっていることが示唆された。2.神経細胞特異的輸送制御因子、AP-3B複合体欠損マウスを樹立解析した結果、(1)てんかん様の可逆性けいれん発作が認められること、(2)シナプス終末およびシナプス小胞の形態および数が異常であること、(3)抑制性神経伝達物質であるGABAの放出障害が認められること、(4)GABAトランスポーターであるVGATのタンパク量が減少していること、(5)電気生理学的検討の結果、神経興奮伝達が異常に亢進していること、が明らかとなった。したがって、AP-3B欠損マウスの脳では抑制系の障害の結果神経伝達が異常亢進し、結果としててんかん発作を発症すると考えられた3.培養細胞レベルでの研究では、AP-2は細胞の生存そのものには必須ではないと考えられていた。しかし、これらの実験ではAP-2が完全に欠失しているわけではなく、細胞の生存にはこの残されたAP-2で十分という可能性がある。そこで、AP-2遺伝子欠損マウスの樹立を試みたところ、発生ごく初期に致死であることから、AP-2は細胞の生存に必須であることが明らかとなった。<br />We investigated the roles of membrane traffic, especially AP complexes, in neurons and epithelial cells. The following has bee elucidated during the term of this grant.1.Foxl1 is a transcription factor expressed in mesenchymes of gastrointestinal tract. Foxl1-KO mice suffer from hardly detectable gastric acid secretion. Upon stimulation, proton pump, H,K-ATPase, translocates from internal tubulovesicles to the plasma membrane in gastric parietal cells, which leads to gastric acid secretion. In foxl1-KO mice, however, this translocation does not occur. We found that the expression SNAP25, a SNARE involved in the fusion of tubulovesicules and the plasma membrane, was significantly reduced, which likely is a major problem involved in acid secretion insufficiency in these mice.2.We established and analyzed KO mice for AP-3B, the neuron-specific AP complex. AP-3B-KO mice suffered from epileptic seizure. Structural abnormalities of synaptic terminals and synaptic vesicles were seen in AP-3B-KO mice. Consistent with the observation, release of the inhibitory neurotransmitter, GABA, was impaired, and abnormal excitability was observed in electrophysiological examinations, in these KO mice. Taken together, these observations suggest that insufficient release of GABA causes imbalance in neuroexcitability in AP-3B-KO mice, which ultimately leads to epileptic seizure in these mice.3.Previous studies on cultured cells have suggested that the AP-2 complex, involved in endocytosis, is not essential for cell survival. However, there should still be a small, residual amount of AP-2 in these experimental conditions, which may be sufficient for cells to survive. To test this possibility, we have tried to establish AP-2-KO mice. To our surprise, no homozygous embryo has been recovered at embryonic day 3.5 or later, suggesting that AP-2 is essential for cell survival or embryonic development at very early stages.<br />研究課題/領域番号:15370042, 研究期間(年度):2003 – 2005<br />出典:「細胞種特異的アダプター(AP)複合体の細胞および個体レベルでの機能解析」研究成果報告書 課題番号15370042(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-15370042/153700422005kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作成 続きを見る
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大野, 博司 ; Ohno, Hiroshi
出版情報: 平成11(1999)年度 科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究成果報告書概要 = 1999 Fiscal Year Final Research Report Summary.  1998 – 1999  pp.2p.-,  2001-10-22. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00063939
概要: 金沢大学がん研究所<br />ゴルジ体以降の分泌系およびエンドサイトーシス経路における膜蛋白質の選別輸送には一般に、輸送される膜蛋白質の細胞質領域に存在する、特定のアミノ酸配列からなる輸送シグナルを必要とする。輸送シグナルのひとつ、チロシン シグナルは、クラスリン輸送小胞の被覆成分であるAP複合体のμ鎖と結合することにより、膜蛋白質の小胞内への選択的取り込みに寄与する。AP複合体は分子ファミリーを形成しており、また、チロシンシグナルも、エンドサイトーシスをはじめ複数の蛋白質選別輸送に関与する。したがって、それぞれのAP複合体が異なるチロシンシグナルのサブセットと結合することにより、このような輸送の多様性を生み出していると考えられた。そこでyeast2-hybrid法を用い、広範に発現する4種のμ鎖と結合するチロシンシグナルの配列を調べた。その結果、それぞれのμ鎖は異なるチロシンシグナルサブセットと高親和性に結合することが明かとなった。このことから、チロシンシグナルおよびAP複合体の多様性と結合特異性が、膜蛋白質の選別輸送を制御していると考えられる。また我々は、新たなμ鎖ホモログで既知のμ鎖のひとつμ1Aと高い相同性を持つμ1Bを単離した。μ1Bは広く発現するμ1Aと異なり、上皮細胞特異的に発現していた。上皮細胞の細胞膜はtight junctionにより先端面と側基底面に隔てられており、それぞれの細胞膜への膜蛋白質の選別輸送は厳密に制御されている。我々は遺伝子導入の実験から、μ1Bが側基底面細胞膜への膜蛋白質の選別輸送を制御していることを明らかにした。<br />Selective sorting of membrane proteins in the post-Golgi secretory and endocytic pathways are largely regulated by sorting signals encoded within the cytoplasmic tails of sorted proteins. One of the sorting signals, the tyrosine-based sorting signal, works for selective intake of the sorted molecules into the clathrin-coated vesicles (CCV), by interacting with the μ subunits of AP complexes, a coat component of the CCV. AP complexes consist a protein family, and the tyrosine-based sorting signals are known to be involved in many intracellular sorting pathways including endocytosis and basolateral sorting. This raised the possibility that each μ chain specifically recognizes a subset of the tyrosine-based sorting signals to produce specificity and diversity of the sorting. We utilized a yeast 2-hybrid assay to show this is the case.We cloned a new μ homologue, μ1B, which is highly homologous to one of the ubiquitously expressed μ chains, μ1A. In contrast to μ1A, however, the expression of μ1B is restricted to epithelial cells. Plasma membrane of epithelial cells are physically divided into two domains, apical and basolateral, and membrane proteins are sorted selectively to these two domains. By reconstituting the expression of μ1B into an epithelial cell line lacking the μ1B expression, we were able to show that μ1B is involved in the selective sorting of membrane proteins to the basolateral plasma membrane in epithelial cells.<br />研究課題/領域番号:10480155, 研究期間(年度):1998 – 1999<br />出典:「輸送小胞を介する選択的細胞内蛋白質輸送の制御機構」研究成果報告書 課題番号10480155(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-10480155/104801551999kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作成 続きを見る