1.

論文

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隅田, 育郎 ; Sumita, Ikuro
出版情報: 平成23(2011)年度 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究実績の概要 = 2011 Research Project Summary.  2010 – 2011  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060124
概要: 金沢大学理工研究域地球社会基盤学系<br />マグマだまりが熱侵食により天井(母岩)を部分溶融しながら上昇する過程および沈降する鉱物粒子の影響を調べるためのモデル実験を行った。ここでメルト・鉱物粒子はワックス・ガラスビーズを用いてモデル化し た。部分溶融した天井を構成する鉱物粒子のサイズを可変パラメータとして実験を行った。その結果、臨界サイズ0.1 mm以下では熱侵食が周期的に起きることが発見された。周期的な熱侵食は天井から沈降した粒子が十分に小さく沈降速度が遅いため、メルト層がけん濁し安定密度成層を形成するためと理解された。また画像解析により、熱侵食の速度は天井を構成する粒子サイズには依存しないことが分かった。さらに構成する粒子が異なる2つのサイズからなり、その内の少なくとも1つが臨界サイズ以下である場合、周期的な熱侵食が起き、その結果、縞状の堆積層が形成されることが分かった。そして私達の実験において周期的な熱侵食が起きる条件は無次元数、Buoyancy Number (B)を用いてB > 1と表せることを示した。同じ条件をマグマだまりに応用し、マグマだまりの上下の温度差、粒子サイズ、粘性率の関数でB>1となる条件を調べたところ、玄武岩質マグマの温度差が1℃の場合、代表的な粒子サイズが約0.6 mm以下になれば周期的な熱侵食が起こりうることを示した。マグマだまりにはしばしば層状の構造が見られるが、その成因は不明であった。私達は熱侵食によって層状の堆積構造が形成しうることを実証した。以上の主要な結果に加えて、粒子が異なる2つのサイズからなる場合については、そのサイズ・量比の組み合わせを変えた場合についても調べ、形成される堆積構造の違いを明らかにした。以上の結果は国際学会2件(招待1件)、国内学会2件(招待1件、1件は流体力学会の注目研究に選定された)で発表した。また査読つき国際雑誌に投稿し、途中経過は国内雑誌で発表した。<br />研究課題/領域番号:22109505, 研究期間(年度):2010 – 2011 続きを見る
2.

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隅田, 育郎 ; Sumita, Ikuro
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2003 – 2004  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060530
概要: 金沢大学理工研究域<br />火山の噴火様式を決定する一つの主要な要因は、マグマからの揮発性物質の脱ガス効率である。マグマは結晶を含むと、速い変形速度程、柔らかく振舞うという、非ニュートン粘性を持つが、そのような流体からの気泡の脱ガスについ ては十分に分かっていない。そこで本研究では、このような脱ガス過程を理解するために室内アナログ実験を用いた。アナログ物質としては、キサンタンガム水溶液を用いた。まず、単一気泡の上昇速度の気泡体積依存性を調べた。その結果、気泡の上昇速度は、ニュートン粘性流体に比べて強い体積依存性を持ち、また界面張力が利く体積より小さい体積では、異なる体積依存性があることが分かった。次に気泡の注入間隔を変えた時の上昇速度について調べる実験を3つの気泡サイズについて行った。このような気泡の注入間隔の依存性はニュートン流体では見られないものである。その結果、上昇速度は気泡の注入間隔が長くなるにつれて、遅くなることが分かった。さらに、上昇速度と気泡注入間隔の間には、冪乗則の関係があり、大きな気泡程、注入間隔が遅くなるのに時間がかかることが分かった。この結果は、気泡が通過した後に通り道ができて、それが時間とともになくなる過程を反映していると解釈された。最後に、以上の実験結果を踏まえて、多数の気泡を発生させた場合の実験を行った。その結果、ニュートン粘性流体では気泡サイズにばらつきがあり、それが合体することにより間欠的に気泡が抜けていくことが分かった。また、気泡が下降流に伴って下方に運ばれる現象も見られた。一方、非ニュートン流体については、気泡が2,3の通り道を作り、そこを選択的に通って抜ける現象が見られ、下降流は生じなかった。気泡の上昇速度は、単一気泡が上昇する時に比べ数倍速く、気泡が抜ける通り道が出来ていることと整合的であった。マグマが結晶を含むと粘性が上がり、脱ガスが困難になると考えられているが、一方で本実験が示すように、通路を作る可能性もあり、その場合は脱ガスが効率的になることが示唆される。<br />研究課題/領域番号:15038209, 研究期間(年度):2003-2004<br />出典:「室内実験によるマグマ溜りのダイナミクスと地震波観測の対応」研究成果報告書 課題番号15038209(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15038209/)を加工して作成 続きを見る
3.

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奥野, 正幸 ; Okuno, Masayuki
出版情報: 平成12(2000)年度 科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究成果報告書 = 2000 Fiscal Year Final Research Report.  1998-2000  pp.18p.-,  2001-03-01.  金沢大学理学部
URL: http://hdl.handle.net/2297/47341
概要: 本研究は鉱物結晶の融解および結晶化の現象を融液の側からその構造・組織ならびに組成の変化に注目し明らかにしたものである。主として、次のような研究を行った。 (1)ガラス構造の解析 まず、マグマの主成分であるAl_2O_3-SiO_2系のガラス を作成し、その構造を明らかにした。その結果、殆どのAl原子は4配位をとり、わずかに6配位のものが存在することが明らかになった。この結果は、モンテカルロ法によるシミュレーション計算結果ともよい一致を示した。また、斜長石組成(NaAlSi_3O_8-CaAl_2Si_2O_8)のガラスの構造を詳細に調べた。その結果、Ca,Alの増加に伴って、密度上昇とモル体積の減少がみられそれらは、ガラス構造中のT-O-T角(T=Si,Al)の減少に対応すること分かった。 (2)珪酸塩融液からの結晶相の晶出の関する研究 まず、ブラウン管ガラス中に生じたSbに富む数ミクロンの結晶相を調べ、それがromeiteであることを明らかにした。また、romeiteを含む微小なよりSbに冨むガラス相の構造を解析することによりSbがガラスのネットワーク構造の擾乱を引き起していることが明らかになった。このネットワーク構造の乱れが、romeite結晶の晶出に関係していると推測された。また、融液と微小結晶が共存していたと考えられる天然の火山ガラス(黒曜石)の構造を解析した。分析の結果、火山ガラスは熔融ガラスと異なるサブミクロン・スケール構造を持っていることが明らかになった。これは、火山ガラスに含まれる、微小なクリスタライトに関係すると考えられる。続いて、2成分系の結晶化の数値実験を行い、それを火成岩の組織の生成過程に応用した。火山岩と深成岩の組織の小異は2桁に及ぶ冷却速度の違いが原因であることを明らかにした。 (3)上記の結果および関連研究の結果をまとめ、学術雑誌ならびに学会に発表・公表した。<br />Principle results on the study on magma crystallization and mineral melting processes were followed.a) Structural studies of glassesFirstly, The glass structures of Al_2O_3-SiO_2 system that is one of the principle components of magma were analyzed. Many Al atoms in these glasses have tetrahedra and the number of octahedral Al may be small. This result is consistent with the model structure derived from Monte Carlo Simulation. The structures of feldspar (NaAlSi_3O_8-CaAl_2Si_2O_8) glasses were also analyzed. From the observations, it was evident that the density increase and molar volume decrease with increases of Ca and Al atoms could be explained by decrease of T-O-T angle (T=Si, AL) in the glass structure.b) Study on crystallization of silicate meltSb rich μ size crystals in cathode ray tube glass were investigated by X-ray diffraction and Raman spectra measurements and revealed that this crystal had romeite type structure. The structure Sb rich glass phase surrounding romeite crystal was also analyzed. It was evident that the network structure of this glass was rather distorted and this distortion may relate to crystallization of romeite. The structure of natural volcanic glass (onsidian) which had liquid and small crystalline phases was also analyzed. Obtained results show that this obsidian has sub-μ size phase which is not included normal liquid phase. This phase may be related in crystallite phase in obsidian. Numerical experiments on crystallization for binary silicate system were adopted for study on formation process of textures of volcanic rocks. The texture differences between volcanic and plutonic rocks may be caused by their different cooling rate.c) These results were discussed by all project members and we prepared some scientific papers.<br />研究課題/領域番号:10440153, 研究期間(年度):1998–2000<br />出典:「マグマの結晶化と鉱物の融解過程の構造化学的研究」研究成果報告書 課題番号10440153(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
4.

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奥野, 正幸
出版情報: 平成10(1998)年度 科学研究費補助金 国際学術研究 研究成果報告書 = 1998 Fiscal Year Final Research Report.  1997-1998  pp.10p.-,  1999-03-01.  金沢大学理学部
URL: http://hdl.handle.net/2297/47342
概要: 本研究では、マグマの高温・高圧力下での原子レベルの構造とその物性を明らかにすることを目的とし、斜長石ガラスや火山ガラスについて、圧力・温度による構造変化などについて、以下のような研究を行った。 1、 まず、Si0_2組成ガラスを衝撃圧縮し、 その構造変化をX線回折法、ラマン分光法により調べ、約25GPaの圧力まで高密度化し、それ以上の圧力では残留温度による密度低下が起きることを明らかにした。 2、 斜長石(NaAlSi_3O_8-CaAl_2Si_2O_8)組成のガラスを高圧力プレスを用いて、500℃で4GPa,7.7GPaの条件で圧縮した.これらのガラスの構造をラマン分光測定によって調べた。斜長石ガラスは高温高圧力下でまず、SiO_4及びAlO_4四面体のリング構造が小さくなり、続いてAl原子の配位数が4から6に変化することにより密度が増加することが明らかになった。また、CaAl_2Si_2O_8組成ガラスについては衝撃実験も行い、その密度増加がSiO_2ガラスに比べ小さく、SiO_4及びAlO_4四面体の3員環のみが関与しているととが明らかになった。これらの結果はAlを含むマグマでは、その高圧力下での挙動が含まないものと異なることを示し本研究において重要な意味をもつ。 3、 さらに、火山ガラス(Obsidian)についても、プレス及び衝撃圧縮による高圧実験を行い、X線回折法とラマン分光法による解析を行った。さらに、高温での構造変化をラマン分光法で調べた。その結果、火山ガラスはガラス構造を持つ部分と結晶類似のクリスタライトからなり、加熱や衝撃圧縮によって、ガラス構造を持つ部分が増大することが明らかになった。 4、 日本側担当者(奥野・木原)とフランス側の代表者(Reynard)が相互に訪問し、ともに研究成果についての討論を行い、研究を学術論文にまとめた。<br />Principle results on the structures of feldspar and volcanic glasses for analyzing structures and physical properties of magmas under high temperature and pressure conditions were followed.a) The shock-wave densification of SiO2 glass was analyzed by X-ray diffraction and Raman spectroscopy. SiO2 glass was densified up to 25GPa and the density decreased upper pressure by high residual temperature.b) Feldspar (NaAlSi_3O_8 CaAl_2Si_2O8) glasses were compressed under 500^OC/4GPa and 7.7GPa by cubic press apparatus. The structures of these glasses were analyzed by Raman spectroscopy. From these observations, it was evident that the structure of plagioclase glass has smaller ring structure of TO_4 tetrahedra and the coordination numbers of Al atoms change from 4 to 6 under high temperature and high pressure conditions. Shock experiment for CaAl_2Si_2O_8 glass was also performed to reveal the density increase was smaller than that of SiO2 glass and this density increase was based on the increase of three membered rings of TO_4 tetrahedra. The annealing process of shock-wave denshified CaAl_2Si_2O_8 glass was also investigated by in-situ Raman spectroscopy. These results are very important to understand Al bearing magma.c) The structures of densified volcanic glasses obtained by shock and static compressions were investigated by Xray diffraction and Raman spectroscopy techniques. The densification of volcanic glass (about 9%) by 500^OC/7.7GPa static compression may be due to change from 6 and 5 membered ring of TO_4 tetrahedra dominant structure to 4 and 3 meinbered ring dominant structure. On the other hand, crystallites in the obsidian vitrified by shock-wave compression and the density did not increase but decrease at higher shock pressure(25 and 35GPa).d) These results were discussed in Japan and France by all project members and we prepared some scientific papers.<br />研究課題/領域番号:09044069, 研究期間(年度):1997–1998<br />出典:「マグマの構造と物性」研究成果報告書 課題番号09044069 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
5.

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田村, 芳彦 ; Tamura, Yoshihiko
出版情報: 平成11(1999)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1999 Research Project Summary.  1998 – 1999  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060822
概要: 金沢大学理工研究域<br />カンラン石玄武岩は一見単純な岩石である。斑晶(大きな結晶)としてカンラン石しか含んでいない.しかし,南西インド洋海嶺の玄武岩はドレッジされたもので当然その産状は不明である.よって日本のような島弧の同じような岩石 (鳥取県大山のカンラン石玄武岩)を徹底的に調査し,南西インド洋海嶺のカンラン石玄武岩と比較するするという戦略をとった.その結果二つの成果が挙げられた.1. 大山のカンラン石玄武岩溶岩は全岩組成ではどれも似通っている.しかし,カンラン石斑晶の形態,組成,マグマとカンラン石の平衡関係を調べると,溶岩は二種類に分けられることが判明した.ひとつはマグマとカンラン石が平衡を保ちながら分化したもので,その溶岩からマントル共存した初生マグマの組成を正確に求めることができる.もう一種の溶岩はマグマとカンラン石が非平衡な(カンラン石が鉄に富んでいる)ものであり,そのような溶岩中のカンラン石は特徴的な骸晶状を呈する.このマグマは地下において過冷却を経験したものであると結論された.この成果はJoumal of Petrologyに掲載された.2. 大山火山のカンラン石玄武岩において二種の溶岩流が識別されたことから同じ手法を南西インド洋海嶺に適用した.その結果,全く予想外の事実が判明した.南西インド洋海嶺の210kmにおよぶ海域からドレッジされたカンラン石玄武岩および斑晶のカンラン石は非常に均質な組成を持つ.特に驚くべきことはカンラン石の組成の一様性である.大山では一つの溶岩でもMg値が10程度変化するのに対してこの海域のカンラン石は全部合わせても2から3程度である.また,Mg値に関してマグマとカンラン石は平衡であるが,Ni量に関しては系統的に非平衡(カンラン石のNiOが低い)ことが判明した.これらのことから南西インド洋海嶺のカンラン石はマグマから晶出したものではなくゼノクリスト(捕獲結晶)であると結論された.この成果は投稿準備中である.<br />研究課題/領域番号:10740250, 研究期間(年度):1998 – 1999<br />出典:「超低速拡大海嶺のマグマの成因:南西インド洋海嶺のカンラン石玄武岩の初生マグマ」研究成果報告書 課題番号10740250(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10740250/)を加工して作成 続きを見る