1.

論文

論文
金子, 敏行
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.706-716,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9245
概要: 金沢大学 医 眼科<br />1)特発性黄斑円孔の15例16眼のうち,初回手術にフィブリン糊を使用した11眼中6眼において,再手術に使用した5眼全てで円孔の閉鎖が得られた. 2)9眼のERGで術後6ヵ月ではO1頂点潜時の平均値のみが術前に比 べ有意に延長していた. 3)強度近視に伴う黄斑円孔網膜剥離の20例20眼にフィブリン糊を用いた硝子体切除術を行い,13眼で初回手術で,網膜復位を得た.再剥離7眼中2眼ではフィブリン糊を使用した硝子体手術による再手術で網膜復位を得た. 4)前部増殖性硝子体網膜症を併発した裂孔原性網膜剥離に対して大きな網膜切開とフィブリン糊を使用した硝子体手術を行い,網膜復位を得た. 5)硝子体切除術により復位を得られなかった朝顔症候群に合併した網膜剥離に対し乳頭部陥凹内の白色組織を除去し,乳頭部陥凹内へフィブリン糊を滴下して網膜復位を得た. 6)全ての症例で新生血管,出血などの異常所見はみられなかった 続きを見る
2.

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二上, 文夫
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.717-724,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9246
概要: 金沢大学 医 第2外科<br />分化度の異なる5種類のヒト膵癌培養細胞を用いて検討した. 1)mRNAレベル及び蛋白レベルにおいて,u-PAは分化度とは関係なく全種類に発現が認められたのに対し,膵トリプシノーゲンは分化型であるCapan- 1,BxPC-3及びAsPC-1の3種類にのみ発現がみられた. 2)ヌードマウスの脾内移植法による肝転移発生率はCapan-1では56%,BxPC-3では50%,AsPC-1では89%と,分化型の癌で高率であったのに対し,Panc-1ならびにMIAPaCa-2の分化度の低い癌では転移が全くみられなかった.即ち,膵癌細胞の肝転移発生率は分化度ならびに膵トリプシノーゲンの発現とよく相関した. 3)インベージョンアッセイにおけるCapan-1細胞の浸潤細胞数はFOY-305により0.1μM以上で濃度依存性に減少した. 4)Capan-1細胞の脾内移植法による肝転移発生率は,FOY-305非投与群の62%に対し投与群では14%と,FOY-305投与により有意に低下した 続きを見る
3.

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松田, 英三
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.736-744,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9248
概要: 金沢大学 医 整形外科<br />1)HT-1080から,4つの,種々のPAI-1活性を持ったクローンを分離した.各クローンのPAI-1の発現とTFの発現との間に正の関連が見られた. 2)ヌードマウスの尾静脈へ腫瘍細胞を接種後の肺転移能は各 クローン間において有意差を認めた.そして肺転移能はPAI-1活性及びTF活性と強く相関していた. 3)各クローン細胞の有する接着能及び浸潤能と肺転移能の間には相関関係はなかった. 4)殆どの腫瘍細胞が,静注後数分で肺内へと移行した.高転移能を持つクローン26-6は,低転移能を持つクローン1-3Cに比べより長い時間,肺内に停留した. 5)各クローン細胞間に認められる転移能の差は血管内皮細胞に接着後,基底膜に浸潤するまでの間,着床部位に停留し続ける能力によることがわかった. 6)PAI-1活性と凝固活性の両因子共にこの細胞系の肺転移形成能を決定する因子になることが明らかになった 続きを見る
4.

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八尾, 直志
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.745-754,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9249
概要: 金沢大学 医 第2外科<br />ヒト大網と高度腹膜転移を起こす,ヒト胃低分化腺癌細胞株を用いた. 1)癌細胞と共に培養された大網の中皮は,時間の経過と共に半球状に収縮し,互いに離れ,脱落し,次第に中皮細胞下の基底膜が露出するようになった. 癌細胞は中皮細胞上ではなく,選択的に露出した基底膜上に,長い義足様の突起を出して接着していた 2)腹腔内継代前の癌細胞に比べて,高度腹膜転移株では有意に多く大網に接着し,抗インテグリン・サブユニットβ1抗体により,癌細胞の大網への接着は有意に阻害された. 3)腹腔内で継代する前に比較して4代,12代と継代が進むにしたがい,インテグリン・サブユニットα2,α3のの発現量が増加した.腹膜播種の最初の段階で最も重要な役割を有するVLA-2,VLA-3を発現する癌細胞が,腹腔内継代により選択され,より強い腹膜播種能を有する高度腹膜転移株となると推察された 続きを見る
5.

論文

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蒋, 正言
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.755-765,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9250
概要: 金沢大学 医 神経精神医<br />初老期アルツハイマー型痴呆(AD)と診断された9例の安静時及び光刺激中脳波を高速フーリエ変換法によりパワースペクトル解析し,定量分析と大脳半球間コヒーレンスについて年齢・性をマッチさせた正常対照群9例と比 較し検討した.AD患者が安静時脳波に加えて光刺激中脳波においても異常を示すことが明らかとなり,ADにおける視覚系の機能障害を反映する所見と考えられた.また今回のAD患者の多くは軽度痴呆であったことより,これらの脳波異常が発症早期の段階から出現する可能性が示唆された 続きを見る
6.

論文

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瀬川, 知香子
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.766-775,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9251
概要: 金沢大学 医 第1内科<br />1)P-セレクチンは正常コントロール群の糸球体には認められず,間質の細静脈の一部に発現を認めた.尿中可溶性P-セレクチンは全例で測定感度以下であった. 2)増殖性糸球体腎炎例では,糸球体及び間質におけるP- セレクチン発現の増強が認められ,血清可溶性P-セレクチン値も有意な高値を示した. 3)糸球体内P-セレクチン発現は滲出性病変,メサンギウム増殖ならびに管内性病変と正の相関を示し,とくに管内性病変との間に強い相関を示した.一方,間質内P-セレクチン発現も間質病変との間に弱い相関を示した. 4)血清可溶性P-セレクチン値は,P-セレクチン発現陽性群では陰性群に比して高い傾向が認められ,糸球体の管内性病変ならびに滲出性病変と正の相関を示した. 5)P-セレクチンmRNAの発現は間質の毛細血管及び細静脈内皮細胞に認められ糸球体では陰性であった.糸球体内P-セレクチン発現に一致して活性化血小板由来のCD41b発現が認められた 続きを見る
7.

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和田, 泰三
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.776-787,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9252
概要: 金沢大学 医 小児科<br />1)家系1-症例1(8ヵ月女児),2(2歳9ヵ月男児,症例1の兄)では母由来の変異対立遺伝子において点突然変異があり,このため変異対立遺伝子由来のmRNAではエキソン7と8の間にGCAGの4塩基の挿入が認めら れた.変異由来のFasレセプターは細胞内部分がなく異常な3量体を形成するため,ドミナントネガティブ効果により細胞死に至るシグナルが伝達されないと考えた. 2)家系2-症例3(1歳女児)ではイントロン3に点突然変異があるためエキソン4のスキップが認められた.両親がいとこ婚で変異対立遺伝子のホモ接合体となっていたためFasレセプターそのものの発現が全く欠如し細胞死に至るシグナルが伝達されないと考えた. 5)患児ではT細胞のFas誘導性アポトーシスが欠如しているほかAICDも減弱しているため,自己反応性T細胞が排除されず,自己寛容が破綻し様々な自己免疫状態が生じているものと考えた 続きを見る
8.

論文

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作田, 和茂
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.788-795,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9253
概要: 金沢大学 医 脳神経外科<br />1)脈絡叢,くも膜組織,及び髄膜腫の全例において,PGDSのmRNAと蛋白の発現がみられた. 2)脈絡叢では上皮に分泌顆粒様にPGDSの発現がみられ,くも膜ではくも膜上皮(barrier cell lay er)に発現がみられた.したがって,これらの組織から脳脊髄液中にPGDSが産生分泌されていることが推定された. 3)髄膜腫では合胞体型と移行型ではPGDSの強い発現が認められたが,線維型ではその発現は少なかった. 4)髄膜腫では,特に合胞体型と移行型において,渦状紋と砂粒体の周囲の腫瘍細胞にPGDSの発現が強く,砂粒体の形成におけるPGDSの関与が推定された 続きを見る
9.

論文

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小林, 忠博
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.796-806,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9254
概要: 金沢大学 医 泌尿器科<br />1)ヒト前立腺癌培養株PC-3細胞を孵卵10日目の鶏卵漿尿膜上の血管内に移植した鶏卵胎児肝と大腿骨で経時的に増幅DNA断片の増強が認められた. 2)組織学的には,肝で腫瘍細胞の同定は容易であり,経時的に腫瘍 細胞が浸潤,増殖する像が観察された.一方,大腿骨においては形態学的に腫瘍細胞の同定は困難であったが,抗ヒトサイトケラチン抗体及び抗ヒトKi-67抗原抗体を用いた免疫組織化学染色により,微小転移巣の存在が移植後7日目に初めて確認された. 3)PC-3細胞移植後1日目にスラミンを50μg/卵投与した場合,肝及び骨転移形成に対する抑制効果は認められなかった.移植後3日目にスラミンを500μg/卵投与した場合の肝及び骨の転移巣に対する増殖抑制率はそれぞれ60.6及び6.7%であり,スラミンの抗腫瘍効果は被転移臓器における環境要因によって影響されることが示唆された 続きを見る
10.

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山田, 素宏
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.807-818,  1996-12-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9255
概要: 金沢大学 医 第1内科<br />1)安静時収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数,下腿血流量,下腿血管抵抗,筋交感神経活動は家族歴のある群とない群との間で有意差はなかった. 2)空腹時血糖,空腹時血漿インスリン濃度には両群間で差はなかったが,家族 歴のある群ではクランプ時のM値は有意な低下がみられ,インスリン抵抗性を示した. 3)クランプにて両群とも心拍数の増加がみられたが,収縮期血圧と拡張期血圧は両群とも増加しなかった. 4)クランプにて両群とも下腿血流量の増加と下腿血管抵抗の低下がみられたが,下腿血管抵抗の減少の程度は家族歴のある群でない群より有意に低下していた. 5)クランプにて両群とも筋交感神経活動の亢進がみられたが,筋交感神経活動の増加率は家族歴のある群がない群より有意に大であった.以上より高血圧の家族歴を有する若年健常者では家族歴のない若年健常者に比べ,インスリンの交感神経作用は亢進し,インスリンによる血管拡張作用は障害された 続きを見る