1.

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油野, 岳夫 ; Yuno, Takeo
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060590
概要: 金沢大学附属病院<br />【研究目的】臨地実習での学生から検査室に対する実習内容等の評価は、実習後のレポートや自由回答アンケートのみである。それらは内容が文章であり、概要が把握しづらく、検査室は実習での良い点・改善点を明確に認識できない現 状がある。そこで有用と考えられる手法としてテキストマイニングがある。テキストマイニングは、文書から単語を抽出し、出現頻度や共出現の傾向等の解析を通して有用な情報を見出す手法である。本研究では、テキストマイニングを用い、学生からの臨地実習における検査室の評価を解析し、自施設の良い点、改善点の明確化を行った。【方法】2016年度臨地実習生より当院に提出された実習後アンケート(有効回答数31)での自由記載欄(良かった・有意義だった点)をテキストマイニングソフトにて分析した。分析手順は、形態素分解を行い頻出単語のリスト化、同義語・複数語・除外語の抽出といった事前処理を行った。事前処理後、再度形態素分析を行い抽出語の頻度分析、共起ネットワーク分析及び多次元尺度構成法(MDS)にて抽出語同士の関連性を解析した。【結果】良い点として、微生物検査室における患者検体を用いた細菌同定等、患者のデータを用いた生理機能検査の症例問題、検体検査室での講義や就職に関する話、病理部における剖検の見学等が推察された。この結果より、講義では得られない病院でしか出来ない経験や知識が学生に支持されていると考えられた。一方、改善点として自習時間や待機時間が多い点、忙しい部門と余裕がある部門の差が大きい点、実習や学生に関する技師同士の会話が気になる点であると推察された。これらを踏まえ、自習時には患者データを基にしたR-CPC等の問題を出題すること、手術部見学など病院でしか得られない経験を増やすことなどで学生の実習における満足度を上げるには有効であると考えられた。以上、本検討よりテキストマイニングにより当院での実習における、「良い点・改善点」が明確化された。<br />研究課題/領域番号:17H00669, 研究期間(年度):2017 続きを見る
2.

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前河, 晶子 ; Maekawa, Akiko
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060591
概要: 金沢大学附属病院<br />【目的】JAK2V617F変異は骨髄増殖性疾患(MPN)である真性多血症(PV)のほぼ全例、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(PMF)の約半数に変異を有すると報告されており、MPNの診断において重要 な要素となっている。また、JAK2V617F変異の無いETやPMF患者の5-10%にはMPL変異が、それらの変異を持たないET、PMFにおいてcalreticulin(CALR)変異が認められる。WHO分類2016年改訂版では、MPNの診断基準にこれら遺伝子変異の検出が加えられた。当院では、全自動遺伝子変異検出装置を用いたQ-Probe(QP)法、及びmu-tation biased PCR(MBP-QP)法によるJAK2V617F変異測定の検討を行い、MBP-QP法の有用性を確認した。今回、迅速で高感度に検出が可能であるMBP-QP法によるJAK2V617F変異の検出と、CALR変異(typel/type2)の同時検出法について、有用性を検討した。【対象および方法】2015年10月から2018年3月までに当院においてJAK2V617F変異の検査を行った90例のうち、臨床所見からMPNの疑いが高くJAK2V617F変異が検出無しであった18例について、QP法によるJAK2V617F変異・CALR変異同時検出とdirect sequence法によるCALR検出を行った。CALR変異またはJAK2V617F変異のみられた6例について今回新たに作成したプライマープローブによるMBP-QP法による検出を試みた。【結果】精製核酸を用いたQP法により、5例においてCALR1型の変異が、1例においてCALR2型の変異が検出された。いずれの症例も、全血を用いたMBP-QP法において同様の検出が可能であった。また、QP法でJAK2V617F変異の検出が無かった1例においてMBP-QP法では検出が確認された。【考察】全自動解析装置を用いたMBP-QP法によるJAK2V617FとCALR変異の同時検出法は、簡便に短時間で高感度な測定が可能であり、骨髄増殖性疾患の診断のため有用な検査法であると考えられた。<br />研究課題/領域番号:17H00664, 研究期間(年度):2017 続きを見る
3.

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内海, 真紀 ; Utsumi, Maki
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060592
概要: 金沢大学附属病院<br />【目的】ABO血液型主不適合の造血幹細胞移植では、患者の赤血球造血の回復が遅延する場合があるが、詳細なメカニズムはまだ解明されていない。一方、患者由来とドナー由来の細胞の混合比率を検出するキメリズム解析は、ドナー 細胞の生着確認のために極めて有用な検査であるが、DNAが存在しない赤血球の生着評価は困難であった。そこで、有核細胞である未熟な赤血球前駆細胞を用いたキメリズム解析法を確立し、その方法を用いて、移植後の赤血球系造血不全の原因が、赤血球の産生抑制にあるのか、あるいは、産生はされているがドナー型赤血球に対する赤血球凝集素による破壊にあるのかを明らかにすることを目指した。【方法】まずは単核球から脱核前の未熟な赤血球前駆細胞を培養する条件を検討した。次に、STR-PCR法による白血球系細胞のキメリズム解析と同様に、赤血球前駆細胞も解析可能かどうか検討した後、移植後患者検体から赤血球前駆細胞を培養しキメリズム解析を行った。【成果】メチルセルロース培地lmLに対し、6~8×10^5個の単核球を添加した場合、2週間5%CO_2インキュベーターで培養後に1培養皿あたり5個程度のBFU-Eコロニーが得られ、これらから1μg以上のDNAを回収できた。STR部位に対する蛍光標識プライマーを用いてPCRを行い、キャピラリー電気泳動法でフラグメント解析を行った結果、白血球系細胞のキメリズム解析と同様に解析可能であり、赤血球系細胞のキメリズム解析法を確立できた。ABO一致同種骨髄移植後8年経過し造血は回復している患者のキメリズム解析を行った。T細胞は混合キメラが遷延している症例であったが、赤血球系細胞は完全ドナー型であることが明らかとなった。造血不全症例のキメリズム解析はできなかったため、今後、症例数を増やして検討する必要がある。<br />研究課題/領域番号:17H00650, 研究期間(年度):2017 続きを見る
4.

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坂井, 優喜子 ; Sakai, Yukiko
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060593
概要: 金沢大学附属病院<br />1. 研究目的微生物検査では、質量分析装置の導入により菌種の迅速な同定が可能となった。しかし、薬剤感受性試験には時間を要するのが現状である。全自動遺伝子解析装置GENE CUBE(東洋紡)は簡便・迅速(約1時間) に目的遺伝子を検出する。PCRで目的遺伝子の標的領域を増幅後、蛍光標識プローブであるQProbeを使用した融解曲線解析にて遺伝子の検出を行う。そこで本研究では、GENE CUBEを用いて血液培養陽性ボトルおよび菌株より迅速に耐性菌を検出することを目的とした。2. 研究方法と成果(1) 血液培養陽性ボトルからのMRSA検出MRSAが検出された血液培養ボトル24件を対象とした。ボトル内容物を材料としてGENE CUBEにてMRSAの検出を行った。対象24件はGENE CUBEにてMRSA 8件、MSSA 9件、MR-CNS 5件、MS-CNS 2件となり、従来法の結果と一致した。さらに詳細に検討するため菌株数を増やして検討中である。(2) 菌株からのESBL遺伝子検出当院にて保管されていたESBL陽性30株、陰性7株を対象とした。クラブラン酸(CVA)、PCR、GENE CUBEを用いてESBL遺伝子の検出を行った。PCRとGENE CUBEではESBLの型別を行った。GENE CUBEを用いたESBL遺伝子の検出は陽性30株、陰性7株で、PCR、CVAを用いた方法と一致した。GENE CUBEによるESBLの型別はPCRの結果と一致し、同時に保有する耐性遺伝子に影響されなかった。以上より、GENE CUBEは良好・迅速にESBLを検出することが示された。早期の感染症治療および感染対策において有用と考えられた。MRSAに関しては株数を増やして検討中である。<br />研究課題/領域番号:17H00635, 研究期間(年度):2017 続きを見る
5.

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堀江, 翔 ; Horie, Sho
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060594
概要: 金沢大学附属病院<br />書字能力の定量的な評価について, 我々は過去の報告において筆圧, 上肢の荷重量を中心とした多面的な評価を報告してきた. しかし実験装置のままではサイズや解析時間の点で, 臨床で使用することは困難であった. この度 , タブレットPCにてなぞり動作を行い筆圧, スピード, 課題からのズレ面積などが計測可能で, かつ即座に被験者へのフィードバックが可能な機器TraceCoderTM((株)システムネットワーク)が開発された. 今回の目的は, TraceCoderを用いて過去の実験と同様の課題を実施し結果を比較することでTraceCoderの臨床応用を検討することである.【研究方法】対象は本研究に同意を得た右利きの健常大学生10名. 測定課題は円と三角の2種類の線画(大きさ約2.5cm)として, 見本に沿ってなぞり書きを行った. また図形を6区画に分け, 1区画毎にメトロノームに合わせてなぞり書きを行い, 被験者間の筆速をそろえた. 測定パターンとして書字に対する指示を変更して計測し(1)筆圧 : 「強い」・「弱い」(2秒1区画)(2)筆速 : 「速い」(1秒1区画)・「丁寧」(3秒1区画)の2課題4パターンを実施した. 測定項目は(1)筆圧(2)正確性 : 課題図形の線からずれた部分の面積(ズレ面積)とした.【結果と考察】平均筆圧は「強い」4.36N, 「弱い」1.18N, 「速い」2.88N, 「丁寧」2.81Nであった. ズレ面積は「強い」0.31c㎡, 「弱い」0.27c㎡, 「速い」0.35c㎡, 「丁寧」0.23c㎡であった. 筆圧は先行研究と同様の値を示したが, ズレ面積は先行研究の値(0.02~0.08c㎡)よりやや大きな値であったが, 速い・丁寧間で有意差ありと課題別の比較では同様の傾向を認めた. TraceCoderの測定値は先行研究と概ね同等と考えられ, 過去のデータと関連させた臨床応用の可能性が示唆された.<br />研究課題/領域番号:17H00628, 研究期間(年度):2017 続きを見る
6.

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市川, 芳枝 ; Ichikawa, Yoshie
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060595
概要: 金沢大学医薬保健研究域医学系<br />大脳皮質の形成機構および異常疾患病態の解明は脳神経医学の重要課題である。本研究課題では高等哺乳動物フェレットを突破口として、マウスでは解析が困難だった大脳皮質表面のシワ(脳回)の形成過程および異常疾患 の病態解明を行った。ヒトなどの高等哺乳動物の大脳皮質の表面には脳回が存在し、脳機能の発達に重要であると考えられている。脳回形成異常疾患には脳回が減少する滑脳症や異常な脳回が多く形成される多小脳回症などがあるが、マウス脳には脳回がなくマウスでの解析が困難であることから病態の解明は遅れている。申請者の研究室では、脳回を持つ高等哺乳動物フェレットに着目し、独自にフェレット脳での遺伝子操作技術を確立してきた。さらにこの技術を用いて多小脳回症フェレットの作成に世界に先駆けて成功してきた。そこで本研究課題では、脳回形成の分子機構を解析し、線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナルが脳回形成に重要であることを見いだした。FGFシグナルを遮断すると脳回形成が障害され、滑脳症モデルフェレットを作ることができた。さらにFGFシグナルを遮断すると、oRG神経前駆細胞の増殖が著しく低下することを見いだした。本研究課題の成果は、従来解析が困難だった多様な脳回形成異常疾患の病態解明や治療法開発に繋がることが期待される。<br />研究課題/領域番号:17H00620, 研究期間(年度):2017 続きを見る
7.

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小島, 礼慎 ; Kojima, Hironori
出版情報: 平成29(2017)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2017 Research Project Summary.  2017  pp.1p.-,  2018-12-20. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060596
概要: 金沢大学附属病院<br />【研究目的】近年, 高リスク前立腺癌に対する125-I Brachytherapy(SEED)併用強度変調放射線治療(IMRT)の有効性が報告されている. IMRTの最適な線量制約を定義するためには, 「SEED 線量とIMRT線量の合算線量」と「正常組織の有害事象および治療成績」との相関を検討する必要がある. しかし, 治療体位の違いや臓器位置の違いによる線量合算の正確性および精度低下の問題が指摘されている. 本研究では, 画像処理技術である非剛体レジストレーション(DIR)を使用した線量合算を実施し, その精度向上を検証すると共に, 有害事象の評価結果とDIRによる合算線量との相関性の検討により, 当該治療法におけるIMRTの最適な線量制約を導出することを目的とした.【研究方法】当該治療法が施行された15症例を対象とした. DIRによる線量合算の精度評価として, SEED輪郭のDice Similarity Coefficient(DSC)を算出した. さらに, DIRによる線量合算と従来法である剛体レジストレーション(RIR)による線量合算との精度を比較した. また, 有害事象の評価結果とDIRによる合算線量との相関性を検討するため, 国際前立腺症状スコア(I-PSS)を取得し, このI-PSSと合算線量の相関の有無を検討した.【研究成果】SEED輪郭における平均DSCは, 骨照合によるRIRで0.17±0.25, DIRで0.55±0.20であった. DIRによる画像変形がRIRと比べて有意に高精度であり, 線量合算に最適であることを実証できた. しかし, DIRを使用した合算線量とI-PSSには統計学的に有意な相関は得られず, IMRTの最適線量制約の定義には至らなかった. 今後も症例数の増加や他の有害事象との相関の検討を継続的に進め, この成果を当該治療法の精度向上および有害事象の軽減に繋げたいと考える.<br />研究課題/領域番号:17H00601, 研究期間(年度):2017 続きを見る
8.

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松本, 多圭夫 ; Matsumoto, Takeo
出版情報: 平成28(2016)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2016 Research Project Summary.  2016  pp.1p.-,  2021-04-25. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060640
概要: 金沢大学附属病院<br />【研究目的】近年、末梢血中腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells ; CTC)は様々な固形癌における予後マーカーとして重要視されている。現在、上皮マーカー依存的検出法が最も広く使用されているが、 腫瘍細胞が血管内へ浸潤する際に上皮間葉転換を起こすことにより、上皮マーカーの発現が減少するという報告も散見される。そこで我々は、癌細胞の不死化に必要とされるテロメラーゼに着目し、テロメラーゼ活性化細胞でのみ増殖能をもつGFP発現制限増殖型アデノウィルスを用いた新たな検出法を確立した(Takakura M et al. Br J Cancer. 107 : 448-54, 2012)。本研究では検出されたCTCを回収し、CTCの遺伝子解析を行うと同時に、上皮マーカーの発現についても検討した。【研究方法】インフォームド・コンセントのもとに得られた婦人科癌患者の末梢血5mlを溶血処理し、GFP発現制限増殖型アデノウィルスを感染させた。サイトケラチン(CK)等による免疫染色を追加し、GFP陽性細胞を蛍光顕微鏡下に回収した。検出したCTCが腫瘍由来であることを確認するため、子宮頸癌ではHPV DNAを、子宮体癌や卵巣癌ではp53、KRAS、PTEN等の変異を有する可能性が高い遺伝子をターゲットとし、解析した。まず原発病変の凍結標本からDNA抽出し、目的領域をPCR増幅後、direct sequencingにて遺伝子変異を特定した。ついでCTCのゲノムDNAをWhole genome amplification法にて増幅し、同じ遺伝子変異が存在することを確認した。【研究成果】婦人科癌症例45例中CTC陽性例は9例(20%)だった。癌種別では子宮頸癌6例、子宮体癌1例、卵巣癌2例だった。検出したCTC数は計25個で、すべてがCK陰性であった。子宮頸癌6例中5例(83%)のCTCで原発巣と一致したHPVゲノム増幅を認め、卵巣癌2例中1例(50%)のCTCで原発巣と一致したp53遺伝子における点突然変異を認めた。<br />研究課題/領域番号:16H00682, 研究期間(年度):2016 続きを見る
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高林, 亮 ; Takabayashi, Ryo
出版情報: 平成28(2016)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2016 Research Project Summary.  2016  pp.1p.-,  2021-04-25. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060641
概要: 金沢大学附属病院<br />研究目的 : 精神障害者のリハビリテーションは、退院支援や地域生活支援が政策誘導的に実施されているが、有効な技術が確立されているとは言えず、約32万人とされる入院患者の内の約半数が長期入院に至っている。本研究では 再入院率の観点から、作業療法を実施した精神科疾患患者の転帰と作業療法の実施結果及び機能的な障害の関連を調査し、予後に影響する要因を明らかにすることを目的とした。方法 : 平成15年度6月の開設後から平成27年3月31日までに作業療法を実施した入院患者553名を対象とした後方視的調査を実施し、以下の結果を得た。(1) 対象者の内訳は、男性189名(37.1±16.7歳)、女性364名(42.7±20.3歳)であった。対象疾患は、気分障害(40.7%)が最も多く、次いで統合失調症(26.9%)が多かった。累積の再入院率は、1年未満 ; 16.1%、2年未満 ; 24.4%、3年未満 ; 28.0%、5年未満 ; 30.7%であった。作業療法を実施した患者の再入院率は他の研究結果(3年未満 ; 38.2%)と比較して低いことが明らかとなった。(2) 双極性障害患者の再入院の因子として学習機能を反映する60分間の緞通(マット作成)作業量の変化を調べた。3年以上の再入院が無い適応者は作業2回目の増加量が、3年以内に再入院した者に比べて少ないことが明らかとなった。2回目の作業の増加量は、学習機能を反映した指標であり、予後を検討する上で有用な指標と考えられた。(3) 確率的選択課題(PrST)は、統合失調症患者で障害されていることがわかった。PrSTは大脳基底核の学習回路機能を反映していることから、予後に影響する指標として有用である可能性が考えられた。精神障碍者の予後に影響する因子として、作業量の変化に関する指標、PrSTなどの学習機能を評価する検査結果が有用である可能性を示すことができた。今後は、本研究で得られた指標を利用して、精神障害者の予後に関する前向き調査を実施していくための方法論および環境が整備できた意義は大きい。<br />研究課題/領域番号:16H00672, 研究期間(年度):2016 続きを見る
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佐藤, 英洋 ; Sato, Hidehiro
出版情報: 平成28(2016)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2016 Research Project Summary.  2016  pp.1p.-,  2021-04-25. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060642
概要: 金沢大学附属病院<br /><研究目的>血液がんにおけるA・B抗原減弱とその他の血液型減弱との関連性を検証する。<研究方法>A・B抗原減弱を認める血液がん患者を対象として、Rh系血液型とKidd血液型を対象としフローサイトメトリーを用いて発 現率と蛍光強度の測定を行った。対象としてO型健常人を用いた。<研究成果>陽性対象の発現率と蛍光強度の測定を行い、被検血球はO型Rh(D)陽性を10例使用した。発現率の結果は平均でRh(C)抗原92%、Rh(c)抗原98%、Rh(E)抗原97%、Rh(e)抗原93%、Jk(a+)抗原84%、Jk(b+)抗原94%、Rh(D)抗原99%であった。蛍光強度(GMFI)の結果は平均でRh(C)抗原251、Rh(c)抗原613、Rh(E)抗原362、Rh(e)抗原143、Jk(a+)抗原52、Jk(b+)抗原87、Rh(D)抗原301であった。Rh(D)抗原を除き、抗原量に量的効果があるので陰性対照と比べ蛍光シフトが弱いものが存在し一部閾値として設定できないものが存在した。陽性対照でRh(D)が僅かに2峰性を示すのは、使用している抗D試薬がIgGの2量体構造が影響しているものと考えられた。これまで過去にA・B抗原に減弱を認めた患者5例に対し、Rh(D)抗原を測定したところ、発現率99%と減弱を認める症例は存在しなかった。次にJk(a+)抗原とJk(b+)抗原について抗原を測定したところ抗原ヒストグラムパターンがキメラ像を呈した。原因として、輸血による抗原陰性血球が混和していることにより2峰性を示したことが考えられ、減弱との判別を困難にした。これまでの検討から輸血の影響が検査結果に大きく影響を与えるため、今回は未輸血の3例に対して、測定を試みた。ABO血液型はA、B、O型それぞれ1例ずつであった。発現率はいずれもA型93%、B型94%と、A・B抗原減弱は認めなかった。併せてD、Kidd抗原も発現率はD抗原98%、Jk(a+)抗原98%、Jk(b+)抗原99%と減弱を認めなかった。以上より、各血液型との減弱減少に関する関連性は認めないが、解析症例を増やし検討する余地があろう。<br />研究課題/領域番号:16H00669, 研究期間(年度):2016 続きを見る