1.

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彼谷, 裕康
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.506-517,  1996-08-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9227
概要: 金沢大学 医 第3内科<br />1)MTTアッセイについての基礎的検討では,分離した単核球のうち腫瘍細胞が80%以上を占める検体が試験に適し,培養期間はリンパ系細胞では2日間,骨髄系細胞では4日間,感受性の有無の閾値は阻害率70%とするの が最も適当と考えられた. 2)成人ANLLの未治療例,成人NHLの難治療例及び再発例において,MTTアッセイの結果と臨床効果が良く相関した. 3)ANLLの難治療例及び再発例でMTTアッセイでの偽陽性例が多く,MDRの関与も考えられたが,今回の未治療例での検討では偽陽性例にMDR発現が多いということはなかった. 4)MDRの発現と寛解率及び生存率との間には有意な相関は認められなかった.又,生体外でアントラサイクリン系抗腫瘍剤に対する感受性の有無とMDR発現との関係について検討したところ,同様に有意な関連は認められなかった 続きを見る
2.

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疋島, 一徳
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.551-568,  1996-08-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9231
概要: 金沢大学 医 第1外科<br />原発性肺癌215例を対象に,術前化学療法の投与法別に3治療群に分け,抗Fasモノクローナル抗体を用い,Fas抗原の発現率を検討した. 1)術前無治療群のFas抗原発現率は46.3%, BAI群61.1%, IT群70%と術前化学療法群が有意に高率であった.Fas抗原発現量を表すCYTOADに関しても,術前無治療群0.259±0.051, BAI群0.280±0.059, IT群0.300±0.052と有意差で術前化学療法群が高値を示した. 2)Fas抗原はBAI群において,制癌剤の投与薬剤数が増すごとに発現率が高くなる傾向を示し,CYTOADは1剤群0.251±0.042, 2剤(及び3剤)群0.296±0.056, 4剤群0.304±0.073で多剤投与が有意に高値を示した.IT群では,投与回数に比例し,Fas抗原の高率,CYTOADが高値となる傾向を認めた. 3)術前無治療群と異なり,術前化学療法群(BAI群とIT群)のFas抗原陽性例はFas抗原陰性例より有意に予後が良好であった 続きを見る
3.

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月岡, 雄治
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.392-399,  1996-06-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9215
概要: 金沢大学 医 第2外科<br />BxPC-3, AsPC-1, Capan-1の3種類の細胞は,混合培養,培養上清のいずれにおいてもPC12の神経突起伸長を促した.Panc-1, MIA PaCa-2の2種類の細胞は,培養上清によってのみ 有意な神経細胞PC12の突起伸長を促した.これらの結果から,ヒト膵癌培養細胞は,神経細胞の突起伸長,臨床的には神経線維の増加を促す作用を有することが示唆された.又,ヒト膵癌細胞ではb-FGFとNT-3の発現を認め,特にNT-3が神経細胞と突起伸長,神経線維の増加に強い影響を持つと考えられた 続きを見る
4.

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安川, 善博
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.400-405,  1996-06-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9216
概要: 金沢大学 医 神経内科<br />1)培養ラット骨格筋細胞には,erbA, src, raf, sis, fos, myc,H-ras, K-rasと今回検討したものだけでも8種類のプロトオンコジーンが発現しており,これらは筋細胞の増殖分裂 ,分化,機能維持に関与している可能性が考えられた. 2)プロトオンコジーンの中でK-rasのみがCGRP添加の影響を受けその発現量は約2倍に増強していた.CGRP添加後の経時的変化は,AChR α-サブユニットのそれと類似しており,両者の発現が共通の機序により調節されている可能性が示唆された. 3)上記以外の筋特異的遺伝子,即ちミオジェニン,MLCl, MHC, cDMD4-5aは発現が確認されたが,CGRPの修飾は認められなかった. 4)CGRPを添加する時期は,殆どの培養筋芽細胞が筋管細胞へと分化している頃であることから,CGRPが生体の分化した筋細胞の維持に栄養因子として働いている可能性が考えられた 続きを見る
5.

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高畠, 一郎
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.406-419,  1996-06-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9217
概要: 金沢大学 医 第1外科<br />1)N2肺癌182例の縦隔リンパ節転移は,単一レベル転移77例,複数レベル転移は105例で,のべ345レベルの転移を認めた. 2)縦隔リンパ節SHの頻度は原発性非小細胞肺癌384例中1度,24例;2度,79 例;3度,196例;4度,85例であった.リンパ節転移陽性例でSHの反応が低下していた. 3)縦隔リンパ節FHの頻度は0度,55例;1度,60例;2度,105例;3度,164例であった.FHは男性,T因子,N因子高値,扁平上皮癌,リンパ管侵襲陽性例,静脈侵襲陽性例で高い反応を示していた. 4)SH高反応群の方が低反応群よりも有意に,N1-2全体,N1-2扁平上皮癌症例,全腺癌症例でFH低反応群の方が高反応群よりも有意に予後良好であった. 5)原発巣リンパ管侵襲は132例中65例で陰性,67例で陽性であり,T因子,N因子の高値と共に陽性例が増加していた 続きを見る
6.

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高仲, 強
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.450-461,  1996-06-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9221
概要: 金沢大学 医 放射線医<br />1)放射線誘発アポトーシスは小細胞癌細胞株であるSBC-1, SBC-3に発現し,その最大発現頻度はSBC-1において10Gy照射48時間後17.9±0.1%, SBC-3において20Gy照射72時間後9. 6±2.3%であった. 2)放射線誘発アポトーシスの発現は照射された生検腫瘍組織においても確認された. 3)Fas抗原の発現はSBC-3及び腺癌細胞株であるRERF-LC-MSに,Bc1-2蛋白の発現は全細胞株に認められた. 4)10Gy照射後SBC-3においてFasmRNA発現の増加とそれに伴うFas抗原発現の増加があり,抗Fas抗体によるアポトーシスの誘発が促進された. 5)RERF-LC-MSでは放射線誘発アポトーシスは認められず,抗Fas抗体によるアポトーシスの誘発も認められなかった 続きを見る
7.

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呉, 哲彦
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.249-256,  1996-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9202
概要: 金沢大学 医 第1外科<br />1)p53遺伝子の転写活性化はアポトーシス誘導因子による刺激により,未刺激例と比べて約2~9倍に上昇した.過酸化水素では約6倍,フルオロウラシルでは約9倍まで転写活性化が上昇した. 2)p53遺伝子のほぼ- 70~-40bpまでのプロモーター領域に変異を導入すると,変異を導入しない例と比べ,過酸化水素によるp53遺伝子の転写活性化はその上昇が抑制された. 3)過酸化水素及びフルオロウラシル双方によるp53遺伝子の転写活性化は,bcl-2により減少したが,抗酸化剤であるNACでは過酸化水素による転写活性のみが減少し,α-トコフェロールや抗酸化酵素であるGSHPX, Ref-1では双方とも減少しなかった. 4)-70~-46bpまでのp53プロモーター領域の過酸化水素による転写活性化は,bcl-2により減少したが,GSHPX, Ref-1では減少しなかった 続きを見る
8.

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松本, 勲
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.309-332,  1996-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9207
概要: 金沢大学 医 第1外科<br />実験1ではイヌで自家肺同所移植モデルとリンパ節郭清を施行した部分肺移植モデルを作成してECLRの手技上の問題点とリンパ節郭清の影響を検討した.実験2ではイヌで左肺の2時間温阻血モデルを作成し,体外での保存, 再灌流障害に対してのUTI投与,冷却保存及び肺血管床前灌流の効果を検討した.ECLRにおいては,特に肺静脈の吻合に留意し,縦隔リンパ節郭清施行時には吻合部の被覆等の吻合部の血流を確保する工夫が必要である.又,保存中の肺障害,虚血後肺再灌流障害の抑制に対してはUTI投与及び冷却保存は有効であった 続きを見る
9.

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永里, 敦
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  105  pp.350-362,  1996-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9210
概要: 金沢大学 医 第1外科<br />甲状腺分化癌非再発例40例,再発例19例を対象に免疫組織学的にpRB発現とPCNA染色率及びLM, FN発現量を測定した. 1)pRB染色率は,再発例で有意に低値であった. 2)PCNA染色率は,再発例で有 意に高値であった. 3)20mm以下の腫瘍径で再発をきたしているものはpRB染色率が有意に低値であり,PCNA染色率も高値であった. 4)t4症例で再発していない症例はPCNA染色率が有意に低値であった. 5)LMの発現量は,再発例で有意に低値であった. 6)リンパ節再発例で1年以内に再発した例では,再発腫瘍のPCNA染色率は原発腫瘍に比べて有意に高率であった. 7)無再発率との関係では,pRB低値群及びPCNA高値群で有意に再発の危険性が高かった.以上の結果から,甲状腺分化癌においてpRB及びPCNA染色率とLMの発現量は再発の予測因子となりうることが示唆された 続きを見る
10.

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又野, 禎也
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.270-282,  1995-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9131
概要: 金沢大学 医 第3内<br />1)親株であるras/myc-SFME細胞と比べて,r/mHM-SFME-1細胞は,肺への高い転移能を持った. 2)制限酵素Hind III処理DNAを用いてPCR法により作成した検量線では,マウス1匹の肺に 腫瘍細胞が104個以上あれば検出可能であった.これは制限酵素EcoR I 処理したDNAを用いた場合でも同様な結果であった.各々の制限酵素処理DNAで作成した検量線は,ほぼ同一の曲線を示し,再現性が確認された. 3)本法を用いて腫瘍移植マウス肺への遠隔転移を経時的に調べた.腫瘍移植7日目より腫瘍由来のPCR産物の検出が可能であった.1群のマウス匹数を増やして行った実験でも,経時的に肺での腫瘍由来PCR産物が増加した.以上の結果より,本細胞の肺への遠隔転移の検出ならびに転移腫瘍細胞数の推定にPCR法は有用であった.また,PCR法を組み込んだ本実験系は,転移腫瘍細胞数の評価を行ううえで極めて有用である 続きを見る
11.

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黄, 承東
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.283-293,  1995-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9132
概要: 金沢大学がん研究所<br />1)p53蛋白の異常核内蓄積と,PCNA標識率及び核DNAの異数倍体,疑異数倍体とはいずれも有意の正の相関が認められ(p<0.01),p53の突然変異が染色体の不安定性を惹起して,核異常を増幅している可能性が示 唆された. 2)染色体数の変化は腫瘍間の差異及び同一腫瘍内での不均一性が高った.染色体7, 8, 10にみられた数的異常は全て染色体数の増加であった.染色体18には比較的高頻度(24%)にモノソミーが認められた. 3)p53遺伝子座のある17p及びDCC遺伝子座のある18qのLOHはそれぞれ51.7%, 63.2%にみられた. 4)染色体18のモノソミーが認められた7例中4例に18qの欠失が認められ,これらの症例では,DCC遺伝子の半接合体が存在する可能性が高かった 続きを見る
12.

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濱田, 敏夫
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.302-310,  1995-04-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9134
概要: 金沢大学 医 神経内<br />MG発症の主因である抗AChR抗体の抗原決定基としてMIR(AChRα67~76)が重要視されている. 1)ELISA法による検討で,抗MIR mAbに対して,構造修飾されないα67~76,α60~80に反応 は得られなかったが,人工的に組み込んだS-S結合でターン構造を強調すべく作製されたKKCYG-α67~76-VCT,CR-α67~76-K(G74→C),CKGGL-R-α67~76-KC,KKC-α63~77-C,KKC-α62~77-C,KKC-α61~77-Cの中で,CKGGLR-α67~76-KC,KKC-α63~77-C,KKC-α62~77-C,KKC-α61~77-Cに強い反応が得られた.このことは,抗MIR mAbに対する合成ペプチドの抗原性が立体構造修飾で強調しうることを意味しており,その一つの方法としてS-S結合組み込みによるターン構造強調を提示した. 2)CKGGLR-α67~76-KCに関しては,水溶液中で実際にS-S結合を有し,ターン構造をとることを,NMR法による立体構造解析で確認した 続きを見る
13.

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畑, 直宏
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.46-53,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9112
概要: 金沢大学 医 公衆衛<br />1)金沢市内の2ヶ所において蚊を採集した.イヌ糸状虫幼虫が検出されたのは,アカイエカに限られ304個体中13個体で,第III期幼虫が検出されたのは2個体(2/304)であった. 2)石川県内10市町村12地区 において,計981名の住民のイヌ糸状虫に対する陽性域抗体価を示したものは13名であった.陽性域抗体価を示す者の割合は地区によって異なった.地域的には石川県一般住民もイヌ糸状虫幼虫の感作を受けているものの,発症に至る者は少ないと考えられた. 3)幼虫侵入の有無を検索する方法として,ELISAによる血清抗体の検出を試みた.10匹の感染実験マウスでは平均抗体価1.21±0.18で,対照群に比べ有意に高い値を示した.高抗体価を示した3匹のマウスにはイヌ糸状虫第III期幼虫が感染し,短時日ながら組織内を移行,寄生したことにより,感作されていたことが示唆された 続きを見る
14.

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寺山, 昇
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.88-104,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9116
概要: 金沢大学 医 放射線医<br />1)腫瘍血管は,内皮細胞のマーカーであるUEA-IならびにvWF,血管平滑筋や周皮細胞のマーカーであるα-SMA,基底膜成分であるIV型コラーゲン,ラミニンが陽性であり,転移性肝癌における血管新生でも早期か ら周皮細胞や基底膜の包囲を伴っていた 2)転移巣周囲の肝実質では,類洞内皮細胞にUEA-Iの結合やvWFの発現が見られ,類洞内皮は毛細血管化を示した.転移巣に近接してα-SMAが陽性の類洞壁細胞の増加が見られた.転移巣周囲の肝細胞には非癌部の肝細胞に比較して強いbFGFの発現が見られた. 3)一部の症例では,免疫組織化学的に,毛細血管化した転移巣周囲の類洞内皮が,転移巣内の血管に連続する部分が観察された.Microfil注入標本でも転移巣周囲の類洞から転移巣内へ連続する血管が観察され,転移巣辺縁部の腫瘍血管は周囲の類洞と連続し,一部は類洞内皮に由来することが示唆された 続きを見る
15.

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真田, 順一郎
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.105-120,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9117
概要: 金沢大学 医 放射線医<br />雑種成熟イヌを用い,ステント留置部の開存性,大動脈壁の組織学的変化,大動脈壁の栄養血管に与える影響を検討した. 1)全経過において高開存率を呈したベア・ステント留置部に比して,膜付きステント留置部は種々の程 度に狭窄ないし閉塞を呈した.膜と大動脈壁間に生じた内膜肥厚および膜上に付着した血栓が狭窄・閉塞の原因であった. 2)内膜肥厚の程度は膜付きステント留置部ではベア・ステントと比して有意に高度であり,内腔の血栓形成と同様に膜の弛みが大きい部位ほど内膜肥厚が高度となる傾向があった. 3)膜付きステント留置に伴い,動脈壁全層および新生内膜に栄養血管の強い増生がみられ,その程度はベア・ステントと比べてより高度であった. 4)膜付きステントは高い血栓性,血管障害性,動脈壁栄養血管増生という点で問題があることが示された 続きを見る
16.

論文

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新谷, 尚久
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.132-142,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9119
概要: 金沢大学 医 小児科<br />生後初めて発熱を認めた乳幼児を対象にした. 1)血液細胞より得たDNAのPCR産物をエチジウムブロマイド染色にて判定したところ,血中HHV-6DNAは生後初めて発熱を認めた乳幼児の約40%に検出され,その約6 5%に突発性発疹症に典型的な解熱後発疹がみられた. 2)血中HHV-6DNA陽性者は抗HHV-6IgG抗体が全例検出されず,ペア血清の検討からも,HHV-6初感染と考えられた.血中HHV-6DNA陰性者では一部に抗HHV-6IgG抗体が陰性で,解熱後発疹や回復期に抗HHV-6IgG抗体の上昇をみるHHV-6初感染例が含まれていた. 3)血中HHV-6DNA陽性者をHHV-6初感染として,リンパ球サブセットを検索した.リンパ球サブセット比は非HHV-6感染例と大きな違いはなかったが,HHV-6初感染でとりわけNK細胞における早期活性化抗原であるCD69抗原発現が顕著であった 続きを見る
17.

論文

論文
山野, 潤
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.154-161,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9121
概要: 金沢大学 医 脳神経外科<br />ニホンザルを用いて全身麻酔下で腕頭動脈と無名動脈を一過性に遮断することにより脳虚血モデルを作製した. 1)非活性型のカルパインは正常海馬では海馬の全領域に同程度に存在していたが,虚血後には僅かながらも減少 を示した. 2)活性型のカルパインはウェスタンブロットではCA1に有意に多く発現が見られ,虚血前に比べてCA1ニューロン,特にその核周囲の胞体に強い発現を示した. 3)カルパインの基質であるフォドリンの分解産物の発現は虚血後の海馬では有意な増加を示したものの,海馬の各領域による差異は見られなかった. 4)虚血後に活性化されたカルパインは,CA1ニューロンにおいて,プロテインキナーゼCなどフォドリン以外の蛋白を基質としていることが示唆された.以上より,脳虚血後に生じるカルパインの活性化は,海馬CA1における遅発性神経細胞死の発生に重要な役割を果たしていると考えられた 続きを見る
18.

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渋谷, 和郎
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.175-186,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9123
概要: 金沢大学 医 耳鼻科<br />独自の耳小骨可動度解析装置を作製し,正常な中耳10例,諸々の中耳疾患39例の耳小骨の可動度を検討した. 1)これまで不明であった生体における正常耳小骨の可動度を示すことが出来,0.5-4gfの今回の比較検討範 囲では平均10.05gf/mmを示した. 2)鼓膜穿孔耳を含む諸々の中耳疾患における耳小骨可動度評価と疾患鑑別の精度の向上をもたらすことが出来た. i)非真珠腫の慢性中耳炎では鼓室硬化の有無によって耳小骨可動性は異なっており,本検査は鼓膜穿孔があっても明確に可動性の良悪を評価することができ手術の指標となった. ii)真珠腫性中耳炎ではたとえ連鎖が残存していても,上鼓室に密着した真珠腫被膜により可動性は障害されている場合が多い. iii)癒着性中耳炎では鼓膜の内陥が強く耳小骨が内方へ変位しているため,可動性障害は諸群の中でも大きかった. iv)外傷などによる耳小骨連鎖離断も明確に指摘することが出来た 続きを見る
19.

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木船, 孝一
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.187-205,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9124
概要: 金沢大学 医 放射線医<br />FCRとCSF胸部側面像を基礎的,臨床的に比較検討した. 1)物理的画像特性では鮮鋭度はFCRが劣り,粒状性は2分の1縮小画像であるFCRの方が良好な値となった. 2)疑似結節を用いた描出能で,FCRは異な る撮影条件での全体的評価で肺尖部は有意に劣り,他の領域では有意に優れていた.撮影条件別にみると線量を多くした場合,肺尖部の描出能は改善された. 3)正常構造の描出能は,空間分解能が問題となる葉間裂の描出以外はFCRの方が同等もしくは優れていた. 4)臨床例を用いた結節影の診断能は全体,腫瘍径,辺縁の性状別では差がなく,CSFの撮影条件が非適正とされた症例群の比較でFCRは優れていた.存在部位別の検討でFCRは肺尖部の診断能は低い傾向にあり,胸骨後領域では診断能が高かった.以上から,最適撮影条件を恒常的に得ることの難しい側面像において,FCRはその寛容性の点でCSFより優れ有効な撮像法と成り得る 続きを見る
20.

論文

論文
原城, 達夫
出版情報: 金沢大学十全医学会雑誌.  104  pp.230-244,  1995-02-01.  金沢大学十全医学会
URL: http://hdl.handle.net/2297/9127
概要: 金沢大学 医 第2内科<br />1)ヘテロFHとヘテロCETP欠損の合併例(FH+CETP-D群)のリポ蛋白組成はヘテロFH例(FH群)に比し,CETPの低下によりLDL-Cの低下傾向とHDL-Cの有意な高値を認め,相対的に抗動脈硬化的と 考えられた. 2)FH+CETP-D群の臨床像は有意ではないがFH群に比し心筋梗塞の発生頻度の低値を認めた.しかし,狭心症の発生頻度に差を認めなかった.ヘテロFH男性による多変量解析による検討では,CSIはHDL-Cと負の,年齢と正の相関を認めたが,肥満,喫煙,糖尿病,高血圧の有無,アポE遺伝型との有意な相関を認めなかった.ヘテロCETP欠損合併例では,10例中2例を除き年齢で推定されるCSI値は低値であった.以上より,高LDL-C血症例において,CETP低下に基づく高HDL-C血症は望ましいが,冠動脈硬化性心疾患の発症を抑制できるほど十分ではなかった 続きを見る