1.

論文

論文
田中, 俊之 ; Tanaka, Toshiyuki
出版情報: 平成16(2004)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2004 Research Project Summary.  2002 – 2004  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00061147
概要: 金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系<br />本年度の研究実施計画に基づいて、下記のような考察と分析をおこなった。(1)スイス北西部の村落プラッテルンにおいて15世紀後半に激化した領主・農民間の紛争に、近隣の大都市バーゼルが調停(仲裁) 者として関与していたであろうことが、先行研究ならびに史料の予備調査から想定される。そのことをふまえ、中世後期のドイツ西南・スイス北西地域における都市・領主・農民関係の解明にむけて、ここでは上記の紛争の調停の過程をある程度まで窺い知ることができると見込まれる1465年のある文書群にねらいを定めて分析を試みた。(2)充当された旅費を利用して、スイスのStaatsarchiv Basel-Landschaft(バーゼル農村邦国立古文書館)を訪れ(2004.8.24〜26)、そこで専門家のオトナン=ジラール女史のご教示を得ながら、上記の文書Dokument Urkunde Nr.537 S.90〜102の判読を完了した。明らかになった全体の構成は以下のとおりである。a)市参事会によるSchiedspruch(裁定) S.90 b)申し状:市参事会→領主 S.91 c)申し状:領主→市参事会 S.91〜93 d)申し状:市参事会→領主 S.93〜94 e)申し状:領主→市参事会 S.94〜96 f)申し状:領主→市参事会 S.96〜97 g)申し状:市参事会→領主 S.98 h)申し状:領主→市参事会 S.98〜100 i)申し状:領主→市参事会 S.100 j)申し状:市参事会→領主 S.100〜101 k)申し状:市参事会→領主 S.101〜102(3)現在取り組んでいる各申し状の内容の翻訳と分析は、引き続き今後の課題にせざるをえないが、調停の形式に関しては、1度かぎりの裁定で完了ではなく、その後も領主側からの反訴、それに対する調停者側からの回答が、再三にわたり繰り返されていることが確認できた。<br />研究課題/領域番号:14710259, 研究期間(年度):2002 – 2004<br />出典:「中世後期ドイツの都市・領主・農民と調停システム」研究成果報告書 課題番号14710259(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14710259/)を加工して作成 続きを見る
2.

論文

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田中, 俊之 ; Tanaka, Toshiyuki
出版情報: 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 2001 Research Project Summary.  2000 – 2001 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00064457
概要: 金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系<br />本研究では「名誉」を、中世後期から近世にかけてのドイツ社会を捉える上での重要な価値観と考え、「名誉」をめぐって生じた様々な葛藤・確執を分析することにより、社会の秩序形成と統合のメカニズムを明 らかにすることを目的とした。1.(1)まず、中世後期の都市におけるツンフトと手工業者の関係において、職人の遍歴慣行が、都市の経済状況に応じて、「名誉」をめぐる様々な葛藤・確執の発生しやすい社会環境を創り出していたことを確認した。(2)紛争解決にむけては、ツンフトによる積極的な仲裁・調停、場合によっては都市参事会の裁判が機能していたこと、またその際、家族や友人など当事者の共属集団の働きかけが一定の役割を果たしたこと、さらにそうした紛争解決の過程を通じて、従来の自力救済の慣習の抑制、都市当局の権限強化などが見られるということが、見通しとして得られた。2.以上をふまえ、さらに中世後期以降に展開した都市の領域形成という側面においては、農民の「名誉」意識が「農村の都市化政策」を促進したということが認められた。すなわち、(1)例えば上ライン・バーゼルのラントシャフトにおいては、農民に対する領主側からの「名誉」侵害(高級裁判権の執行に際しての農民に対する不名誉な任務の強制、あるいは体僕制導入による農民の人格的自由の剥奪)が、領主・農民間の信頼関係を喪失させ、それを契機に紛争が激化し、中小貴族の所領経営の悪化および都市への所領売却が促進されたと考えられる。(2)領主・農民間の紛争の展開に際して、農民は抗議行動を起こし、周辺都市の仲裁を引き出す一方、周辺都市に市民としての受入れを期待し、都市の側は自らの利害に合致した形で対応しながら、所領獲得にむけて農民を背面援護していたことが認められた。<br />研究課題/領域番号:12710200, 研究期間(年度):2000-2001<br />出典:「中・近世ドイツにおける「名誉」に関する構造的社会史研究」研究成果報告書 課題番号 12710200(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12710200/)を加工して作成 続きを見る