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論文

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大熊, 勝治 ; Ohkuma, Shoji
出版情報: 平成12(2000)年度 科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究成果報告書 = 2000 Fiscal Year Final Research Report.  1998-2000  pp.8p.-,  2001-03.  金沢大学薬学部
URL: http://hdl.handle.net/2297/00050625
概要: 本研究では,バフィロマイシン類やプロジギオシン類等の、空胞系プロトンポンプ(V-ATPase)を阻害する物質による,細胞の増殖阻害、分化・アポトーシスの誘導機構等を明らかにするともに、細胞増殖阻害と分化・死誘導に必須な構造、並びにプロトン輸 送阻害機構の解明を目指している。先ず、バフィロマイシン類は神経突起伸展(NOG)とともにアポトーシスを誘導するが、情報伝達経路は両反応で異なっており、両反応とも新たなRNA合成及び蛋白質合成を必要とし、MAPキナーゼ/セリン・スレオニンフォスファターゼ、チロシンキナーゼに依存し、一方K-252a阻害されず、A-キナーゼに非依存性であるが、アポトーシス誘導はチロシンホスファターゼ、アラキドン酸カスケード、カルモジュリンキナーゼ等に非依存性である点で、NOG誘導と異なっていた。しかし、in vivoでは空胞系プロトン・ポンプを阻害するプロジギオシンや、tambjamineグループのBE-18591もH^+/Cl^-シンポート活性を示し、かつNOGやアポトーシス誘導活性があるが、H^+/Cl^-シンポート活性で一律に説明することは出来なかった。と言うのは、H^+/Cl^- symporter活性を示すtetrapyrroleは、増殖阻害・細胞死誘導作用はあるがNOG作用は示さなかったからである。また、V-ATPase阻害剤によるPC12細胞のNOG、アポトーシス誘導、細胞増殖阻害活性等にpHは関係していない。というのは、NOG誘導活性のないデストラキシンBもデストラキシンEと同様にリソソームのpHを上昇させるからである。なお、プロジギオシンもヌードマウスに移植した癌細胞の増殖を抑制する。一方、バフィロマイシン類は移植血管細胞の増殖をも阻害することを発見した。このことは、動脈硬化発現にプロトン・ポンプが関係していることを示唆しており、興味深い。一方、真性細菌である高度好熱菌V-ATPaseの遺伝子を同定することが出来た。operon構造を取ってい研究しやすいので、今後、この系を使ってV-ATPaseのプロトン輸送機構等を明らかにしたいと考えている。現在、V-ATPaseの回転について検討中である、なお、プロトン・ポンプ阻害活性のある「コンカナマイシン結合フォトアフィニティープローブ」の作成についに成功した。コンカナマイシン結合タンパク質の同定が可能になったので、今後、同じ原理で「コンカナマイシン結合アクリルアミド結合体」等を合成し細胞内に入らないことを確認した上で、細胞膜に作用してこのような効果が出るのか否かを確認したい。なお、プロジギオシン類はブタ胃粘膜の(H^+-K^+)ATPaeのプロトン・ポンプ活性をも可逆的に阻害することを発見している。<br />In this project, we have investigated the mechanism of incuction of neurite outgrowth (NOG), cell differentiation, growth inhibiton and apoptosis by inhibitors against V-ATPases, such as bafilomycin, concanamycins and prodigiosins, and the mechanism of proton transport in V-ATPases.We found that (1) V-ATPase inhibitors like bafilomycin induced apoptosis and NOG in new RNA-, protein-syntheses, and serine/threonine kinase-dependent mannaer, and K-252a- or A-kinase-independent manner, but they are different from each other : apoptosis-induction is different from NOG-induction in its insensitivitiy in tyrosin-phosphatase, arachidonate-cascade or Calmodulin-kinase independent manner, (2) apoptosis and NOG are also induced by prodigiosins but they are not induced by its H^+/Cl^- symporting activities, and (3) apoptosis or NOG is not induced by pH-differences between inside and outside of cells, because they are not induced by NH_4Cl, (4) We have succeeded in the synsesis of concanamycin A-photoaffinity probes active in V-ATPase-inhibition. (5) Prodigiosins are H^+/Cl^- symporters that uncoupled ATPases like F-, V-, P-ATPase and electron transport activity, in which prodigiosins inhibited proton-transport but no ATP hydrolysis (or electron transport) activiteis. Prodigiosins also strongly and reversibly uncoupled (H^+/K^+) ATPase-dependent proton-translocation from hog gastric mucosa. (6) We have succeeded in the cloning, proton-pump dependent ATP synthesis, and determation of operon structure of V-ATPase from a eubacterium (Thermus termophilus).<br />研究課題/領域番号:10557221, 研究期間(年度):1998-2000<br />出典:「V-ATPase 阻害剤をリード化合物とする細胞死誘導型新規制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号10557221(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
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大熊, 勝治 ; Ohkuma, Shoji
出版情報: 平成10(1998)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書 = 1998 Fiscal Year Final Research Report.  1997-1998  pp.6p.-,  1999-03.  金沢大学薬学部
URL: http://hdl.handle.net/2297/00050626
概要: 我々は、細胞の増殖・分化・アポトーシスに対する空胞系酸性顆粒の寄与を,bafilomycin A_1の他、プロジギオシン類やデストラキシン等の空胞系プロトンポンプ阻害剤を用いて明らかにするとともに、これら阻害剤のプロトン輸送阻害機構の解明を 目指した。その結果、(1)デストラキシンBとEは、ともにリソソームのプロトンポンプを阻害し、リソソーム内pHを上昇させたが、PC12細胞の分化誘導作用はデストラキシンEにのみ認められた。(2)プロジギオシン類は、そのH^+/Cl共輸送活性によりプロトンポンプを脱共役する、新規H^+/Cl symporterであることを初めて明らかにすることが出来た。また、(3)bafilomycin A_1同様、ブロジギオシン類も神経突起伸展(NOG)を誘導することを発見した。(4)そこで、両プロトンポンプ阻害剤によるNOG誘導作用の特徴を検討したところ、ともに新たなRNA及び蛋白質合成を必要とし、MAPキナーゼ、セリン・スレオニンホスファターゼ、チロシンキナーゼ、チロシンホスファターゼ、カルモジュリン、ホスフォリパーゼA_2依存性であるが、trkチロシンキナーゼやAキナーゼには非依存性である等、両情報伝達経路は酷似していることが判明した。(5)また、tambjamineグループのBE-18591もH^+/Cl symporter活性を示し、免疫抑制や、NOG・アボトーシス誘導作用を示すことを見い出した。(6)ところが、同じH^+/Cl symporterでも、tetrapyrroleは増殖阻害・細胞死誘導作用はあるがNOG作用は示さなかった。以上の結果より、pH変化やプロトンポンプ活性自身は、少なくともNOG誘導の直接の引き金にはなっていないと結論した。<br />In this research project, we have studied the machanism of (1) inhibition of cell growth, (2) induction of cell differentiation, and (3) induction of apoptosis, by V-ATPase inhibitors like bafilomycins, prodigiosins and destruxins, as well as the mechanims of inhibition of proton translocation by these inhibitors.We found (1) that both destrauxin-B and -E inhibited lysosomal proton pump, but only destruxin-E induced induced neurite out growth (NOG) of PC12 cells., (2) that prodigisins uncoupled various proton pump activities due to their H ^+ /Cl symport activity, (3) that prodigiosins, like bafilomycin A ^<1'> induced neurite out growth (NOG), and (4) that the prodigiosin-induced NOG, like bafolomycin-induced one, required de novo synthesis of new messenger RNA as well as protein synthesis, was sensitive to the inhibitors of MAP kinases, serine/threonine phosphatases, tyr-kinases, tyr-phosphatases, calmidulin and phospholipase A ^<2' > but resistant to inhibitors of trk tyrosine kinase and protein kinase A.BE-18591, a tambjamine group antibiotics, also behaved as H ^+ /CU symporters and inhibited hog gastric proton pump, inhibit *cid secretion by gastric parietal cells, inhibited osteoclast differentiation, suppressed proliferation of immune lymphocytes, and induced both NOG and apoptosis, suggesting that the variety of biological activities displayed by these H ^+ /C1 symporters may be due to their H ^+ /C1 symport activity. However, tetrapyrrole, another H ^+ /CV symporter, did not induced NOG.From these results, we conclud that the effect of V-ATPase inhibitors on the intracellular pH does not participate in the variety of biological activities (including induction of NOG) displayed by these compounds.<br />研究課題/領域番号:09672220, 研究期間(年度):1997-1998<br />出典:「V-ATPase 阻害剤による分化・細胞死誘導機構」研究成果報告書 課題番号09672220 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
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大熊, 勝治 ; Ohkuma, Shoji
出版情報: 平成11(1999)年度 科学研究費補助金 特定領域研究(A) 研究概要 = 1999 Research Project Summary.  1999  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060765
概要: 金沢大学理工研究域<br />本研究では、V-ATPaseの選択的阻害剤であるバフィロマイシンと比較しつつ、H^+/Cl^-シンポーターであるプロジギオシン類のプロトン輸送阻害機構と細胞増殖阻害・細胞死誘導機構、癌抑制機構を明らかにし、ひい ては理想的制癌剤の開発を目指した。その結果、(1)プロジギオシン類(タンビャミン類を含む)は、そのH^+/C1^-シンポート活性により各種プロトンポンプを脱共役するが、その活性発現には最低2個のピロール環の存在が必須であることが明らかになった。しかし、プロジギオシンより強力な新たなH^+/Cl^-シンポーターは見い出されなかった。(2)H^+/Cl^-シンポーターはリソソームのpHを上昇させ、細胞質のpHを低下させた。(3)しかし、細胞質pHの低下が細胞増殖抑制・細胞死の原因である可能性は、その作用が弱塩基で阻害されないことから否定的である。(4)バフィロマイシン同様、ブロジギオシン類も神経突起伸展(NOG)・アポトーシスを誘導するが、NOG誘導とアポトーシス誘導の情報伝達経路は両反応で異なっていることが判明した。即ち、両反応とも新たなRNA及び蛋白質合成を必要とし、K-252aやA-キナーゼ非依存性、MAPキナーゼ依存性であるが、セリン-スレオニンホスファターゼ、チロシンキナーゼ、チロシンホスファターゼに非依存性である点で、アポトーシス誘導はNOG誘導と異なっている。(5)細胞死は、カスパーゼ3/9の支配下にあり、ミトコンドリアからのシトクロームc放出を伴うことが明らかとなった。(6)バフィロマイシン結合蛋白質同定用のアフィニティープローブは作成の基本条件が確立され、ジアジリン誘導体の作成をするばかりとなった。(7)プロジギオシン類やそれ以外のH^+/Cl^-シンポーター類もヌードマウスに移植した膵癌細胞の増殖を抑制しアポトーシスを誘導した。(8)高度好熱菌V-ATPaseの再構成に成功し、ATP加水分解・プロトン輸送とATP合成との関係を明らかにした。<br />研究課題/領域番号:11140226, 研究期間(年度):1999<br />出典:「V-ATPase阻害剤による新規制癌機構と治療戦略」研究成果報告書 課題番号11140226(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11140226/)を加工して作成 続きを見る
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大熊, 勝治 ; Ohkuma, Shoji
出版情報: 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 特定領域研究(C) 研究概要 = 2001 Research Project Summary.  2001  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060910
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />我々はこれまで、増殖・癌化・分化・細胞死に対するV-ATPase阻害剤の寄与について、選択的阻害剤を用いて検討してきた。その結果、V-ATPaseの選択的阻害剤が各種細胞の増殖を阻害したり、分化や細胞 死(アポトーシス)を誘導することを、PC12細胞やM1細胞を用いて明らかにして来た。更に、プロトン輸送のみを特異的に阻害するプロジギオシンが様々なプロトンポンプを脱共役するH^+/CΓシンポーターであること、しかし細胞に投与した場合は主として酸性穎粒に作用するらしいこと、V-ATPase阻害剤と同様に分化・細胞死誘導作用を示すことを明らかにして来た。本研究においては,(1)バフィロマイシン類やプロジギオシン類のプロトン輸送阻害機構、(2)それらの増殖阻害、分化・細胞死誘導機構、(3)V-ATPase阻害剤の癌細胞に対する選択毒性と機構を明らかにし、(4)構造活性相関から、癌細胞の選択的増殖阻害に必須な構造を明らかし、理想的制癌剤の有機合成開発を目指した。分化誘導・増殖阻害・細胞死誘導の各作用を、PC12細胞を中心に検討し、V-ATPase阻害活性及びpHとの相関を明らかにした。特にV-ATPase阻害剤として知られている薬物について検討したところ、分化誘導・増殖阻害・細胞死誘導の各作用とV-ATPase阻害活性及びpH上昇作用との間に相関の見られない場合があることが判明した。新規合成体に対しても上記作業を行ったが、H^+脱共役作用、増殖阻害・細胞死誘導を示すものはあったが、分化・誘導作用を示すものは殆ど見られなかった。その他種々の理由から、阻害剤は細胞内酸性顆粒のV-ATPase自体に作用するよりは、むしろ細胞膜上の阻害剤受容体に作用して分化細胞死誘導を引き起こしている可能性が高くなった。そこで、コンカナマイシン[バフィロマイシン類似体]のビオチン誘導体を作成し、細胞内に入らないストレプタビジン・ビーズと結合させ、PC12細胞に作用させたところ、分化誘導とアポトーシス誘導とが観察された。コンカナマイシンが細胞膜に作用していることを示す初めての例である。ジアジリン誘導体を用いて検討したところ、コンカナマイシンは細胞膜上のV-ATPase以外の物質とも作用することが明かとなった(投稿準備中)。また、高度高熱菌より高純度に精製したVoV1-ATPaseを用いて、遺伝子変異手法等を用いて、プロトン輸送機構を明かとした。既に他の目的で合成した化合物中(インドール化合物やビピロール誘導体)にH+脱共役作用のあること、しかしH^+/CΓ共輸送活性は弱いことが判明した。16kDaproteolipidの高発現の普遍性について、他の癌腫を用いて分子生物・生化学・免疫組織化学的に検討したところ、ヒト大腸癌細胞の他、ヒト動脈硬化モデル細胞にもその傾向があることが判明した。さらに、ヒト動脈硬化モデル細胞やHaLa細胞では、特にVo部分の形成部分が細胞増殖に特に関係していることが明かとなった(投稿準備中)。また、ヌードマウスに移植したヒト癌由来細胞の増殖抑制を指標として検討した結果、各種V-ATPase阻害剤が制癌効果を有することが明かとなった(投稿準備中)。しかし、構造-活性相関から制癌作用に必要な構造を明らかにするところまでは出来ていない。<br />研究課題/領域番号:13218049, 研究期間(年度):2001<br />出典:「V-ATPaseとがん治療」研究成果報告書 課題番号13218049(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13218049/)を加工して作成 続きを見る