1.

論文

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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究成果報告書 = 2001 Fiscal Year Final Research Report.  2000-2001  pp.21p.-,  2002-03.  金沢大学自然科学研究科
URL: http://hdl.handle.net/2297/00049354
概要: ペプチドトランスポーターを利用した選択的な抗がん剤デリバリーの可能性を検証する目的で以下の検討を行った。1.ヒト小腸オリゴペプチドトランスポーターhPEPT1 cDNAをHeLa細胞に遺伝子導入し強制発現細胞(HeLa-hPEPT1)を得、 その輸送活性を確認した。2.HeLa-hPepT1を背部皮下に移植した担がんマウス(Balb/c nu/nu)に、ベスタチンおよび[3H]カルノシンを投与し組織移行性を検討した結果、細胞間液のみ分布する[14C]イヌリンの値と比べ有意に高く、両ペプチドが腫瘍細胞内に蓄積することが示された。3.in vitroでのベスタチンに対する感受性の変化をMTT法により検討したところ、HeLa-hPEPT1細胞については2.2μg./ml似上の濃度において顕著な増殖抑制効果がみられた。in vivo実験として担がんマウスにベスタチン(0.5mg/kg)を28日間経口投与した結果、HeLa-hPEPT1を移植した腫瘍の増殖はmock細胞の腫瘍に比べて顕著に抑制された。4.ヒト由来の各種株化腫瘍細胞25株について、ペプチドトランスポーター遺伝子の発現量をリアルタイム定量PCR解析した結果、PEPT1の発現量はML-1細胞、NakajimaおよびCaco-2に顕著な発現が見られた。PEPT2は殆どの細胞に発現が見られた。各細胞のペプチド取り込み活性と比較した結果、トラスポーター発現量と輸送活性とが必ずしも一致しないことから、新規のペプチドトランスポーターの存在が示唆された。5.がん細胞に発現するOCTN、OATP等のトランスポーターのクローニングならびに機能特性解析、体内動態制御への利用法についての検討も行った。6.腫瘍細胞の増殖に関与するアミノ酸トランスポーターLAT1およびLAT2が、血液脳関門を形成する脳毛細血管内皮細胞にも発現すること明らかにした。<br />In the present study, we studied feasibility of drug delivery using oligopeptide transporter which expressed in some tumor cell lines. During this study period, we obtained following findings.1. A stable cell line which over expresses human oligopeptide transporter PEPT1 was established by transfecting hPEPTl cDNA into HeLa cells. Its transport actiyity was confirmed by measuring glycylsarcosine and termed the cell line HeLa-hPEPT1.2. Nude mice (Balb/c nu/nu mice) inoculated with HeLa-hPEPT1 bared tumor within several weeks. In these mice, I.v. injected an anti-tumor drug bestatine, and dipeptide carnosine were accumulated in the hPEPT1-expressing tumors.3. HeLa-hPEPT1 was more sensitive to bestatine than parent HeLa cell line by in vitro MTT assay. Tiimor growth of HeLa-hPEPT1 in nude mice was strongly suppressed by oral dose of bestatine to the mice, while that of HeLa inoculated mice was not affected.4. Messenger RNA expression levels of known oligopeptide transporters that is PEPT1 and PEPT2 were quantitatively analyzed by the real time PCR in iridivisual 25 tumbf lines. Among them ML-1, Nakajima and Caco-2 cells expressed PEPT1in high level on the other hand, PEPT2 expression was observed majority of cell lines examined. Comparing mRNA expression and transport activity profiles, we found little correlation between them. Therefore, existence ofnovel transporter that represents the uptake of peptides has been suggested.5. Molecular cloning of CDNA of organic cation transporter OCTNs and OATPs were performed and some of which were expressed in tumor cell lines.6. We have proved that expression of amino acid transporter LAT1 and LAT2, which play roles in tumor growth, in the blood-brain barrier.In conclusion, detailed characterization of many kinds of transporters which expressed in tumors will provide us valuable information to establish method for tumor specific delivery of drugs.<br />研究課題/領域番号:12557204, 研究期間(年度):2000-2001<br />出典:「ペプチド輸送系の組織特異的発現と分子認識多様性を利用した腫瘍選択的薬物デリバリー」研究成果報告書 課題番号12557204 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 基盤研究(A) 研究成果報告書 = 2002 Fiscal Year Final Research Report.  2000-2002  pp.12p.-,  2003-03.  金沢大学自然科学研究科
URL: http://hdl.handle.net/2297/00049355
概要: 本研究は、薬物の体内動態に影響を与えるトランスポーター群の多様な薬物構造認識・輸送機構を小腸、腎臓、肝臓、脳などの特定臓器に焦点を当て、臓器レベル、細胞レベル、オルガネラレベル、分子レベル、遺伝子レベルで解明し、薬物動態の臓器普遍性または臓 器特異性を明確にすることを目的として、1)PEPT1、OCTN1、OCTN2、NPT1等について、各トランスポーター発現細胞における詳細なin vitroでの分子構造認識・輸送特性を明らかにした。2)有機アニオン系、有機カチオン系、ペプチド系等の薬物に対して生体に備わった物質輸送、蓄積、排泄機構の組織、細胞および細胞膜レベルでの検討を行った。3)それらのin vivo、in vitro実験の情報を元にした新規トランスポーター群(mOCTN1,mOCTN2,mOCTN3,OATP-B、OATP-C、OATP-D、OATP-E)のクローニングに成功した。4)クローニングしたトランスポーターに対する抗体の作成とそれを用いた組織内および極性細胞における細胞内局在性を明らかにするとともに、発現細胞を作成してその輸送特性を明らかにし、生体の種々生体物質および薬物輸送における役割について検討した。5)血液脳関門の持つ輸送機構の詳細を明らかにするため、不死化ラット脳毛細血管内皮細胞株を確立し、種々トランスポーターの機能発現を確認した。中枢移行性の少ない種々ニューキノロン抗菌薬やH1-アンタゴニストの輸送機構とABCトランスポーターの関与を明らかにした。6)OCTN2やOATP-C等のSNPsの機能特性を明らかにした。7)トランスポーターを発現するアデノウイルスベクターを構築し、本組換えウイルスをラットおよびマウスに投与することによって肝臓や血液脳関門に新たな薬物輸送活性を付与することに成功した。本研究によっていくつかの薬物の体内動態に及ぼすトランスポーターの意義が明確にされた。本研究の成果は、今後、合理的な医薬品の分子設計の提言し、臓器標的化を指向したドラッグデリバリーシステムの開発に役立てて行く必要がある。<br />The author' s research on transporter-mediated pharmacokinetics focuses on the molecular functional characteristics of drug transporters including oligopeptide transporter, monocarboxylic acid transporter, anion transporter, organic cation transporters, organic cation/carnitine transporters (OCTNs) and the ATP-binding cassette transporters P-glycoprotein and MRP2. We have successfully demonstrated that the transporters play important roles in the influxes and/or effluxes of drugs in intestinal and renal epithelial cells, hepatocytes and brain capillary endothelial cells that form the blood-brain barrier. In the systemic carnitine deficiency (SCD) phenotype mouse model, juvenile visceral seatosis (jvs) mouse, a mutation in the OCTN2 gene was found. Furthermore, several types of mutation in human SCD patients were found, demonstrating that OCTN2 is a physiologically important carnitine transporter. OCTNs transport not only carnitine but also various organic cationic drugs in a sodium-independent manner. It is suggested that OCTNs are multifunctional transporters for the uptake of carnitine into tissue cells and at the same time for the elimination of intracellular organic cationic drugs. In this research term, novel cDNA of organic anion transporters i.e., OATP-B, OATP-D and OATP-E have been isolated and functionally characterized. Furthermore, single nucleotide polymorphism of OATP-B, OATP-C and OCTN2 in the Japanese population was analyzed. Although more data should be collected, such information will enable us to establish ultimate drug delivery system.<br />研究課題/領域番号:12307057, 研究期間(年度):2000-2002<br />出典:「薬物トランスポーター群の分子認識・輸送の多様性に基づいた臓器移行性の制御」研究成果報告書 課題番号12307057 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究概要 = 2002 Research Project Summary.  2001 – 2002  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060932
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />本研究は、オリゴペプチド、有機アニオンおよび有機カチオン系薬物を輸送する一次性(ABC)トランスポーターおよび二次性のトランスポーターが、生体外異物(ゼノバイオティックス)の細胞内取り込みおよび排出に 関わるシンクロナイズした生体防御のシステムの一つとして機能しているかを明らかにすることを目的とした。グレパフロキサシンは経口投与後の吸収率が良好なニューキノロン抗菌薬である。本薬物は胆汁クリアランスが高い特徴を持ち、遺伝子欠損ラットEHBRを用いた検討からMRP2の基質であると考えられている。そこで、HEBRを用いて消化管吸収過程に関わる分子メカニズムを解析した。小腸組織をUssing型チャンバーに装着し、グレパフロキサシンの経組織輸送を測定したところ、正常ラットにおいては分泌方向の輸送が吸収方向の2倍高かったが、EHBRにおいて分泌輸送は顕著に低下していた。正常ラットでみられた分泌輸送はMRP2阻害剤およびABCトランスポーターMDR1の阻害剤に感受性であった。肝臓においてMRP2はグレパフロキサシンの抱合代謝物の胆汁排泄に働くことが明らかにされている。また、昨年度の我々の研究により、グレパフロキサシンは小腸上皮細胞刷子縁膜に発現するMDR1によっても排泄されることが明らかにされている。これら2つの分泌型トランスポーターの基質となる一方で、前述のように本薬物は優れた消化管吸収性を示すことから、吸収方向にも何らかの非常に強力なトランスポーターが関与する可能性が強く示唆される。以上のことから、グレパフロキサシンの消化管吸収過程には、細胞取り込みに働く未同定のトランスポーター、グレパフロキサシンの細胞への侵入に対して防御的に働くMDR1、さらにおそらく細胞に取り込み後に未変化体および代謝物の分泌輸送に関与するMRP2がシンクロナイズして働いているものと考えられた。<br />研究課題/領域番号:13022226, 研究期間(年度):2001-2002<br />出典:「ゼノバイオティックスの取り込みと排出輸送がシンクロナイズした生体防御機構」研究成果報告書 課題番号13022226(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13022226/)を加工して作成 続きを見る
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崔, 吉道 ; Sai, Yoshimichi
出版情報: 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 2001 Research Project Summary.  2000 – 2001  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00064419
概要: 金沢大学理工研究域<br />本研究は、正常組織においてはその発現が小腸および腎臓の上皮細胞刷子縁膜に局在するオリゴペプチドトランスポーターを分子標的とした腫瘍特異的な抗がん薬の送達が可能であるかを検証することを目的として検討を行った。そこ で、ヒト肺、乳腺、胃、結腸、膵臓、膀胱、子宮頸部、皮膚、骨あるいは白血球、リンパ球に由来する各種株化腫瘍細胞を培養後、全RNAを調製し、Super Script II Reverse TranscriptaseおよびOligo dT primerを用いてcDNAを合成した。得られたcDNAを用いてLight Cycler(Roche Diagnostics)によりリアルタイム定量PCR解析を行った。その結果、既知の代表的なオリゴペプチドトランスポーターであるPEPT1の発現量は白血病細胞由来ML-1細胞で最も高く、次いでNakajimaおよびCaco2に顕著な発現が見られた。PEPT2は殆どの細胞に発現が見られた。これらペプチドトランスポーターの発現量を放射性標識グリシルザルコシンおよびベスタチンの取り込み活性と比較した結果、トラスポーター発現量と輸送活性とが必ずしも一致しないことから、新規のペプチドトランスポーターの存在が示唆された。ヒトゲノムデータベースに対して検索を行ったところ、PEPT1およびPEPT2に相同性を持つトランスポーター様の構造を有する新規遺伝子PEP3の存在が認められたことから、この分子がん細胞に発現する第3のペプチドトランスポーターである可能性が考えられた。これまでの研究成果をふまえて、今後は例えば、PEPT1をin vivoでの発現効率が高いアデノウイルスベクターを用いて、in vivoで本来PEPT1を発現しない臓器に強制発現することにより新たな輸送機能を発現させ、その基質となる薬物の体内動態を能動的に制御する等、薬効標的部位におけるトランスポーターの発現を積極的に制御することによる新たな能動的薬物動態制御法の樹立を目指す必要があるものと考えられる。<br />研究課題/領域番号:12771460, 研究期間(年度):2000-2001<br />出典:「ペプチドトランスポーターを利用した腫瘍特異的抗がん剤デリバリー」研究成果報告書 課題番号 12771460(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12771460/)を加工して作成 続きを見る