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論文

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辻, 彰 ; Tsuji, Akira
出版情報: 平成14(2002)年度 科学研究費補助金 基盤研究(A) 研究成果報告書 = 2002 Fiscal Year Final Research Report.  2000-2002  pp.12p.-,  2003-03.  金沢大学自然科学研究科
URL: http://hdl.handle.net/2297/00049355
概要: 本研究は、薬物の体内動態に影響を与えるトランスポーター群の多様な薬物構造認識・輸送機構を小腸、腎臓、肝臓、脳などの特定臓器に焦点を当て、臓器レベル、細胞レベル、オルガネラレベル、分子レベル、遺伝子レベルで解明し、薬物動態の臓器普遍性または臓 器特異性を明確にすることを目的として、1)PEPT1、OCTN1、OCTN2、NPT1等について、各トランスポーター発現細胞における詳細なin vitroでの分子構造認識・輸送特性を明らかにした。2)有機アニオン系、有機カチオン系、ペプチド系等の薬物に対して生体に備わった物質輸送、蓄積、排泄機構の組織、細胞および細胞膜レベルでの検討を行った。3)それらのin vivo、in vitro実験の情報を元にした新規トランスポーター群(mOCTN1,mOCTN2,mOCTN3,OATP-B、OATP-C、OATP-D、OATP-E)のクローニングに成功した。4)クローニングしたトランスポーターに対する抗体の作成とそれを用いた組織内および極性細胞における細胞内局在性を明らかにするとともに、発現細胞を作成してその輸送特性を明らかにし、生体の種々生体物質および薬物輸送における役割について検討した。5)血液脳関門の持つ輸送機構の詳細を明らかにするため、不死化ラット脳毛細血管内皮細胞株を確立し、種々トランスポーターの機能発現を確認した。中枢移行性の少ない種々ニューキノロン抗菌薬やH1-アンタゴニストの輸送機構とABCトランスポーターの関与を明らかにした。6)OCTN2やOATP-C等のSNPsの機能特性を明らかにした。7)トランスポーターを発現するアデノウイルスベクターを構築し、本組換えウイルスをラットおよびマウスに投与することによって肝臓や血液脳関門に新たな薬物輸送活性を付与することに成功した。本研究によっていくつかの薬物の体内動態に及ぼすトランスポーターの意義が明確にされた。本研究の成果は、今後、合理的な医薬品の分子設計の提言し、臓器標的化を指向したドラッグデリバリーシステムの開発に役立てて行く必要がある。<br />The author' s research on transporter-mediated pharmacokinetics focuses on the molecular functional characteristics of drug transporters including oligopeptide transporter, monocarboxylic acid transporter, anion transporter, organic cation transporters, organic cation/carnitine transporters (OCTNs) and the ATP-binding cassette transporters P-glycoprotein and MRP2. We have successfully demonstrated that the transporters play important roles in the influxes and/or effluxes of drugs in intestinal and renal epithelial cells, hepatocytes and brain capillary endothelial cells that form the blood-brain barrier. In the systemic carnitine deficiency (SCD) phenotype mouse model, juvenile visceral seatosis (jvs) mouse, a mutation in the OCTN2 gene was found. Furthermore, several types of mutation in human SCD patients were found, demonstrating that OCTN2 is a physiologically important carnitine transporter. OCTNs transport not only carnitine but also various organic cationic drugs in a sodium-independent manner. It is suggested that OCTNs are multifunctional transporters for the uptake of carnitine into tissue cells and at the same time for the elimination of intracellular organic cationic drugs. In this research term, novel cDNA of organic anion transporters i.e., OATP-B, OATP-D and OATP-E have been isolated and functionally characterized. Furthermore, single nucleotide polymorphism of OATP-B, OATP-C and OCTN2 in the Japanese population was analyzed. Although more data should be collected, such information will enable us to establish ultimate drug delivery system.<br />研究課題/領域番号:12307057, 研究期間(年度):2000-2002<br />出典:「薬物トランスポーター群の分子認識・輸送の多様性に基づいた臓器移行性の制御」研究成果報告書 課題番号12307057 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))   本文データは著者版報告書より作成 続きを見る
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論文

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崔, 吉道 ; Sai, Yoshimichi
出版情報: 平成10(1998)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1998 Research Project Summary.  1997 – 1998  pp.2p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060867
概要: 金沢大学医薬保健研究域薬学系<br />・MCT1のカルボキシ末端16アミノ酸残基に対する特異抗体(anti-MCT1/C16)を調製することに成功した。Anti-MCT1/C16は、既にMCT1タンパク質の存在が明らかなラット赤血球及び心 臓の膜画分に対しても交差反応を示した。・研究代表者らがこれまでモノカルボン酸の輸送実験に用いてきたラット空腸刷子縁膜(BBM)小胞をCa^<2+>沈殿法により調製し、Western解析を行ったところ、MCT1と考えられる約42kDaのタンパク質を検出することができた。・このことから、膜小胞を用いた輸送実験で観察されたモノカルボン酸輸送にMCT1が関与していたことが示唆された。・免疫組織化学的手法を用いたラット消化管各部におけるMCT1の臓器分布と細胞内局在性の検討を行ったところ、消化管全体を通したMCT1の分布は、胃、小腸の一部、盲腸、結腸で多く、空腸、回腸では相対的に少ないことが明らかとなった。・MCT1はすべての臓器で、主に未分化な細胞の側基底膜(BLM)側に多い傾向がみられたことから、未分化な細胞の分化に必要なエネルギーを積極的に取り入れるのに機能していることが考えられた。また、盲腸と結腸ではそれ以外の細胞のBLM側にもみられた。下部消化管に棲息する嫌気性細菌は未消化食物や分泌液、脱落した上皮細胞に含まれる糖質を嫌気的に分解して増殖のためのエネルギーを得るが、その代償として主に酢酸、プロピオン酸、酪酸なだの短鎖脂肪酸が管腔内に蓄積することが知られており、このことと、深く関係しているのではないかと思われた。また、空腸に着目するとcryptでは根元付近のBLMに強くみられ、絨毛部では微絨毛にはMCT1がはっきりとは存在せず側膜上部、特にtight junction直下に、強くみられた。・以上の結果とMCT1がプロトン共輸送により駆動されることを考えあわせることにより、本輸送担体が消化管管腔内からのモノカルボン酸系薬物の吸収に関与する可能性が示唆された。<br />研究課題/領域番号:09771974, 研究期間(年度):1997 – 1998<br />出典:「小腸モノカルボン酸輸送体の組織及び細胞内分布の免疫化学的解析と薬物輸送の分子機構」研究成果報告書 課題番号09771974(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09771974/)を加工して作成 続きを見る