1.

論文

論文
長尾, 秀実 ; Nagao, Hidemi
出版情報: 平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2009 Research Project Summary.  2008 – 2009  pp.2p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060141
概要: 金沢大学理工学域数物科学系<br />X線構造解析により酸化型アズリン(Az)と還元型シトクロムc551(Cyt)の構造が知られている。各立体構造にプロトンを付加し、各活性部位付近の必要パラメータを各活性部位類似のクラスターモデルを用いて密 度汎関数法(UB3LYP/6-31G^<**>/ESP)により見積もった。これらの立体構造を用いてAz_<ox>-Cyt_<red>複合体構造最適化をZDOCKプログラムパッケージおよび独自開発プログラムで予測した。これらの座標データから3つの複合体モデルを作成した。(1)水素結合を含む静電相互作用エネルギーを最小にしたモデル。(2)疎水性相互作用エネルギー最小にした構造。(3)活性部位の電荷分布をAz_<red>-Cyt_<ox>型にしたモデル。これら3通りのモデルよるタンパク質複合体の溶液内での安定性を溶媒和自由エネルギー計算に評価した。計算した構造エネルギーに溶媒和自由エネルギー,エントロピーを加えることで新しく定義したタンパク質の自由エネルギーの計算結果は活性部位の電荷分布をAz_<red>-Cyt_<ox>型にしたモデルが最も低い値を示した。結合自由エネルギーの評価には、複合体を形成する前のAz_<ox>単体の構造とCyt_<red>単体の構造における溶媒和エネルギー,構造エネルギー,エントロピーを評価し、タンパク質複合体の自由エネルギーとの差から評価した。Az_<ox>, Cyt_<red>単体と複合体の自由エネルギーの差は-107kcal/mol、構造エネルギーの差は-47kcal/mol、エントロピーの差は31kcal/molとなった。これらの結果から結合自由エネルギーの値は-123kcal/molであることが示され、タンパク質複合体の結合自由エネルギーには溶媒和自由エネルギーが大きく寄与していることがこれらの計算結果から示された。<br />研究課題/領域番号:20038018, 研究期間(年度):2008 – 2009 続きを見る
2.

論文

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長尾, 秀実 ; Nagao, Hidemi
出版情報: 平成19(2007)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2007 Research Project Summary.  2007  pp.1p.-,  2018-03-28. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060164
概要: 金沢大学自然科学研究科<br />X線構造解析により知られている酸化型アズリン(Az_<ox>)と還元型シトクロム(Cyt_<red>)の立体構造を用いてAz_<ox>-Cyt_<red>複合体構造最適化をZDOCKプログラムパッケージおよ び独自開発プログラムで予測した。Amber力場と活性部位付近の量子化学計算で見積もられた力場を用い、5854個のTIP5P水分子を加えた系を300K、NVTアンサンブル条件下でシミュレーションした。シミュレーションによりAz_<ox>-Cyt_<red>複合体安定構造を見いだした。ドッキングサイトは二つの部分に分けられ、いずれの部分もターン構造中にあり、水素結合で強く結合しAz_<ox>-Cyt_<red>複合体を形成していることがわかった。本研究により複合体に関わる水素結合部位が明確に示された。次にAz_<ox>-Cyt_<red>複合体ダイナミックスを考察した。会合前後でCyt_<red>タンパク質振動が大きく変わっていることが見いだせた。またドッキングサイトではAz_<ox>とCyt_<red>との協調的振動モードが現れ、タンパク質構造変化のみならず、振動主成分変化が観測された。還元型アズリン(Az_<red>)は空気中酸素により酸化され結晶化が容易ではない。Az_<red>-Cyt_<ox>複合体構造決定もまた、空気中酸素による複合体酸化が起こるため現在のところ実験で決定するのは容易ではない。そこでAz_<red>-Cyt_<ox>複合体における各活性部位付近の電荷分布を用いた構造緩和シミュレーションを行った。Amber力場と活性部位付近の量子化学計算で見積もられた力場を用い、6204個のTIP5P水分子を加えた系を300K、NVTアンサンブル条件下でシミュレーションした。構造緩和後、複合体安定構造を見いだした。Az_<red>-Cyt_<ox>複合体ドッキングサイトはAz_<ox>-Cyt_<red>複合体のものとほぼ一致していることを見いだした。またDynamical Cross Correlation MapによりAz_<red>のαヘリックスとCyt_<ox>のほぼ全体が強く動的相関を持つことが見いだされた。一般にタンパク質ターン構造部分はB因子(RMSF)が最も大きく、次にαヘリックス部分が大きい。本研究結果からターン構造部分にドッキング部位があり、AzとCytのドッキングによりターン構造部分の運動が束縛される。そしてαヘリックス部分へのエネルギー移動が示唆される。<br />研究課題/領域番号:19029014, 研究期間(年度):2007<br />出典:「タンパク質複合体構造とダイナミックスの理論的研究」研究成果報告書 課題番号19029014(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19029014/)を加工して作成 続きを見る