1.

論文

論文
佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060284
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、受精鶏卵を用いるヒト癌転移実験系を駆使して、転移性癌細胞の悪性形質発現に係わる生体物質並びに転移過程におけるそれらの発現意義を明らかにするとともに 、転移抑制に有効な物質および効果的な使用法の研究開発を展開している。平成4年度の研究では、受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の転移動態を明らかにし、さらに、ノーザンブロット法または特異抗体を用いた免疫組織化学染色法により高転移性癌細胞に発現される細胞外マトリックス分解酵素ならびに細胞接着因子を解析した。平成5年度は4年度の研究成果を基に、マトリックス分解酵素および細胞接着因子に対する阻害剤による転移抑制の可能性について検討した。その結果、フィブロネクチンあるいはラミニンに対する接着阻害合成オリゴペプチドとインテグリンβ_1サブユニットのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはヒト線維肉腫細胞であるHT-1080の転移を抑制し、接着因子が転移抑制において有用な標的となる可能性が示された。一方、本研究で試験した市販試薬級のマトリックス分解酵素阻害剤は明らかな転移阻害活性が認められず、持続的効果と癌細胞の浸潤局部への集積性を考慮した新たな阻害剤を開発する必要性が考えられた。また、現在開発中の抗腫瘍性2'-デオキシシチジン誘導体、CNDAC(2'-cyano-2'-deoxy-1-β-D-arabinofuranosylcytosine)およびDMDC(2'-deoxy-2'-methylidenecytidine)の転移抑制効果についても受精鶏卵法により検討した結果、CNDACとDMDCはともにヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示すことが明らかとなった。微小転移巣の早期診断と治療は癌の治療の成否を決定づける最も重要な要因である。CNDACおよびDMDCはヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示し、微小転移巣の早期治療や転移予防への実際的な応用も期待される。<br />研究課題/領域番号:05152052, 研究期間(年度):1993<br />出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号05152052(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152052/)を加工して作成 続きを見る
2.

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大野, 真介 ; Ohno, Shinsuke
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060285
概要: 金沢大学がん研究所<br />我々は、SCIDマウスに、マーカー染色体をもつBALB/c6.15マウス脾細胞を移入する実験系により、少なくともt(6;15)転座をもつ2例の形質細胞腫がSCIDマウス起源であることを見いだした。この知見は、t (6;15)転座型形質細胞腫の標的細胞は、pro〜pre-B段階にあるB細胞である可能性を強く示唆した。ところで、奇妙なことに、上記2例の形質細胞腫ABPC-SCID-IM-BおよびIM-Dは、いずれもアロタイプ“a"をもつIgA産生細胞であった。SCIDマウスは、そのIgH遺伝子領域がC57BL/Kaマウス由来の“b"アロタイプ型である以外、すべてBALB/c遺伝子型をもつ。また、本実験に用いられた、マーカー染色体をもつBALB/c6.15マウスは、AKR6.15マウスをBALB/cマウスに戻し交配して得られたもので、いくつかのAKRマーカーを残している。そこで、IM-B,IM-Dと、donor BALB/c6.15起源である形質細胞腫ABPC-SCID-IM-A,C,EとについてSSLP解析の比較を行った。(1)第12染色体の中心体より27cMに位置するSSLPマーカーD12Mit4では、IM-A,C,EがすべてAKRタイプであったのに対し、IM-B,IM-DはともにBALB/cタイプであった。SCIDマウスのD12Mit4は、BALB/cタイプである。(2)ところが、同染色体の中心体より50cMにあるD12Mit7では、IM-A,C,E,B,DすべてがBALB/cタイプであった。この位置、SCIDマウスではB6タイプである。(3)65cMに位置するIgh-C遺伝子は、得られた5例の形質細胞腫すべてについて、“a"アロタイプ(BALB/c型)であった。つまり、SCIDマウスに発症した形質細胞腫ABPC-SCID-IM-B,IM-Dでは、第12染色体の27より50cMの間で遺伝子組み換えが起こり、結果として“a"アロタイプをもつIgA産生細胞となったものと考えられた。<br />研究課題/領域番号:05152051, 研究期間(年度):1993<br />出典:「SCIDマウス系における形質細胞腫発症機構の分子細胞遺伝学的研究」研究成果報告書 課題番号05152051(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152051/)を加工して作成 続きを見る
3.

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藤井, 雅寛 ; Fujii, Masahiro
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060286
概要: 金沢大学がん研究所<br />1、CArG box配列を介したc-fos,egr-1,egr-2遺伝子の発現誘導機構:TaxはCArG box結合因子SRF(serum response factor)と直接結合することによって、これら遺伝 子群の転写活性を増強する。今回我々はTaxが酵母の転写因子GAL4とSRFとのキメラ蛋白(GALSRF)をGAL4結合配列特異的に活性化することを指標として、SRF(508アミノ酸から構成されている)C端のアミノ酸397番から435番の領域をTax活性化領域(Tax responsible region of SRF,TRRS)として同定した。Taxが存在しない場合、GALSRFのGAL4結合配列に対する活性はTRRSによってむしろ抑制された。c-fos遺伝子の転写能はCArG box配列を介して抑制的に調節され、この抑制制御はc-fos遺伝子の一過性発現制御に関与すると考えられている。今後この一過性c-fos遺伝子発現におけるTRRSの役割特に細胞性TRRS結合因子の検索およびその機能の解析を試みる。2、Taxによる細胞性初期遺伝子fra-1遺伝子の発現誘導機構:Taxによるfra-1遺伝子の発現誘導機構を解析するために、ヒトfra-1遺伝子プロモーター領域をクローニングした。CAT(chloramphenicol acetyltransferase)アッセイにより、3つの独立したTax応答性領域を同定した。これらの領域中にはCArGbox配列は存在せず、Taxによるfra-1遺伝子の発現誘導機構はc-fosの場合とは異なっていることが明らかになった。これらの領域中のRCE(Retinoblastoma Control Element)様配列および2つのFAP(c-fos AP-1)様配列がそれぞれTax応答性に関与することが示された。今後、RCE様配列を中心として、Tax活性化に関与する結合因子の同定および活性化機構の解析を試みる。<br />研究課題/領域番号:05152050, 研究期間(年度):1993<br />出典:「細胞性初期遺伝子群の転写制御因子p67^<SRF>のHTLV-1Taxによる活性化機構」研究成果報告書 課題番号05152050(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152050/)を加工して作成 続きを見る
4.

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松島, 綱治 ; Matsushima, Kouji
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.3p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060287
概要: 金沢大学がん研究所<br />担癌宿主に於ける種々の癌病態を制御するサイトカインネットワーク分子機構の解析として以下のような成果があった。1)マウス大腸癌細胞株colon26のin vitroとin vivoにおけるサイトカイン産生を比較し たところ大きく異なることが判明した。更に、悪疫質をおこす株では選択的にIL6をin vivoで発現し、おこさない株ではIL6の産生がみられずIL1 receptor antagonistの発現が観られた。2)担癌宿主では腫瘍由来TGFbによるCD4+Thのサイトカイン産生抑制に加えIL6がMoによるTNF産生を抑制して抗腫瘍生体防御能を低下させていることがわかった。3)CD4+のCTL誘導抑制性Tsの存在を明らかにし、CTL標的抗原を決定した。4)ヒト胸腔内Moが癌性胸水中リンパ球のIL2による活性化を増強するとともにIL12がCD8+Tリンパ球よりCTLを誘導する時もMoが関与することを明らかにした。5)gp130,NF-IL6ノックアウトマウスを作製した。6)癌病態調節サイトカインIL8,IL6の遺伝子発現調節機構を詳細に解明した。in vitroとin vivo(癌部位)におけるサイトカイン産生検索は、サイトカインネットワーク解析の仕事はin vivoを想定してのみなしうることを示した。今後更に担癌にともないどのようなサイトカインが実際に発現されるのか、その産生細胞はどれか、実際にin vitroの観察から予想されているようなサイトカインネットワークが存在するのかを種々の癌細胞株を用いたマウスでのモデル実験を行なうとともにヒト癌においても検証する必要がある。サイトカイン遺伝子発現調節機構解析、受容体シグナル伝達機構解析の基礎研究をサイトカイン遺伝子、受容体遺伝子、転写因子、シグナル伝達分子ノックアウトマウス作製の仕事と連結し、サイトカインネットワーク機構解析のためのよいモデル動物を提供できることを期待する。<br />研究課題/領域番号:05151028, 研究期間(年度):1993<br />出典:「担癌宿主に於けるサイトカインネットワーク分子機構の解析」研究成果報告書 課題番号05151028(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05151028/)を加工して作成 続きを見る
5.

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清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成5(1993)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1993 Research Project Summary.  1993  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060288
概要: 金沢大学がん研究所<br />1、各種のマトリックスメタロプロテイナーゼに対する単クローン抗体で胃癌組織を調べることにより、72-kDaと92-kDa type IV collagenaseの発現は共に初期癌では認められず進行癌でのみ高頻度 (65%)に起こることを示した。一方で、collagenaseの発現は初期から高頻度の発現を示した。2、92-kDa type IV collagenaseの発現誘導機構についてプロモーターの解析から、以下の点を明らかにした。炎症性サイトカインとv-Srcに代表されるシグナルによってそれぞれ独立に制御される。v-Srcシグナルによる誘導を受けるかどうかは細胞によって異なるがそれはプロモーター中のRCE(Rb control element)への結合活性の有無によって決まる。3、胃癌細胞を正所移植すると組織の線維芽細胞の産生するTGF-bによって癌細胞による72-kDaと92-kDa type IV collagenaseの発現が誘導され、転移能が昂進する。TGF-bの作用は細胞によって異なるがそれを決定する因子の一つとしてRbの欠失があることを明らかにした。所見:本研究班は今年で最終年度を迎える。この3年間で癌細胞の浸潤に関わる様々な細胞外マトリックスの分解酵素に関する情報が遺伝子から組織レベルで蓄積した。癌細胞の浸潤制御を可能にする標的分子としてどの細胞外マトリックス分解酵素が妥当かを決めることが今後の問題である。<br />研究課題/領域番号:05151027, 研究期間(年度):1993<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号05151027(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05151027/)を加工して作成 続きを見る
6.

論文

論文
佐々木, 琢磨 ; Sasaki, Takuma
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060289
概要: 金沢大学がん研究所<br />癌治療の成否は癌の転移および再発をいかに防ぐかにかかっている。転移の完全抑制こそ、癌治療の最大の課題と言える。本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、我々が独自に開発した受精鶏卵を用いる ヒト癌転移系と転移細胞の検出法を駆使して、転移抑制に効果的な物質および効果的な使用法の研究開発を展開中である。平成4年度の研究では、特異的DNA増幅反応法(PCR:Polymerasechainreaction法)を応用した転移細胞検出法及び病理組織学的手法を用いて受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の動態を中心に調べた。その結果、受精鶏卵の血管内に移植したヒト癌細胞は移植後数分間で胎児組織に90%以上補捉され、移植後8時間から24時間以内に血管外に移行し、24時間後より増殖することが明らかになった。受精鶏卵法により、標的臓器の血管内皮細胞への接着、基底胯浸潤、増殖の各転移過程における癌細胞の生物学的解析が可能であることが明らかにされた。さらに、ヒト癌培養細胞にやけるIV型コラゲナーゼ及びその特異的阻害因子TIMP(tissueinhibitorofmetalloproteinase)の発現をノーザンブロット法により調べた結果、高転移性の線維肉腫栽養株、HT-1080ではIV型コラゲナーゼが恒常的に発現しているのに対して、その阻害因子の一つであるTIMP-1の発現がみられないことから、コラゲナーゼの発現と供に、TIMPによる活性制御が転移・浸潤において重要な意義を持つことが明らかになった。特異抗体を用いた免疫組織化学染色法によりヒト癌細胞の転移巣における細胞接着因子、コラゲナーゼ及びプラスミノーゲンアクチベーターの発現を調べた結果、ヒト線維肉種HT-1080細胞の鶏卵胎児肝転移巣ではフィブロネクチン、ラミニン及びコラーゲンに対する接着受容体であるVLA-3(α_3β_1インテグリン)の発現は見られるが、フィブロネクチンに対する接着受容体であるVLA-5(α_5β_1インテグリン)の発現は見られないこと、さらにIV型コラゲナーゼ、間質コラゲナーゼ及びウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターなども高レベルで発現していることが明らかになった。<br />研究課題/領域番号:04152051, 研究期間(年度):1992<br />出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号04152051(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152051/)を加工して作成 続きを見る
7.

論文

論文
松島, 綱治 ; Matsushima, Kouji
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060290
概要: 金沢大学がん研究所<br />近年、生体防御反応、癌免疫において重要な役割を有すると考えられているインターロイキン1(IL1)にたいするナチュラルアンタゴニスト(IL1Ra)の在存が明らかになった。本研究では、IL1Raの作用機序の解明、担 癌状態におけるIL1Ra産生の証明ならびに担癌にともなう免疫不全症、悪疫質における内因性IL1Raの病態生理作用を明らかにすることを目的とする。本年度の主な成果として1)マウスIL1Raを遺伝子組み替え法にて大腸菌にて大量発現し、完全精製することに成功した。精製IL1Raはマウス/ヒトIL1RにIL1と同等の親和性を有し、IL1の生物活性を特異的に抑制することが確認された。2)精製IL1Raをウサギに免疫することによりIL1Raにたいする特異抗体を作製した。この抗体を用いてマウスIL1RaにたいするELISAによる測定法を確立した。3)癌悪疫質発生マウス大腸癌細胞株colon26(clone-20)のinvivoにおけるサイトカイン、サイトカインナチュナルアンタゴニスト産生をnorthemblotting法にて検索した結果、癌組織浸織マクロファージ由来IL1により刺激を受けた癌細胞によりIL6が過剰に且つ持続的に産生され癌悪疫質をもたりしていることが判明した。一方、癌悪疫質非発生colon26(clone-5)においては、癌組織においてIL1の他、同時に大量のIL1Raが産生されており、結果的にIL6が全く新生されないことが判明した。colon26の実験結果は、IL1Raが癌組織において実際に産生されていることを証明し、さらに、IL1Raがサイトカインネットワークを調節する重要な内因性制御分子であることを示した世界で最初の仕事である。今後、種々の実験腫瘍、ヒト癌組織におけるIL1Ra、サイトカインの発現検索をするとともに担癌宿主におけるサイトカインネットワーク分子機構を生体工学、遺伝子導入法、単クローン性抗体等を駆使して解明する。<br />研究課題/領域番号:04152050, 研究期間(年度):1992<br />出典:「インターロイキン1受容体アンタゴニストの担がん状態における病態生理学的意義」研究成果報告書 課題番号04152050(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152050/)を加工して作成 続きを見る
8.

論文

論文
清木, 元治 ; Seiki, Motoharu
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060291
概要: 金沢大学がん研究所<br />清木班員はヒト胃癌細胞株を用いて実験的にマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性発現が必須であることを特異的インヒビターであるTIMP-1遺伝子導入実験により示した.同時に、TIMP-1発現の低下が悪性形 質発現の一因となることも示された.岡田班員はヒト骨肉腫OST細胞、ヒト単球様細胞U937を用いて細胞の浸潤能および転移能の発現とIV型コラーゲナーゼ(MMP-9)の発現との相関が高いことを示した.中島班員は腎臓癌細胞KG12がヌードマウスへの正所移植では転移するが異所である皮下からは転移しないことを示した.組織由来の線維芽細胞が産生するTGFbがKG12細胞のIB型コラーゲナーゼおよびウロキナーゼ産生と浸潤能発現の制御因子であることを明らかにした.浸潤・転移能に関連して重要性が示されたMMP-9遺伝子発現制御機構を解析することにより、佐藤班員はTPA、TNFaとc-Srcを介するシグナルがそれぞれ独立にMMP-9の伝写を制御していることを明らかにした.MMP以外の浸潤能に関する細胞外マトリックス分解酵素として宮崎班員は胃癌細胞株からトリプシン1を精製し、同定した.早川班員はもう一つのMMPインヒビターであるTIMP-2に対する単クローン抗体を作成し、サンドイッチELISA法による測定系を確立した.木村班員は転移抑制遺伝子として報告されたNKPキナーゼ(NM23)遺伝子の二つのアイソフォームをラットからcDNAと対応する染色体遺伝子として単離し、その構落を明らかにした.また、ラット高転移性乳癌細胞での発現低下を確認した.谷口班員はbmアクチンの転移の抑制活性が細胞運動の抑制と相関しすることを明らかにした.若い研究者伊藤君は大腸癌でMMP-7の発現が特異的に見られること丹田君は血管作動薬による腫瘍組織血流量の増加が化学療法剤の効果を増強することを見いだした.<br />研究課題/領域番号:04151024, 研究期間(年度):1992<br />出典:「がん細胞の浸潤性獲得の分子機構」研究成果報告書 課題番号04151024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04151024/)を加工して作成 続きを見る
9.

論文

論文
大野, 真介 ; Ohno, Shinsuke
出版情報: 平成4(1992)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1992 Research Project Summary.  1991 – 1992  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060292
概要: 金沢大学がん研究所<br />本研究は、「どの分化段階にあるB細胞が形質細胞腫発症の標的細胞であるのか」を実証するために計画された。具体的には、(1)SCIDマウスを用いた形質細胞腫発症実験系の確立、および(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の 誘発、の2点であった。当初懸念されたことは、重症複合性免疫不全マウスであるSCIDマウスで、果たして形質細胞腫誘発が可能か否かということであった。事実、多くの実験は、SCIDマウスその自体での形質細胞腫発症には成功していない。私共は、今回、ヒツジ赤血球(SRBC)ー免疫あるいは正常BALB/c6.15(第6-第15染色体間のRobertsonian転座)マウスの脾臓おらび骨髄細胞をSCIDマウスに移入することにより、形質細胞腫を誘発し得ることを見いだした。特筆すべきことは、2例(2/12)の形質細胞腫がその染色体解析によりSCID起源と同定されたことである。この知見は、形質細胞腫発症の標的細胞が、ひとつには少なくとも未成熟B細胞である可能性を強く示唆し、今後の研究遂行の上で大きな指針を与えた。目的(2)抗体産生能を持つ形質細胞腫の誘発については、現在迄のところ成功していない。SRBCー免疫BALB/c6.15マウスの脾臓中には、抗ーSRBC抗体産生および同免疫記憶細胞は存在する。事実、これらの細胞により再構成されたSCIDマウス血清中には、抗ーSRBC抗体は約3ヶ月間陽性であった。ところが、マウス脾臓細胞全体を移入した場合には、SRBC応答性細胞以外のB細胞群が圧倒的に多いためか、実験結果はnegativeであった。移入する細胞群をさらにrefineすることにより、この実験は再度組織的に計画され、実施される予定である。<br />研究課題/領域番号:04152049, 研究期間(年度):1991 – 1992<br />出典:「SCIDマウス系における形質細胞腫発症機構の分子細胞遺伝学的研究」研究成果報告書 課題番号04152049(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152049/)を加工して作成 続きを見る
10.

論文

論文
久田, 欣一 ; Hisada, Kinichi
出版情報: 平成3(1991)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1991 Research Project Summary.  1991  pp.1p.-,  2016-04-21. 
URL: http://hdl.handle.net/2297/00060293
概要: 金沢大学医学部<br />モノクロ-ナル抗体によるタ-ゲッティング療法の中では、抗がん剤や細胞毒結合体に比べて、放射性物質を用いるradioimmunoconjugate法が原理的には最もシンプルかつ強力である。しかし腫瘍への絶対的・相対的 な集積量が低いため診断・治療共に実用化に至っていない。radioimmunoconjugateを用いたがんの核医学的診断法には、現在 ^<111>In(インジウム)が最も頻繁に用いられる放射性核種であるが、肝・脾への非特異的な放射能集積が高いため、これらの臓器内や近傍の腫瘍の診断の妨げになることを、我々は従来より明らかにしてきた。そこで、標識用核種と抗体の中間に化学スペ-サとしてジエステル化合物を導入し、組織代謝を利用し正常組織への放射能分布を低減する新しい標識法を開発した。抗大腸癌モノクロ-ナル抗体(A7,IgG_1)とヒト大腸癌(LSー180)移植のヌ-ドマウスを用いた実験モデルで種々の検討を行った。体外への放射能消失速度を生物学的半減期で比較すると、従来法の146時間に対して、24時間と6倍に促進された。また体内分布実験から、腫瘍への集積は投与後24時間まで両者ほぼ同等であるが、化学スペ-サ法では、血液、肝、脾等の正常組織分布が著明に減少した。これは、イメ-ジング実験の結果と良く一致し、従来法に比べて正常組織バックグラウンド放射能が低く、明瞭に腫瘍を描出した画像が得られた。今後動物実験により、従来法との詳細な比較をさらに追加する。また今年度の結果より、この化学スペ-サ法を臨床に応用すれば、微小ながん病巣の検出率向上が予想できる。したがって、基礎的な前臨床段階では、期待どおりの成果と考えられたため、『医学研究施設内で作られたRI標識モノクロ-ナル抗体の臨床利用に関する指針』(RADIOISOTOPES 39:597ー599,1990)に則て、安全性の評価および線量分布計算を行い、臨床応用を準備中である。<br />研究課題/領域番号:03152050, 研究期間(年度):1991<br />出典:「化学スペーサによる放射性核種標識モノクローナル抗体の腫瘍集積性増幅に関する研究」研究成果報告書 課題番号03152050(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03152050/)を加工して作成 続きを見る